ファイターズ
2023/05/07 21:45

上川畑 適時失策のちサヨナラ打「負けたらきょうは寝られないなと思っていた」

サヨナラ打を放った上川畑(中央)がチームメートの祝福を受け感慨深い表情を見せる(撮影・桜田史宏)

■パ・リーグ9回戦 楽天2-3日本ハム(5月7日、エスコンフィールド北海道)

三回に先制点を献上する痛恨のトンネル 勝利につなげてくれたチームメートにも感謝

 まさに、雨のち晴れだった。日本ハムの上川畑大悟内野手(26)が7日、エスコンフィールド北海道で行われた楽天戦に「8番・遊撃」で先発フル出場し、劇的なサヨナラ二塁打を放った。三回に先制点を献上する痛恨の適時失策を犯していたが、値千金の一打で即挽回。「負けたら、ちょっときょうは寝られないなと思っていた。(1点差に詰め寄った)矢沢の犠牲フライにも感謝ですし、グワチョ(マルティネス)の(同点)ホームランにも本当に感謝ですし、ピッチャーの方にも感謝です」と、勝利の可能性をつないでくれた仲間たちに頭を下げた。

「打てない、守れないでは、試合に出る価値がない」

 沈んだ気持ちを新球場の大歓声で立て直し、打席に向かった。九回1死一、二塁。「打てていない、守れないでは、試合に出る価値がない選手になってしまう。ここのところ(打撃で)結果も出ていなくて、メンタル的にもきつい部分はありましたけど、もうしてしまったことはしょうがないと切り替えて、打つ方で取り返すしかないと思った。何とか決めたい、負けられないという気持ちだった」。思いを込めたスイングは宮森の直球を捉え、打球は前進守備を敷いていた中堅・田中和の頭上を大きく越えていった。

2万5250人のファンにも感謝 大声援を感じプロ2度目の「サヨナラ打につながった」

 昨年9月17日のロッテ戦(札幌ドーム)以来、プロ2度目のサヨナラ打。ヒーローインタビューでは「外野が前に来ているのは分かっていたので、打った瞬間抜けたかなと思った。良かった」と振り返り、「本当にたくさんの方が球場に足を運んでいただいて、最後の打席でもすごい大きい声援を感じることができて、サヨナラ打につながったと思う。本当にありがたいです」と、ゴールデンウイーク最終日に詰めかけた2万5250人のファンに感謝した。

 守備の名手らしからぬミスだった。三回1死一、二塁で島内の遊ゴロをトンネルし、先制点を奪われた。さばけば併殺の可能性もあっただけに、手痛い失策。試合後、上川畑はバウンドの変化など外的な要因を否定し「もうあれは僕の技術不足。僕のようなタイプの選手は絶対にしてはいけないプレー。しっかり反省して、次しないようにやっていく」と再発防止を誓った。

最近は積極的に早出特打を敢行 昨年の映像と見比べながらフォームを改善し徐々に復調

 打撃不振が続いていたが、この日は失策後の五回にも得点につながる三塁打をマークし、4打数2安打1打点。最近は積極的に早出特打を行い、「ここ2日くらいの練習は少しだけ良い感じになってきた」と復調の兆しをつかんでいた。好調だった昨年の映像と見比べながら、フォームを改善。「少し体に硬さが出ていた」と、毎日打撃練習前に40分ほどストレッチを取り入れ、少しずつ調子を上向かせてきた。

まな娘の存在で奮起 「今年が勝負。プロ野球人生の分かれ目…」

 2月の春季キャンプ期間中には、「今年が勝負。プロ野球人生の分かれ目になる。やってやるぞという気持ちは強い」と並々ならぬ決意を口にしていた。心を奮い立たせた理由の一つが、昨年11月に生まれたまな娘の存在だ。

命がけの〝戦い〟を終えた愛妻へ

あわせて読みたい