冬季スポーツ
2021/11/18 14:39

札幌に「小鍛冶組スケーティングチーム」学生スケーターの受け皿に

2030年札幌冬季五輪実現に向け、活動に熱が入る鈴木さん。後進の学生スケーターの受け皿確保にも奔走する(撮影・西川薫)

 道産子学生スケーターに卒業後の競技環境を提供したい―。1984年サラエボ冬季五輪スピードスケート男子短距離日本代表で、日本スケート連盟強化スタッフの鈴木靖さん(59)が提唱する「札幌スケートスクラム構想」の第1弾として、札幌に「小鍛冶組スケーティングチーム(仮称)」が来春誕生する。すでに選手1人も内定し、第2弾に向かって進行中だ。2030年の札幌五輪招致も見据え、鈴木さんは地元企業と選手のキューピッド役に力を尽くす。

サラエボ五輪代表・鈴木さん提唱 1社1選手の「スクラム構想」

 鈴木さんは、日本連盟強化スタッフとして現場を見てきた。「道内の学生は一部を除き、卒業後は道外へ出て行く。不安なく夢に向かって行けるのか」。国内トップクラスでさえ、実業団に進めるのはほんの一握り。「なんとか卒業後も道内で競技生活を送れるように」と、選手たちの受け皿となる環境づくりを模索してきた。
 1社で複数の選手を抱えるのは厳しくても「1社1人なら可能ではないか」と鈴木さん。そこでたどり着いたのが「札幌スケートスクラム構想」だった。「一人一人がスクラムを組んで競技力向上に向かって行ければ」と、複数企業が一つのグループとしての活動を視野に入れる。
 賛同したのが札幌に本社を置く、とび・土工の老舗である小鍛冶組。これまでも北照高野球部、東海大札幌高スキー部へ支援を続けてきた。同社の小鍛冶洋介社長(44)は「北海道で育ててもらった企業として、恩返しとして(選手の)活躍の場をつくりたい。社員で雇用し、全面的にバックアップしていく」と、快く協力を買って出た。
 鈴木さんは現在「北海道オール・オリンピアンズ」のGMとして、2030年の札幌五輪実現に向け、活動している。開催が決定すれば「地元アスリートを応援してもらえるのではないか」と賛同企業が増えることに期待する。当面は10社10選手を目標に同構想の活動を続ける。1人でも多くの選手の受け皿となって、将来のメダリスト輩出へとつなげていく。(西川薫)

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