《鶴岡慎也のツルのひと声》抜群だった北山 またも大活躍のスピードスターは最もレギュラーに近い存在
■セ・パ交流戦3回戦 ヤクルト1-6日本ハム(6月12日、エスコンフィールド北海道)
いずれの球種も素晴らしかった北山
北山が抜群のピッチングを見せてくれた。初回から、直球は素晴らしく、フォークも落ちた。カットボールも真っすぐの軌道で最後に少しだけ曲がる。理想的なボールだった。カーブもいいアクセントとなった。
一回、2本のヒットにバックの失策が絡んで1点を失ったのだが、三進を狙った打者走者の3番・内山がタッチアウト。次打者が好調のオスナだっただけに大きなプレーだった。
落ちない出力は努力の成果
立ち上がりを最少失点で切り抜けた北山は乗った。終盤に入ってもストレートの球威は落ちず、球速は150キロを超えた。球数が100球を超えても出力を保つ。計画立ててしっかりとトレーニングを積み重ねてきた彼の努力が結実していると言えよう。
初安打の進藤 スケールの大きな捕手に
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そしてマスクをかぶった進藤。やっとプロ初安打が出た。まずは、おめでとうと言いたい。ただ、彼のバッティング練習を見ていても、8番や9番を打つ打者ではないと感じる。初ヒットを欲しがり、当てにいくシーンも見受けられたが、もともと打撃力は高い。将来的にはクリーンアップも打てる可能性を秘めている。そのぐらいスケールの大きいキャッチャーに育っていってもらいたい。
現状、総合力では伏見が群を抜いている。進藤は自身の結果にもこだわりながら、プレーしていく必要がある。この日の三回、しっかり二盗を阻止した。バッティングでも肩でも「数字」にこだわりを持ってもらいたい。
5試合連続スタメンの背番号50
さて、五十幡が存在感を示している。5試合連続のスタメン出場で、その間、22打数8安打の打率.364を誇る。この日も3安打1打点で2度、ホームに生還した。激しい外野のポジション争い。今、最もレギュラーに近い存在と言っても過言ではない。
新庄監督や首脳陣はしっかりとレギュラーを張ってもらいたいと期待し続けてきた。代走、守備固め要員では当然、物足りない。
新たな打撃フォームで開眼
なぜ、状態がいいのか。それはバッティングフォームにある。これまではバットのトップを2度引きする構えを見せていた。それが今は、バットを担ぐフォームにしたことで、物理的にトップの位置を固定。一発でバットをスムーズに出すことができている。
新庄監督が言い続けてきたアッパースイング
そして新庄監督から言われてきたアッパースイング。彼の中では打ち上げているつもりで、実は見事なレベルスイングになっている。打者とはそういうもの。頭の中の動きと実際のフォームに違いがあることはよくある。レベルスイングによって、ボールの軌道に長くバットを入れることができている。2打席目の詰まった右前打も、その成果と言えよう。
いかに今の構えを続けられるか
だが、状態が落ちる時は必ず来る。そこでフォームを変えてはいけない。長いシーズン、疲れから体のキレが落ちる時期はある。そこでいかに我慢し、今のフォームを続けられるか。そうすれば、苦しくても1試合に1本打てるバッターになっていき、自然と数字も残っていく。