山県秀 久々の快音で語った感謝の気持ち 松本剛、伏見、首脳陣…ルーキー支える周囲の人々の存在
五回2死一塁、山県が中前打を放ち拍手する=撮影・桜田史宏
■セ・パ交流戦2回戦 日本ハム1-2巨人(6月18日、東京ドーム)
日本ハム・山県秀内野手(23)が、「9番・遊撃」で先発出場し、五回に14打席ぶりの安打となる中前打を放った。試合後、ルーキーが口にしたのは先輩たちへの感謝だった。
出場4試合ぶり、14打席ぶりの安打に安堵の表情
1点を先制した直後に迎えた第2打席。西舘の投じた初球を中前へはじき返した。出場4試合ぶりの安打をマーク。一塁上でほっとした表情を浮かべた山県が、真っ先に名を挙げたのが選手会長だった。
「1軍に来てから(松本)剛さんにバッティングの相談していて、ずっと教えてくれていた。剛さんがいなくなって、自分でどうやっていくか考えながらやっていたんですけど、やっぱり心の支えになっていたんだなって」

最初に声を掛けてくれたのが剛さんでした
4月中旬に球団の新人一番乗りで初昇格。その時、最初に声を掛けてくれたのが、今月13日に出場選手登録を外れた松本剛だったという。「打てないって言われて(プロに)入ってきたと思うけど、絶対に打てると話をしてくれて。そこから〝剛さん信者〟みたいになりました(笑)。憧れの先輩もありますし、剛さんが(助言を)言ってくれるのがうれしくて素直に話を聞いていた。本当に剛さんの言葉を信じてずっとやっているので、自分を信じてやっていきたいと思います」。今まで掛けてくれた言葉の数々が、山県の心を奮い立たせてくれた。
自分、結構谷内さんのフォームに似ていて
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何とかしようと試行錯誤する中で、前日17日に「バッティングどんな感じ?」と声を掛けてくれたのが谷内内野守備走塁コーチだった。「ちょっとぼやっとしていますと言ったら、谷内コーチがアドバイスしてくれて。自分、結構谷内さんのフォームに似ていて、バッティング動画とかYouTubeで見ていた。谷内さんが値千金のホームランを打ったとか、タイムリーの動画を見ていた」。日頃から参考にしていたこともあり、言葉がスッと入ってきた。
五回2死一塁、山県(左)が中前打を放ち、谷内コーチとタッチを交わす
寅威さんはお母さんみたいです
そのアドバイスを授かったのは、九回1死一塁で迎えた第4打席の直前だった。その打席はバントのサインが出たが、投ゴロ併殺打に倒れた。「スクイズを失敗した(9日の)楽天戦以来の落ち込みだったんですけど。チームが勝ったので、絶対に泣かないと決めて」とグッと我慢。意気消沈していた山県に、優しく寄り添ってくれたのが伏見だった。
「(球場から)帰るときも寅威さんにバントの話をしてもらって、(この日)球場に来てからも寅威さんバントの動画を見せてもらったり。本当に寅威さんは〝お母さん〟みたいです。寅威さんにおんぶにだっこになってしまっているんですけど。寅威さんが前を(打順を)打っていたら、うれしいですし。自分が得点圏で打てなくても、後ろに寅威さんがいたら助けてくれる」。頼れる女房役のおかげもあり、切り替えることができた。
試合前練習中、伏見(右奥)と話す山県(左奥)
自分で打てないって諦めたら申し訳ない
チームメート、首脳陣…。何事にも一生懸命に取り組む山県の周りには、親身になって支えてくれる人たちがいる。「自分はずっとバッティングが課題と言われてプロに入ってきた選手なので、右バッターの先輩には特にずっと話を聞いていて。どうにかしないと、と思っていろいろ聞いている。剛さんだけではなくて、郡司さん、寅威さん、奈良間さんのバッティング見たり、吸収できるところはめちゃくちゃさせてもらっている。あと(2軍打撃コーチの佐藤)友亮さんからLINEしていただいたり、ボス(新庄監督)もDMでアドバイスしてくれたり。自分が打てないって諦めたら、申し訳ない気持ちがするので。必死になって打ってやるって気持ちで毎日ひたむきにやるだけだと思います」。
周囲の人たちの優しさに触れ、自分もいつか還元したいと願う。「今、いろんな人に話きいていますけど、先輩方が今まで経験していたことを自分に伝えてくれているんだなっていうのを感じながら毎日、過ごしています。自分が打てない時に助けてもらっているので、今度は自分が打って助けられるような先輩になれたらいいと思いました」。その想いは受け継がれていく。