アマスポーツ
2023/12/18 18:00

《人ほっとコーナー》理学療法士をしながら、社会人バスケットクラブで活躍する久保愛里さん(26) ウインターカップ控えた母校・札山の手にエール

理学療法士とバスケットボール選手の二刀流で活躍している久保愛里さん(撮影・小田岳史)

札幌市内の整形外科でけがと向き合う

 現在、白石整形外科の理学療法士として勤務している久保愛里さん(26)は、社会人バスケットボールのアカシヤクラブで活躍中だ。高校時代は札幌山の手で主将を務めた。

 理学療法士の仕事を選んだのは、全国強豪の札幌山の手高バスケ部に理学療法士のトレーナーがついており、自身もリハビリを経験して患者に寄り添ったりアドバイスすることに魅力を感じた。「この仕事をしたい!」と決めてから迷うことはなかった。職場では自身の競技活動に理解があり「練習や大会に参加できるのも、この職場のおかげ。感謝しています!」と話す。

「歴代暗黒時代」と上島コーチからハッパ

 2015年に札幌山の手高の主将を務めた。町田瑠唯(30、富士通)や長岡萌映子(29、ENEOS)らWリーグ、日本代表で活躍するOGがいる一方で、2015年代はレジェンド世代との対比から歴代暗黒時代と上島正光コーチ(80)に言われていた。上島コーチは〝人のために〟をとても大切にしており「チームとして何かを成し遂げるのが上島流、テクニックより人間性やメンタル面での指導が印象的です」と当時を振り返る。ウインターカップ2015は「なんとしても2014年と同じ3回戦までは…、伝統と意地も背負っているから負けられない」と3回戦まで勝ち上がり、昭和学園(東京)に敗退し高校バスケ生活の幕を閉じた。

2015年12月のウインターカップ2回戦 札山の手vs広島観音、こぼれ球に食らいつく久保愛里(右)

 

今年は「チームバランスがよく、全員3点シュートを狙える」

 今年ももう少しでウインターカップ2023全国大会が開幕する。今年の札幌山の手について久保さんは「去年の森岡ほのか(19、日立)のような選手はいなく、平均身長も決して高くない。ただチームバランスがとてもよく、全員が3点シュートを狙えるし、個々の役割分担がしっかりしている。優勝はもちろんだが、勝ち上がれば昨年優勝の桜花学園(愛知)と当たるかもしれないので、そこを一つの目標にしてほしい」。

大学1年で「1部昇格できたのが一番の思い出」

 卒業後、北海道文教大に進学し、入学してすぐ高校の先輩に誘われ約4年間コートを走り続けた。大学時代の思い出は「1年生で入部した時は2部リーグだったが、その年に1部へ昇格できたのが一番の思い出です!」と懐かしむ。就職後は初めて1年近く競技から離れた。「理学療法士の仕事はけがに触れる仕事。快方に導く仕事なので真剣に向き合うことが今やるべきこと」と患者を優先した。

「1年でも1日でも1分でも長くコートに立ちたい」

 現在は札幌山の手OGで設立した社会人チーム〝アカシヤクラブ〟に所属。高校時代の副主将・吉谷瑠衣さんに誘われたのがきっかけだ。「まさか高校時代の主将、副主将が揃ってまたバスケができるなんて! しかも彼女は今のチームの主将なんですよ(笑)」チーム内ではけがした選手のケアも関わり自身の経験を最大限に生かしている。「1年でも1日でも1分でも長くコートに立ちたい。ボールに触れていたい」。誰よりもけがした選手に親身になれ、誰よりもバスケットボールをこよなく愛する久保さんの二刀流生活はまだまだ続く。

アカシヤクラブに所属する吉谷瑠衣さん(左)と久保愛里さん(右)=本人提供

 

バスケ病は「リハビリできないので手足が動く限り続ける」

 最後に久保さんはこう話した。「私、たぶんバスケ病にかかっているんです、この病気はリハビリもできないので手足が動く限り続けていきたいです」。この先もバスケ生活にドライブをかけて突き進む!


■プロフィール 久保愛里(くぼ・あいり) 1997年9月24日、芦別市生まれ。姉の影響で小学1年生にバスケットを始め、札幌山の手高校バスケットボール部に所属。同校卒業後、理学療法士になるべく北海道文教大へ入学。同校卒業後2022年に白石整形外科に就職。現在、理学療法士をしながら社会人チーム〝アカシヤクラブ〟のメンバーとして活躍する。

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