ファイターズ
《ハム番24時》5月24日

23日の試合で気になるシーンがあった。三回にルーキーの山県が左翼ポール際へ大飛球を放った。距離は十分だったが、わずかに切れてファウル。一夜明け、幻のプロ1号について尋ねると「僕は打球が見えていなくて。ファウルですか、と確認するためにベンチを見たらボスが首を振っていたので理解しました」と苦笑いしつつ、振り返ってくれた。
映像で見直しても、紙一重だった。ただ、本人は至って冷静。ぬか喜びすることはなく「インコースが来てクルっと回った時にだいたいあそこに飛ぶんですけど、切れていくことが多い。期待させて、ファウルという形ですね。もうちょっとのタイミング、コンマ何秒なんですけど、入らないものは入らない」と割り切っていた。
失礼だが、ホームランのイメージがあまりなかった。実際、早大では春、秋のリーグ戦にオープン戦を加えても本塁打はゼロで、早大学院高時代も公式戦では1本もなかった。最後の本塁打がいつだったのか、自身もはっきり覚えていないそう。「高校の練習試合ですかね。3年の時はコロナで試合がなかったので、2年の秋とかじゃないですか。もう、記憶がないです」
記念の1本を損した、という感情は沸かないのか―。山県は穏やかな表情で言った。「もったいないというより、自分にホームランはまだはえーよ、と教えてくれたのかなと。狙うのは違うよ、と野球の神様が教えてくれたのかなという感じがしています」。謙虚すぎるコメント。一喜一憂しない心の強さが垣間見えた。