北山亘基 会心の完投勝利で「さいこうき」を解禁 心は文化系の意外な素顔もー
お立ち台で「さいこうき」を披露し、右手を突き上げる北山=撮影・小田岳史
■パ・リーグ7回戦 ソフトバンク1-2日本ハム(5月21日、エスコンフィールド北海道)
自己最多タイ122球の熱投
日本ハムの北山亘基投手(26)が先発し、9回1失点で完投勝利を挙げた。
プロ入り後、自己最多タイとなる122球の熱投が実って今季3勝目をゲット。封印していた「さいこうき」を急きょ解禁し、スタンドのファンを喜ばせた。
待ってました! F党も大喜び
劇的な結末の余韻が冷めないまま、お立ち台に上がった。舞台は整っていた。
投のヒーローは少しためらいがちに「いつもここに立たせてもらったら言っている言葉があるんですけど、今年はちょっと封印しちゃって、ちょっと言えないんです。優勝するまで言えなくて…。そうなんですけど、やっぱり、さいこうきです!」と叫び、右手を突き上げた。

松本剛を筆頭にチームメートから「いつ言うねん」
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舞台裏では仲間たちからあおられ、背中を押されていた。
「自分だけではなく、チームがサヨナラ勝ちしたというのもあって。ギリギリまで迷ったんですけど、野手の皆さんにも、きょう言わんかったらいつ言うねんと。選手会長の(松本)剛さんを筆頭にみんなに言われたので、決心がつきました」
若き女房役にも感謝
この日は1軍で初めて進藤とバッテリーを組んだ。強気の声かけやリードに支えられた。110球を超えた九回に153キロを計測するなど、体力面でも強みを発揮した。
収穫は多く「バッターの反応を見ながら僕の状態も加味して、進藤が一番良いボールを選択し続けてくれた。もう1つは、球威が衰えずに最後まで投げられた。2つがかみ合って、最後まで行けたんじゃないかな」と実感を込めた。
加藤投手コーチからの問いかけに即答 「行かせてください」
八回を投げて、新庄監督の意思も確認していた加藤投手コーチから「もう1イニング行けるか? 体力的に大丈夫か?」と問いかけられ「行かせてください」と力強く、即答した。そしてスコアボードに「0」を刻み、役目を果たした。
延長十回は続投する可能性がなかった。裏の攻撃で点が入らなければ、勝ち負け付かずで救援陣にバトンを渡すところだったが、1死満塁で郡司が決めてくれた。「郡司さんのおかげで3勝目できました。ありがとうございましたと。それを2、3回言いました」と感謝しきりだった。
九回のマウンドへ向かう北山
野球は向いていない!?
まだ大卒4年目。チーム内では若手の一人だが、考え方や投球術は熟練の風格が漂う。ただ、北山は「野球は向いていないけど、頑張ってやっている感じです。投げるのが好きなだけ。自分で向いていると思ったことないです」と笑う。
志向は別だ。「文化系の方が好きなのでアートとか、ピアノとか、音楽とか。楽器を弾ける人は憧れます。あまり体育会系じゃないです。一応ゴリゴリやっていますけど、心は文化系です」と打ち明ける。時間が空いたら美術館に出かけて、作品を鑑賞することもあるそうで「そっちの方が好きなんですよ。いいですよ」と、うなずいた。
まだまだ進化を続ける4年目右腕
仕事を突き詰めながらも、常に視野を広げている。結果を残し、周囲の仲間や指導者に認められても、能力を過信しない。自らを客観視できるからこそ、進化するための手段を見つけられる。
