ファイターズ
2021/10/19 12:24

加藤初完封 6年目初の規定投球回数に到達

プロ6年目での初完投が初完封。“大仕事”をやってのけた加藤(右)は栗山監督と笑顔で喜びを分かち合った(撮影・国政崇)

■日本ハム5-0楽天(18日、楽天生命パーク宮城)

 加藤お見事初完封! 日本ハムは18日、楽天と今季カード最終戦を敵地で戦い、5―0で勝利。先発した加藤貴之投手(29)が楽天打線を3安打無四球に抑え、プロ6年目での初完投勝利を完封で飾った。日本ハムの左腕投手による完封は2012年9月に吉川光夫投手(33、西武)が達成して以来、9シーズンぶり。また、ルーキー細川凌平内野手(19)が同戦に「8番・遊撃」で1軍デビュー。四回の第2打席で見事、中前打を放ちプロ初安打をマークした。

 プロ6年目。初めて最後まで立ち続けたマウンドで、加藤が静かに喜びをかみしめた。九回2死、浅村を遊ゴロに仕留め、104球での初完投初完封勝利を収めた。
 「素直にうれしいし、いつかはしたいと思っていた。本当に野手の方のおかげですし、ブルペンの方にもいつも迷惑かけているので、投げ切れて良かったです」
 元々、自己評価が低く「人が思っていることよりも下にしてしまう」タイプ。しかしその分、自らを見失うことなく、目指すところがぶれない。「150キロを投げられるなら投げたい」というが、たどり着けないことは誰よりもわかっていた。だからこそ「勝さん(武田投手コーチ)みたいな精度とコントロールを身に付けたい」と、球のキレと制球を伸ばすことに時間を費やしてきた。
 この日は、その磨いてきた武器が抜群だった。奪った8三振のうち、半分が見逃し三振。打者にバットを出させないほどの切れ味だった。「僕は優心(清水)のミットめがけて投げている。それだけです」と謙遜したが、投球の鋭さは誰が見ても明らかだった。
 加藤は、栗山監督にとっても欠かせない存在だった。どの投手にとっても困難な立ち上がりを、加藤は簡単に乗り越えていく。その一方で2巡目、3巡目になると被打率が上がる傾向があった。
 2019、20年と左腕の強みを生かしながら、チームの勝利を増やすために、先発して短いイニングを投げさせる「F流オープナー」を敢行した。「加藤しかできないことをやってもらっていた。あのときにやった、いろんな作戦も必ず生きるから。チームにとっても、野球にとっても」。信頼を寄せているからこそ、球界に一石を投じる大きな役割を担わせた。
 難しい任務を黙々とこなしてきた加藤は「長所を監督が見つけてくれた。僕は監督の下で野球ができて良かったなと思います」と、改めて感謝の気持ちを示した。今季は先発に専念し、この日の七回を投げきった時点で「ずっと目標だった」規定投球回にも到達した。
 今季限りで退任する栗山監督にとって、残された時間はあとわずか。「栗山野球の申し子」でもある背番号14が、最後に最高の“親孝行”をしてみせた。(十島功)

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