森本コーチが明かす外野早出特守の意図 イチかバチかの場面で万波、矢沢らに求めることはー
早出特守をする外野陣と森本コーチ(中央手前)=撮影・松本奈央
全体練習前に外野手4人が約1時間
日本ハムの外野手4人が11日、エスコンフィールド北海道で早出特守を行った。
右翼の守備位置に就いたメンバーが、ライナー性の難しいバウンドの打球にチャージ。およそ1時間に及んだ異例の特訓メニューの意図を、森本稀哲外野守備走塁コーチ(44)が明かした。
万波、水谷、矢沢、吉田が参加
試合が始まる5時間ほど前。誰もいないグラウンドにグラブを持った万波、水谷、矢沢、吉田と森本コーチが姿を現した。足の運び、グラブの使い方など、同コーチの指導を受けながら、選手らが前の打球の処理を繰り返した。

きっかけは8日のサヨナラ負け
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8日のDeNA戦(横浜スタジアム)のサヨナラ負けが一つのきっかけだった。
延長十回1死満塁。1点も許せない場面で、三森の打球は右翼へ飛んだ。前進した万波は、バウンドを合わせる形で捕球し、送球。三塁走者はこの間に生還した。ダイレクト捕球は難しい打球だったが、万波は自らを責めるように落胆の表情を浮かべた。

難しいワンプレーも攻撃側は「チャージされるのが嫌」
森本コーチはこのシーンを相手の目線に立ち、説明した。
「サードコーチャーからすると、チャージされるのが一番、嫌。ちょっとでも待たれたら全部、回せる。そこでチャージして突っ込んで捕れたら、もう外野の勝ちなので。ただ、難しいバウンドでした」
必要なのは勝負すること
ちゅうちょしてしまった時点で、ノーチャンスだったと見ている。リスクを恐れず、勝負することが重要で「アウトにできる可能性はもちろん(あった)。突っ込まないと、可能性がなくなってしまう中で突っ込めなかった。僕にも責任がある。次は突っ込めるように。イチかバチかのプレーでちゃんと前に出られるように、という準備でもあります」と自戒を込めて続けた。

ピックアップの3人に加えて吉田が自主参加
特守は外野手全員の参加ではなく、森本コーチがピックアップした。この人選にも理由があった。
「基本的に松本剛、五十幡、浅間はそういう技術があるし、突っ込んで来られる。早出となると体力的にも(きつい)。きょうやったメンバーはちょっと課題がある。吉田の場合は自主的に参加しますと言ってきた。万波、矢沢、水谷は必要な練習だと思ったので、強制的にやりました」
求められる球際の強さ
決して頻繁に訪れるシーンではないが、有事に体と頭が反応するように備える。
「理想は突っ込みながら(走る速度を)緩めることなく、捕球して投げる。本人たちは、思っているより体勢が高いなとか、グローブが浮いちゃっているなというのを感じながらできた。いい練習になったと思う」。同じ失敗は繰り返さない―。万波ら選手と森本コーチの強い意思表示だった。