【一問一答】北山亘基 九回1死でノーノーの夢散るも盤石の投球術で今季5勝目
大記録を逃すも9回1安打1失点と快投を演じた北山=撮影・桜田史宏
■セ・パ交流戦3回戦 日本ハム4-1巨人(6月19日、東京ドーム)
日本ハムの北山亘基投手(26)が先発し、七回2死まで1人の走者も許さない完全投球を披露。プロ入り後初のノーヒットノーラン達成まであと2人というところで本塁打を浴び、偉業達成とはならなかったものの、9回1安打1失点完投で今季5勝目をマークした。チームの3カード連続勝ち越しにも大きく貢献した。ヒーローインタビュー、囲み取材での一問一答は以下の通り。
【ヒーローインタビュー】
―北山さん、本当に惜しかった
「ファンの皆さんの声援がすごい届いていたので、なんとか達成したかったですけど、最後、大城選手に良いバッティングをされて、すごく悔しいです」
―試合が進んでいく中で、独特な緊張感もあったと思いますが、九回のマウンドにはどんな気持ちで上がったんですか
「今まで味わったことのないような声援でしたし、すごく球場からの、皆さんからの気持ちが届いたので、すごく貴重な経験をさせていただきました」
―七回までは完全投球。四球の後も全く投球が乱れなかったですね
「でも究極を言えば、達成できなかったというところはまだまだ勝負弱いところだと思うので、また次も、もっと目標を高く持って、いつか達成できるように頑張っていきたいなと思います」
七回2死一塁、巨人・吉川を右飛に打ち取った北山
―ルーキーイヤーに開幕投手を任せた新庄監督が、身を乗り出すようにして応援していました。あの姿をご覧になっていましたか
「もちろん見えていましたし、今まで起用してくださったことに対して、しっかり結果を出して恩返ししたいなという気持ちはあったんですけど、また次、しっかり結果で恩返しできるように頑張っていきたいと思います」
―監督、選手とは試合中、どんな会話をして、九回まで進んでいったのでしょうか
「そこはいつもと変わらず。イニング間はキャッチャーの田宮とコミュニケーションを取りながら過ごせましたし、いつも良い雰囲気で野手のみんながもり立ててくれるので、きょうもそれのおかげで最後まで投げられたので、みんなに感謝したいなと思います」

―チームは首位をキープ。交流戦の優勝も見えています。今後に向けて
「交流戦、最後の3連戦が残っていますし、良い流れで最後まで全員で頑張りたいと思います。交流戦の優勝を目指して、全員で頑張ります。引き続き応援よろしくお願いします」
【囲み取材】
―きょうの投球を振り返って
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「まずはチームが勝ったので、そこは先発投手としての役割を、きょうは果たせたと思うので、良かったなというところと、きょうは悔しくて眠れないかもしれないです」
―最終回はノーヒットノーランを意識したか
「意識しろ、意識するなと言われても無理なくらい、すごい雰囲気でしたし。でもそういう雰囲気の中で投げられるということは、すごい幸せだなというのはマウンドで感じましたし、ああいったマウンドの雰囲気を、次は自分の力に変えられるような、もっと飲み込んでいけるような選手に、今後なっていきたいなという気持ちにもなったので、本当に良い経験になったと思います」
―好投の一番の要因は
「バッターとの間の取り合いなんですけど、一つ差し込めるようなメカニクスとか、体のコンディショニングの状況だったので、力みなくもう一個、間をバッターに対して詰められたので、多少、変化球が甘いところに行ってもファウルになりました。真っ直ぐもフライだったり、空振りも取れたので、きょうはそこが一番、良かったかなと思います」

―監督がきのう、キャップをちょっと曲げてくれたが、その効果はあったか
「そのおかげかもしれないです(笑)。僕の帽子、ストレートキャップ用なので、ちょっとやりすぎるとおかしくなるので、いつもよりちょっと曲げていったんですけど、もしかしたら視界が良くなっていたのかもしれないです」
―微妙にストライクゾーンがよく見えたのかも
「そうですね。ストライクゾーンが広く見えたかもしれないです(笑)。分かんないですけど」
―監督がもう少し曲げていたら、ノーヒットノーランをやっていたと
「もうちょっと攻めます、じゃあ。もうちょっといきます、次は」
―いつ頃から意識し始めたか
「七回ぐらいから、歓声がすごい独特な雰囲気になりましたし、そこで。五回ぐらいから自分で気付いていたんですけど、七回ぐらいから、だんだんそういう球場の独特な感覚があったので、それで意識して投げていきました」
―ホームランを打たれたのはフォークボールか
「そうですね、追い込んで高めに抜けて。まあでもタラレバを言っても仕方ないですし、9回1失点のピッチングのところにフォーカスすれば、自分を褒めた方がいいんじゃないかなと思うので、そこは悔しさを持ちつつ、良かった部分はしっかり受け止めてというか、次につながるような良いピッチングだったと思うので。本当に微調整だと思うので、そこにこだわってやっていけたらなと思います」
九回1死、巨人・大城(左)にソロ本塁打を浴びた北山
―途中、チームメートはどんな感じだったか
「八回ぐらいに、守備交代が立て続けに。内野手が代わったりして、代わって守る野手がみんな顔引きつっていて(笑)。(中島)卓さんとか、結構そういう経験あると思うんですけど、卓さんも緊張されていましたし。一番は、山県がもう笑顔になっていない(笑)。笑顔で声をかけていたらしいですけど、僕から見て全く笑顔じゃなくて(笑)。みんながそうやって、気持ちを持って守ってくれているというところもすごくうれしかったですし、いつか必ずリベンジしたいなと思うので、本当にきょうは良い経験になったなと思います」
―監督が東京ドームのマウンドに合っていると
「きょうはマウンドも問題なかったですし、自分のコンディション的にも、良い調整ができて入れた部分もあったので、そこの両方かなと思うのと、最終回、監督が身を乗り出して見てくれたのも、すごく目に映りましたし。1年目から考えて、いろいろたくさん経験させてもらっての今というところで、なんとかそういう意味でも、本当に達成したかったんですけど、ここで達成したら慢心してしまうんじゃないかというメッセージと捉えて、もっと貪欲にやっていけたらなと思います」
―七回、泉口への四球は力が入ったか
「ちょっと力んで、バランスを崩してしまって。その打席の中で修正しきれたら良かったんですけど、ちょっと最後、それてしまったので」
―あの場面は、完全試合を頭の中で意識していたか
「そうですね。それはしていましたね。残り3イニングをしっかり抑えたら、記録を達成できる状況にいるのはすごく珍しいことですし、すごく幸せなことだなって思ったので。正面からぶつかって、目標を高く持って目指していこうという気持ちだったので」
九回2死、巨人・中山を左飛に打ち取り、手を叩く北山
―内容は、プロに入って一番と言えるか
「いえ。三振は少なかったですし、前回の登板の方が三振はたくさん取れて、三振の取り方もすごく、納得できるものだった。きょうは落ち球で三振が思ったより取れなくて、決め球で決めきれなかったので、そういう意味では、ヒットは出なかったですけど、抑え方というところではラッキーな、インプレーでラッキーでアウトになった要素もあったので」
―九回でも154キロをマーク。球速には納得しているか
「球速の課題はかなり克服してきていますし、自分の中の最低限ラインには常に乗っている感覚はあります。でもまだアベレージはもうちょっと上げていけると思うので、そこも貪欲に、自分では道筋が結構はっきり見えているので、時間はかかるんですけど、しっかり積み重ねていけば良くなる方向にはあると思うので、継続してやっていきたいです」
―ドラフト8位で入って、インパクトを残す登板をしたことへの思いは
「1人ではできなかったですし、まだまだ何もできたとは思っていないですけど、1年目からたくさん経験させてもらったこともそうですし、首脳陣だったり、チームメートだったりのおかげで今があると思う。そこは本当に感謝しかないですし、まだまだ納得していないので、もっともっと高みを目指してやっていきたいなという気持ちで今もいます」
ヒーローインタビュー後、ガッツポーズを見せる北山