北海学園大が開幕8連勝V 島崎監督4年ぶり大舞台で4強狙う【札幌6大学春季リーグ戦】
4年ぶりの神宮切符をつかんだ北海学園大=撮影・西川薫
■札幌6大学野球春季リーグ戦(5月23日、札幌モエレ沼公園)
▽第2節第3日 北海学園大(8勝)11-9北海道文教大(4勝4敗)

2戦残して3季ぶり優勝
昨年、創部70周年を迎えた北海学園大が、開幕から8連勝。2位以下が残り2試合に勝利しても7勝以下のため、2試合を残して北海学園大が3季ぶりの優勝を果たした。三回までに7点のビハインドも、四回に一挙8得点で大逆転。その後も追加点を挙げて引き離し、4年ぶり21度目の全日本大学野球選手権(6月9日から、明治神宮球場ほか)出場を決めた。6月9日の1回戦で上武大(関甲新学生)と対戦する。
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〝プロ注目カルテット〟を擁するタレント軍団が、ラストイヤーの春、ついに神宮切符を手に入れた。4点リードの九回から登板した159キロ右腕・工藤泰己投手(4年、北海)が最後の打者をピッチャーライナーに打ち取ると、23年のWBCで優勝した時の大谷翔平(30)ばりに帽子とグラブを宙に放り投げ、歓喜の輪に包まれた。

手を伸ばしたらボールが入ってくれた
「普段は絶対抑えてやる、とか思うことないんですけど、2点取られてから絶対抑えて優勝したいって思った。正直ピッチャーライナーも手を伸ばしたらボール入ってくれたって感じで、そこから全く記憶がない。うれしすぎてハイになってました」
四回までに7失点しコールド負けペース。大逆転劇は、今春途中から指名打者に定着した井樫太希(3年、北海)のバットから始まった。先頭が四球で無死一塁。1ボールからの2球目を中越えに運ぶ二塁打で無死二、三塁と好機を広げ、捕逸と内野安打で2点目のホームイン。さらに同点に追いついた2死三塁で、この回2度目の打席が回ってくると「本当にもうイケイケ、押せ押せの場面。ファーストストライクをいつも狙っているので、かなりショートがサード寄りの引っ張りのシフトを引いていたが、そこを抜いてやろう、という気持ちより、センターが広く空いているんだから、そこに打ってやろう、くらいの感覚で軽く行けた」と、初球を中前に弾き返し、ついに勝ち越しに成功。一塁塁上で、感情を爆発させた。
公務終えた指揮官が試合終了後に駆けつけた
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この日は、北広島市市議会議長を務める島崎圭介監督(53)が公務のために、向野弘人コーチ(52)が監督代行を務めた。「昨日試合が終わった後、ある程度打ち合わせをして『あとはもう任せた』というところで任せていただいた」。試合終了10分後に駆けつけた指揮官とがっちり握手を交わした。
2019年秋に就任した島崎監督にとっては、3度目のリーグ制覇。「7点差をよくひっくり返した。よくやった。その場に居たかった気もしますけどね。10戦全部勝つ、と言っていたので、優勝したとしても気を抜かないように、と言っている。この後2つがまた大事」。今年3月には70周年の記念祝賀会が開催され、多くのOBから激励を受けた。「いい報告ができたかなって思いますね。僕になってから、なんとか2回(全国に)行けたので、少し復活の兆しが見えてきてるかな」。
北広島市市議との二刀流の島崎監督(右)は、公務の影響で優勝決定直後に駆けつけ、代わりに指揮を執った向野代行とがっちりと握手を交わした
春の関東遠征ですでに日程のシミュレーション
目標は全国4強だ。今春の関東遠征では、指揮官の発案で全日本大学選手権の日程を想定して、1日目に巨人3軍、中1日空けて西武3軍、さらに翌日に東京ガスとのオープン戦を組んだ。4年ぶりの本大会へ「3回勝つことですよね。しばらく全国大会で勝ってないので、あまり大きなことは言えない。まずは1勝。上武大学は強豪中の強豪なので、胸を借りる、という言い方がいいのかどうかですけど、でも『やってやるぞ』という気持ちはあります」。虎視眈々と快進撃を狙う。
今度こそ、全国デビューだ。工藤は北海高で3年春と夏に2度の甲子園でベンチ入り。しかし、当時のエースで現ソフトバンクの木村大成(21)の陰に隠れ、登板機会はなかった。「全国までまだ時間がありますし、万全な状態で試合に入れる。ピッチャー陣も人数がいますし、もう1回、コンディショニングをしっかり整えて絶対勝ちたい」。北の強腕が、46年ぶりの全国1勝をたぐり寄せる。
■1年春から主力として出場し155人の部員をまとめ上げた杉林蒼太二塁手(4年、北海)
「去年からずっと全勝優勝という目標を掲げてやってきたが、去年は2季連続2位と、悔しい結果に終わってしまった。今年こそは、という気持ちで、今年の始まりから、全勝優勝のために全員でどんな練習をすれば強くなるのか、どんな練習をすれば、まとまっていくのかをしっかりミーティングして話した結果、まだ10戦終わってないですが、8勝0敗で優勝という良い形になった」
155人の大所帯のチームをまとめた杉林主将(中央上)が胴上げされる