北山亘基 「それはダメだな」と気付かされた敏腕サラリーマンとの出会い
試合終了後、清宮(右から2人目)の前で苦笑いを見せる北山(左)=撮影・桜田史宏
■セ・パ交流戦3回戦 日本ハム4-1巨人(6月19日、東京ドーム)
九回1死までノーヒットノーランの快投
日本ハムの北山亘基投手(26)が七回2死まで完全、九回1死までノーヒットノーランを継続する圧巻の投球で、5勝目をマークした。
惜しくも大城にソロ本塁打を被弾したが、9回1安打1失点で完投。「一番は、チームが勝ったので、先発投手の役割を果たせたと思うので、良かったです。まあ、きょうは悔しくて、眠れないかもしれないですね」と、充実感と悔しさを同時ににじませた。
九回1死、巨人・大城(右)にソロ本塁打を浴びた北山
印象的だった「すご腕サラリーマン」からの質問
野球に限らず、広い視野と見識を持つ。交流の幅も広く、まだプロ入りして間もない頃には「すご腕のサラリーマンの方」と食事をする機会に恵まれた右腕。多岐にわたる会話を交わす中で一つ、印象的な質問を受けた。
「今までで一番、頑張ったのはいつ?」
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大学時代の苦難が頭に浮かんだのだが…
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この時の北山は、京産大時代を思い浮かべた。コロナ禍で満足に試合や練習ができない中、妥協せず自分と向き合い、苦難を乗り越えてドラフト指名を勝ち取った経験は大きく、「大学時代にかなり頑張って、プロに入ることができて、今、プロでもしっかり頑張っていきたいです」と答えた。
心に刺さったアドバイス
すると、すご腕サラリーマンからは一言、「常に、今を一番、頑張った瞬間にしていこうよ」と〝生き方〟の助言を送られた。この言葉が、北山の心に深く刺さった。
「そう言ってくれて、そこでハッとした。半分、プロに入れたところで目標をクリアしたような、無意識に自分は一つ、クリアしたと思ってしまっていた。それはダメだなとハッとして、今が一番、頑張っている、ということの積み重ねだなと再認識させていただきました」
八回2死、巨人・キャベッジから三振を奪う北山
ここまで5勝 防御率は12球団トップ!
今季はここまで5勝2敗、防御率はパ・リーグトップの1.15。人生の先輩から背中を押された北山は、もらった助言通り、日々を「人生で一番、頑張った瞬間」にし続けて、今や12球団を見渡してもトップレベルの先発投手へと成長を遂げた。
毎日を人生で一番、頑張った日に
「やっぱり、人生で一番、頑張っていた時期を過去に置くのは嫌なので。昔、頑張っていた、俺は大学時代めちゃくちゃ頑張ったからプロになれた、ではなくて、それは常に今にしていきたい」
ノーヒットノーランに迫る快投にも、決して満足することはない。北山はあしたまた、人生で一番、頑張った日を更新する。
完投勝利を飾り、田宮(右)と喜ぶ北山