金村尚真が今季3度目完封で4勝目 開幕戦前に後輩に送った「あした、見とけよ」
今季3度目の完封で4勝目を挙げた金村(左)=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ9回戦 日本ハム1-0楽天(5月23日、楽天モバイルパーク宮城)
郡司さんが良い配球をしてくれた
日本ハムの金村尚真投手(24)が、今季早くも3度目の完封で4勝目を挙げた。捕手の郡司が二回にソロで挙げた1点を、最後の最後まで守り抜いた。
前夜、チームはソフトバンクと延長十一回を戦い、敗れた。移動ゲームのカード頭を任され、一人で投げきった価値は大きい。それでも「郡司さんが良い配球をしてくれて、早めの回からカーブだったり、緩急を使った良いピッチングを引き出してくれたので、すごい良かったかなと思います」と、真っ先に女房役をたたえた。
スプリットを効果的に使い凡打の山
中13日と登板間隔が空いたが、全く問題にしなかった。調整期間に練習してきた「ストライクゾーンに投げるスプリット」を有効に使い、立ち上がりからリズム良く、凡打の山を築いた。

八回、2死一、二塁のピンチでは、ギアを一つ上げた。「前の回、(味方打線が)チャンスで1本が出なくて、流れ的にも向こうが押せ押せのムードになっていたので、何とかここは0点でいかないと、という気持ちでいきました」。代打・島内を三邪飛に仕留め、「結果、0点に抑え切れたので、結果が全てかなと思います」と胸を張った。
四球を一つ与えたものの、抜群の制球力で5安打6奪三振、わずか104球で楽天打線をシャットアウト。「フォアボールを1個出してしまいましたけど、あとは郡司さんと話して、しっかりスプリットをゾーンに投げたり、低めに落としたりできました。きょうはスプリットのコントロールが良かったので、それを勝負球じゃなくても、カウント球で使えたので、そこが良かったんじゃないかなと思います」とうなずいた。
崖っぷちの九回だから成長できる 「すごく幸せなことだと思います」
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ここまで、両リーグトップの4完投3完封をマークしている。九回のマウンドに立つ気持ちにも、変化が出てきた。「去年、九回を投げたときは、力んでしまったんですけど、今年は一人一人大事に投げて、チームが勝てればいいなという思いで投げています。キャッチャーの皆さんが良いリードをしてくれるので、それを信じて投げるだけ。キャッチャーのおかげだと思います。(九回は)抑えたらヒーローですし、打たれたらもちろん僕が負け投手になる。そういう崖っぷちの中で、一番、自分が成長できると感じている。自分が成長できる場所で投げられるのは、すごく幸せなことだと思います」と力を込めた。
完封勝利を収め、郡司(右)とグラブでタッチする金村=撮影・金田翔
後輩から手本とされる振る舞い
昨年11月のファンフェスで開幕投手に指名され、覚悟を決めて2月の春季キャンプに臨んだ。まだ24歳だが、達、福島、柳川ら、1軍にも年下が増えてきていた。「僕がパシられることが少なくなったので、うれしいです」と冗談を交えながらも、後輩から手本とされる振る舞いを意識した。
「話しづらい先輩にはなりたくないなと思いますし、何かあったら聞いてきてくれて全然かまいません。先輩、後輩、みたいな上下関係でもないですし、僕から達とかに聞くこともあります。僕も、そういう(何でも聞きやすい)先輩に恵まれてきたので、そういう存在であれたら良いなと思います」
心配して連絡してきた福島に一言
特に福島とは、鎌ヶ谷の寮でよく一緒にゲームをする間柄。開幕戦前、「状態どうですか?」と心配して連絡してきた後輩右腕に、金村は「普通かな。あした、見とけよ」と返信した。結果は、完封勝利だった。
年に一度の晴れ舞台で躍動する先輩を目に焼き付けた福島は「さすがです。すごいですよね。(開幕戦が行われた)ベルーナにいたかった。『あした、見とけ』が、ただの『見ておいてー』なのか、『俺のピッチングを見とけよ!』の見とけなのか、どの見とけなのかは分からないですけど、本当にすごかったです」と、感嘆の声をあげていた。
開幕戦の完封劇、そしてその後の活躍が、鎌ヶ谷にいる年の近い後輩たちに与える影響は計り知れない。現エースの伊藤ら、多くの先輩たちから学んできたことを、金村は背中で次の世代に伝えている。

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