スポーツ総合
2021/11/23 15:04

ボクシング日本バンタム級1位・沢田 悲願のベルトへ闘志

度重なる不運にもめげず、道産子ファイター・沢田は必ず差す光を求め、トレーニングを続ける(本人提供)

 不遇の道産子ファイターが悲願のベルト奪取へ再スタートを切った。日本バンタム級1位の沢田京介(33、JBスポーツ、札工高出)は予期せぬアクシデントでタイトル奪取を阻まれ続けてきた。コロナ禍による度重なる興業延期や負傷判定。今月12日に開催されるはずだった王座決定戦も、対戦相手の計量失格でまさかの中止となった。それでも沢田は前を向く。

 またもどん底に叩きつけられた。12日に開催予定だった王座決定戦。前日計量に対戦相手の同級2位・定常育郎(24、T&T)が現れることはなかった。減量に失敗し、体調を崩したことが理由だった。
 沢田は戦わずしてタイトル奪取の機会を奪われた。「本当に悔しかったです。リングに上がることも許されない」。当時を振り返り、言葉を絞り出した。
 ベルトを巻く自信はあった。決定戦は7月に実現していた。1回に定常からダウンを奪い、完全有利な状況で2回に突入。ここでアクシデントに見舞われた。沢田は偶然のバッティングで額を9針も縫う裂傷を負った。
 試合はストップし、負傷ドロー。つかみかけたベルトが手のひらから、こぼれ落ちた。その再戦が今月に予定されていた一戦だった。
 今に始まったわけではない。沢田ほど不運続きのボクサーは珍しい。初のタイトル戦が決まったのが2019年10月。試合は昨年4月に組まれたが、コロナ禍で無期限延期となり、未開催のまま、ついに年が明けた。
 すると今年1月、当時の王者が突然の引退表明。試合は消滅した。空位となった王座を決める定常との決定戦も元々は今年5月に開催予定だった。それが再びコロナ禍で7月にズレ込んでいた。
 何度でも立ち上がる。来年早々、改めてランキング上位選手との決定戦が組まれる見込みだ。沢田はすでにトレーニングを再開。家族のためにも必ず王者になると決めた。
 妻の環さんは今回も落ち込む夫を励まし続けた。沢田は「僕がいない時に泣いてくれていたらしいです。応援してくれるすべての人のためにチャンピオンになる」。闘志は失われていない。

■プロフィール

 沢田 京介(さわだ・きょうすけ)1988年2月16日、石狩市生まれ。中学3年の春、札幌市のK&Kボクシングクラブで競技を始める。札工高3年時に全国選抜、インターハイでともに準優勝(ライトフライ級)。日大に進学し、3年時には国体でベスト4(バンタム級)。プロデビューは2013年4月。プロ18戦14勝(6KO)2分2敗。右ボクサーファイター。167センチ、53キロ。血液型AB。家族は妻と2男1女。

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