ファイターズ
2021/10/27 13:18

栗山監督 有終本拠地サヨナラ締め “息子たち”の手で10度舞った

10年間ありがとうの思いが込められ、“息子たち”の手で10度、宙を舞った栗山監督(撮影・大島拓人)

■日本ハム1ー0西武(26日、札幌ドーム)

 最後は泣いて、笑って、サヨナラだ! 日本ハムは26日、今季のホーム最終戦となる西武戦を1―0のサヨナラ勝利で締めくくった。今季限りで退任する栗山英樹監督(60)の本拠地ラスト采配。2012年の“同期入団”で、志願して先発したエース上沢直之投手(27)が7回2/3を無失点に抑え、その後は宮西尚生投手(36)が14年連続の50試合登板で記録を更新するなど0封リレー。打線は九回に押し出しでの1点をもぎ取り、有終の美を飾った。

大谷からメッセージ 思わぬサプライズに涙

 涙が止まらなかった。劇的なサヨナラ勝利で締めくくった本拠地最終戦。試合後のセレモニーでは、思わぬサプライズがあった。就任1年目の2012年から節目を振り返る映像が、球場のビジョンに流された。
 “まな弟子”大谷(エンゼルス)からもメッセージが届いた。「今こうして周りの人に(投打二刀流を)少しずつ受け入れてもらえているのも、栗山監督がいてくれたからです。あんまり長くなると、監督泣いちゃうかもしれないので、この辺にしたいなと思います。本当に10年間お疲れさまでした。そしてお世話になりました」。その言葉通り、映像を見終わった栗山監督の目は涙でいっぱいだった。
 選手思いの監督―。選手を第一に考える姿勢は、10年間変わることはなかった。当然、選手たちにもその思いは十分に伝わっている。最後に選手やコーチ、スタッフらに声を掛けながら、一人一人と握手を交わしていった。西川や渡辺、清水といった面々は涙をこらえることができなかった。
 「やって良かったのかなって、いつもその自問自答っていうのはあった。もし選手たちが何かを感じてくれるのであれば、それはうれしいこと。ちょっとだけホッとした。ファンのみなさんの表情も含めて」
 多くの思い出が詰まった札幌ドームでのラストゲーム。試合前は「選手の涙だったり、そのときどんな言葉をかけたり、どんな風に思ってやってくれたのか、とか。それが宝物。でも、それを考え出したらやばいので、一切思考を止めているよ」と話すなど、こみ上げる思いを押し殺すことで精一杯だった。
 ホームユニホームを着ての試合はこの日で最後となった。セレモニーで胴上げされ、選手たちの手で10度、宙を舞った。「これをもって、(ホーム)ユニホームを脱げるし、感謝しています」と頭を下げた。そして、「これから選手たちに恩返ししていかなきゃ」。“息子たち”を思う気持ちは、ユニホームを脱いだ後も不変だ。
(十島功)

近藤選手会長あいさつ「栗山野球を継承する」

 試合後に本拠地最終戦に合わせたセレモニーが行われた。選手、首脳陣がマウンド付近に整列。今季の戦いを振り返る映像が映し出された。選手会長の近藤はふがいないシーズンに終わったことを謝罪し「栗山野球をベテラン、中堅選手が継承し、若い選手、新人が新しいピースとなり、変わったファイターズをお見せできるよう、来年は頑張りたいと思います」と決意を表した。
 今季限りで退任する栗山監督は「ここにいる全員が、この悔しさを感じています。来年は必ず皆さんに優勝というプレゼントを届けてくれるはずです。私はユニホームを脱ぎます。これからは皆さんと一緒にこの選手たちを応援していきます」とあいさつ。最後は全員で記念撮影し、ファンの温かい拍手を受け、球場内を一周した。

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