北海学園大の工藤泰己が6回10K NPBスカウト「150キロでも脱力して放れる」【札幌6大学野球】
北海学園大の先発・工藤(右)はネット裏にNPBスカウトが集結する中、6回1失点(自責0)10Kと好投した=撮影・十島功
■札幌6大学野球1部春季リーグ戦(5月2日、札幌円山)
▽第1節第2日 星槎道都大(1勝1敗)2-3北海学園大(2勝)
プロ注目のMAX159キロ右腕
北海学園大が星槎道都大にサヨナラ勝利を収め、2連勝を飾った。MAX159キロを誇る北海学園大の先発・工藤泰己投手(4年)は途中に制球を乱す場面も見られたが、今季初登板で6回1失点(自責0)と好投した。脱力を意識した投球で、この日の最速は154キロを記録。10個の三振を奪い、バックネット裏で視察していたNPB11球団のスカウト陣にアピールした。風速10メートル前後の強風が舞う中でも見せた高いポテンシャルを、この春で一気に開花させる。
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この日の最速は154キロだった
立ち上がりは3者連続三振
力感なく投じられた直球でも、150キロの大台を優に超えていた。一回、いきなり3者連続三振を奪う完璧な立ち上がり。そして二回、連続長短打などで無死二、三塁とピンチを背負うと、一気にギアを上げた。三振、一ゴロで2死までこぎつけると、続く打者には直球を3球続けて見逃し三振を奪ってみせた。
脱力してもスピンのかかったボール
最後はこの日最速の154キロを記録したが「全力ではないです。真っすぐが3球来ると思ってなかったと思うので、キャッチャーミットらへんに投げておけば、という感じで軽く投げたら、結果的にスピンのかかったボールになった」とケロリ。0-0の六回、味方失策で先頭の出塁を許すと、2つの四死球を与えるなどして失点したが、6回2安打1失点10奪三振。プロ注目右腕としての期待に応える投球は見せた。
「基本的に力を抜いてセカンドゴロでいいや、ぐらい(の気持ち)で投げていたんですけど、途中から厳しい展開になって、ちょっと力を入れようかというときに投球を乱してしまって、結果的に与えてはいけない1点を取られてしまったので、そこが反省かなと思います」
地元・日本ハムは4人体制で視察 大渕スカウト部長「ピンチでも…」
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バックネット裏からは多くのスカウトが視線を送っていた。地元球団の日本ハムは、木田優夫GM代行や遠藤良平GM補佐兼ベースボールオペレーション統括部長など球団幹部が顔を揃える4人体制。本格的な視察は初めてという大渕隆GM補佐兼スカウト部長は「同じ150キロでも脱力して放れる。ピンチの場面でも落ち着いて丁寧に放っているので、いいなと思いました。変化球も多彩で、これから磨いていくんだろうなという感じがしました」との印象を語った。

自身のボールとフォームのギャップ
工藤自身も「バッターのタイミングとミートポイントがズレれば打ち取れるし、空振りも取れる」と、ボールとのギャップを生む脱力投法は「リリースも力を入れない感じです」とキッパリ。投球時もキャッチャーミットを凝視するのではなく、あえて視線を外すなどの工夫をして、体をリラックスさせている。
また、開幕前にも大きな学びがあった。4月27日に行われたJR北海道とのオープン戦で投げ合った大崎はマウンド上で「すごい楽しそうに投げていた」という。試合後すぐさま大崎にその思考法を尋ね、アドバイスをもらった。そこで「気負う必要はないんだ」と気持ちは楽になった。緊迫した六回こそ力みは生まれたが、それまでは臆せず積極的にストライクゾーンへ投げ込むなど、得られたマインドをすぐさま実践した。
チームは逆転サヨナラ勝ちで2連勝と、3季ぶりのリーグ優勝へ好スタートを切った。工藤もリードを許してから降板していただけに「本当に良かったっす」と安堵の表情。成長プロセスのまっただ中にいる右腕が、リーグ屈指のタレントが揃う北海学園大を頂点まで引き上げる。
視線を外しながら投球モーションに入る北海学園大の工藤
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