冬季スポーツ
2021/10/29 12:50

《目指せ北京五輪》中村 北京へ遅咲きの花を咲かす

18年11月のNHK杯では小林陵(右)が優勝し、中村が2位となった

小林、高梨と同世代

 スキージャンプの黄金世代からまた1人、オリンピアンが誕生しそうだ。札幌出身の中村直幹(25、フライングラボラトリー)は、高梨沙羅(25、クラレ)、小林陵侑(24、土屋ホーム)と同じ1996年生まれ。世界の頂点を争う2人に負けじと一歩一歩、五輪への距離を縮めている。
 決してスター街道を歩んできたわけではない。競技を始めたのは小学5年と比較的遅く、当時は野球との二刀流。右肘のケガを機にスキージャンプに専念するようになったのは中学からだ。「(全国大会では)2桁順位しか記憶にない」と中学、高校時代を振り返る。
 大学入学後も五輪は遠い存在だった。16年までW杯出場経験もなかったが、日本男子のエースに成長した同学年からの言葉に「変わらないといけないと思った」。平昌五輪で高梨が銅メダルを獲得し、小林陵が日本勢最高の7位(NH)に入賞した。大会後、一足先に大舞台を経験した小林陵から「早く来いよ」とハッパをかけられた。
 翌シーズン、初めてW杯開幕戦に出場すると、今季を含め4季連続で開幕メンバー入り。ライバルの背中を追い、国内トップ選手の仲間入りを果たした。
 今季は11月20日のニジニタギル大会(ロシア)を皮切りにW杯を転戦する。負傷者が相次いだ場合を除き、海外遠征メンバー10人から北京五輪の代表5人が選出される予定だ。
 「いつ(代表候補から)落とされてもおかしくない厳しい状況。勝負事になると焦ってしまう面もある。でも自分のジャンプに集中したい」と気持ちを奮い立たせる。
 テレビ越しに同学年のジャンプを見守り「いつか」と思いをはせた18年冬。来年2月には自分も4年に1度の大舞台で空を舞ってみせる。
(島山知房)

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