先日、玉井が国内フリーエージェント（ＦＡ）権を取得した。１軍の主力として長く戦い続けた証しだ。ネット上やＳＮＳ上にファンからの祝福のメッセージが多数、寄せられていた。

　ＦＡを行使すると、いずれの球団とも交渉、契約が可能となる。「ファイターズに残って」「出て行かないで」と懇願する声もあった。本人は熱い思いに感謝しつつ「行かないでも何も、求められていないですから」と自虐的に笑った。

　選手間でもＦＡ取得者は、リスペクトの対象だ。結束が強いリリーフの仲間たちから、来年も一緒に戦いましょう―とエールが届いたのではないか、と想像していた。しかし、個性豊かな面々のリアクションはちょっと違った。「『今までありがとうございました。お世話になりました』とふざけて言ってくるヤツがいました。後輩もそうだし、先輩も何人か。河野とか、あのへんが言っていた気がする」。惜別のあいさつを繰り出し、イジってきたという。

　ＦＡ取得の経験もある兄貴分の宮西はさすがに、ねぎらってくれたかと思えば「おまえ、ＦＡ取ったの？ 今までありがとう」と驚くほど軽いノリで返されたそう。どう接すればいいのか、みんな熟知している。玉井がどれだけ愛されているか、あらためて分かった。