《岩本勉のガン流F論》強く頼もしい日本ハムの救援陣 リリーバーへの尊敬の念を強めた2試合
■パ・リーグ11回戦 日本ハム1-1楽天(5月25日、楽天モバイルパーク宮城)
投手陣が踏ん張った両チーム
勝てるチャンスはあった。ただ、それは互いのチームに言えることだ。投手陣がそれぞれハイパフォーマンスを披露してくれた。となると、こういう展開にもなり得るだろう。
細野はどこまで勝ち星を積み上げるか
先発の細野は、立ち上がりこそボール先行だったが、すぐにマスクをかぶる進藤とのコンビネーションで修正。終わってみれば、7回3安打1失点だ。
前回もオリックス戦で6回無失点。勝利に執着せずとも、近いうちに必ず白星は転がり込んでくる。1勝どころか、どこまで勝ち星を積み重ねてくれるか楽しみでもある。
ハイパフォーマンスが際立ったリリーフ陣
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さて、リリーフ陣は一人一人が抜群のピッチングを見せてくれた。もともと池田と田中はやってもらわなきゃいけない存在。九回に登板した田中は自身の暴投や2つの申告敬遠などもあり、1死満塁のピンチを迎えた。多少、フラフラした場面もあったが、開き直って力のあるボールを投じた。しっかりと無失点で切り抜けたところに光明が見えた。
ブルペン陣に刺激を与える孫の存在
河野はカムバックと言っていいほどの出来。柳川もヒット1本こそ許したが、安心して見ていられた。
そして圧巻だったのが孫だ。ラスト十二回を3者凡退で締めくくった。前回のソフトバンク戦では九、十回の2イニングを無失点に抑えている。なんとも素晴らしい経験をしていることだろう。どんな場面でも自分の持っている力を出し切れるところに魅力を感じる。最後は狙って三振を奪った。この孫の存在がほかのリリーフ陣に刺激を与えているのは間違いない。
後半4回を無失点に抑えた1995年7月の近鉄戦
しかし、中継ぎ陣の充実ぶりが際立つ。特にこの試合、九回以降は失点イコール即敗戦。そのプレッシャーは相当だ。
私にもリリーフとして忘れられないマウンドがある。まずは1995年7月19日の近鉄戦(ナゴヤ球場)だ。5日前の14日・西武戦で先発完投し、プロ初勝利を飾っていた。「もう一回、ベンチ(リリーフ)に入ってくれ」と中継ぎを任されて19日の近鉄戦を迎えた。同点の九回から十二回まで4イニングを無失点で切り抜けた。試合は2-2で引き分けた。
重圧を知るからこそのリスペクト
もう一つは97年5月22日のオリックス戦。グリーンスタジアム神戸だった。1-1で延長に突入し、私は十回から登板し、ラスト十二回までの3イニングを任された。打線が十二回に2点を勝ち越し、その裏に1点を奪われたが、リードを守った。
ビジターでの九回以降の継投登板は失点が即、敗戦につながりやすい。その重圧を身をもって経験した。その後の先発マウンドに生かされたのは明白で、リリーバーへのリスペクトの念もより一層、増した。
声を大にして言いたい! 今、ファイターズのブルペンは強く、頼もしい。