《鶴岡慎也のツルのひと声》ダルビッシュのような絶対的な存在になりつつある伊藤大海
■パ・リーグ10回戦 オリックス0-7日本ハム(5月13日、エスコンフィールド北海道)
ハイライトは六回 太田と杉本を抑えたシーン
強い! 前カードで楽天を相手に3連勝。1日空いて、状態の良いオリックスとのゲームだった。序盤の接戦から終盤の集中打。この日も攻守においてファイターズの強さが際立った。
やはり、伊藤の好投が大きかった。ハイライトは六回だろう。四球とヒットで1死一、三塁となった。ここで3番の太田、続く杉本を連続三振に切って取った。実に内容の濃い2打席だった。
バッテリーが取っておいた勝負球
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太田へはすべて直球。ネクストバッターズサークルでその配球を見ていたであろう杉本に対してもストレートで追い込んだ。私は解説しながら、「いつスライダーを投げるんだろう」と思っていた。力強い直球でインコースも攻め、杉本に嫌というほど真っすぐを意識させた。伊藤と伏見のバッテリーはスライダーを取っておいた。絶対に通るというとこまで。そしてカウント2-2からの6球目。見事に空振りさせた。
伊藤と伏見のバッテリー。カウント球と勝負球の使い分けが実に見事だった。狙っていても前に飛ばせないストレートも球威抜群で、四隅に投げ分けるコントロールも素晴らしかった。
キャッチャーにとって一番、難しいボール
杉本を打ち取ったスライダー。ワンバウンドした勝負球をしっかりと受け止めた伏見もさすがだった。スライダーを得意とするピッチャーが思いっきり腕を振って投げ込んだボール。回転数が多く、はじきやすい。キャッチャーにとっては一番、難しいボールの一つだ。ナイスブロックと賛辞を送りたい。
伊藤中心の現ファイターズ
私も現役時代、ダルビッシュ投手と多くバッテリーを組ませてもらった。大海はダルビッシュのような絶対的な存在になりつつある。150キロを超える力のある直球。カーブ、スライダー、カットボールなど曲がり球、そしてツーシームやスプリットなど落ち球の精度も一流だ。先発投手陣で唯一ここまで抹消がないこともうなずける。今は伊藤中心で回っているという証拠だ。
臨機応変な攻撃を見せる野手陣
攻撃陣も確実に成長している。この試合、スクイズもあった。それぞれがネクストバッターズサークルから次の展開を予測し、臨機応変に動けている。新庄監督が植え付けてきた意識が今、結果として表れている。