田宮裕涼 超強気リードで金村の完投勝利をサポート 〝専属解除〟でわき上がった感情、得たモノは―
金村(右)の完投勝利を支え、笑顔の田宮(中央)=撮影・宮永春希
■パ・リーグ6回戦 楽天1-2日本ハム(5月9日、エスコンフィールド北海道)
1カ月ぶりのバッテリー
日本ハムの田宮裕涼捕手(24)が9日、エスコンフィールド北海道で行われた楽天戦でスタメンマスクをかぶり、金村尚真投手(24)の今季3度目となる完投勝利をアシストした。4月5日のオリックス戦(エスコン)以来、1カ月ぶりにバッテリーを再結成し、共同作業で大仕事をやってのけた。
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リードの引き出し増えた
八回から2イニング続いたピンチをしのぐと、笑顔でマウンドに駆け寄り、金村の背中をポンとたたいた。決して楽な展開ではなかった。「(金村とのバッテリーが)久しぶりだったんですけど、(山崎)福也さんとか、ほかのピッチャーと組ませてもらって、リードの引き出しが(増えた)。いつもとは違ったリードが少しはできたかなと思います」。116球でつかみ取った白星に、大きな価値が詰まっていた。
九回2死二、三塁のピンチで金村(左)に声を掛ける田宮=撮影・松本奈央
終盤に試練が待っていた。2点リードの八回、連打の後に内野ゴロで1点を失い、2死三塁のピンチを迎えた。一打同点、本塁打なら逆転となる厳しい局面。注目ルーキーの宗山が打席に入った。田宮は迷いなく、内角高めの直球を要求し続けた。
宗山の場面では伏線があった
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5球目で会心の空振り三振。金村が熱くなるほどの徹底した強気のリードには、伏線があった。田宮はこの場面を振り返りながら「山田(バッテリー)コーチと話していて『打てないところはトコトンいってみてもいいよ』と言われていたので。それを参考にしてやってみました」と打ち明けた。

学びを得た山崎とのコンビ
昨季は金村の〝専属〟を務めてきたが、新庄監督の意向に沿って一時的に解除された。今季3度目の登板となった4月12日の西武戦(エスコン)から3試合続けて伏見が先発マスク。この間、伏見とのコンビが定着していた山崎と組む機会が増えた。
実績のある投手と組むことで学びを得た。特長を生かしながらどう攻めるか、自ら考え、意見を聞くことができた。セオリーに縛られず、新しいパターンを柔軟に取り入れ「山田コーチから『配球を楽しんでこい』みたいな感じで言われているんですけど、そういうことがだんだんできるようになってきたなと。以前はどうしよう、どうしようとなったりして。そこは一つ、気持ちと考え方が変わったかなというのは思います」と成果を口にした。
八回無死二、三塁、田宮(右)が三走の楽天・村林を挟む
不測の事態も想定しての起用
相性や培われた信頼関係は重要な要素だが、選手は常にけがや病気などのリスクがつきまとう。首脳陣は、不測の事態も想定し、固定していた捕手をあえて変更した。田宮はそれを十分に理解した上で「悔しさ? それはありますけど、監督、コーチが決めるところなので、僕は出たら頑張る、それだけです。試合に出られるように日々、頑張っていきたい」と力を込めた。ブレーク中の7年目捕手は現状に満足せず、貴重な体験を糧に一層の成長を遂げる。
試合終了後、完投勝利した金村(左)らとともに笑顔を見せる田宮(右)
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