高校野球
2021/10/13 12:00

クラーク高 秋初優勝 センバツ甲子園確実

悲願達成! 秋の全道を初制覇し、マウンド付近で一本指を空に掲げるクラークナイン

■秋季全道高校野球最終日(12日、札幌円山)

 53年ぶりの北北海道勢対決となった決勝は、クラークが3―1で旭実を下して初優勝。来春のセンバツ甲子園(3月18日開幕)への出場を確実にした。一回に4番・麻原草太捕手(1年)の左前適時打で先制すると、その後も六、七回に1点ずつ加点。投げては辻田旭輝(2年)、山中麟翔(りんと、2年)の両投手が好投し、リードを守り切った。クラークは11月20日開幕の明治神宮大会に道代表として出場する。

秋3度目の挑戦 強豪校次々と撃破

 秋の全道3度目の挑戦で、ついに頂点に立った。クラークは初戦の駒大苫小牧戦で初勝利を挙げると、北海、東海大札幌高といった甲子園常連校を次々と撃破。最後は同じ北北海道のライバル・旭実を退け、初優勝を果たした。

 不完全燃焼で高校野球を終えた先輩にささげる優勝だ。コロナ禍で甲子園が中止となった2020年夏。道高野連独自の北北海道大会で優勝していたが、聖地でのプレーはかなわなかった。

 白取太郎主将(2年)は3日前、当時左翼のレギュラーだった菊地飛翔(つばさ、八戸学院大1年)と電話した。「絶対、甲子園に行ってくれ」と思いを託され、大一番を迎えた。

 「自分たちを通して、甲子園を見させてあげようという気持ちで戦った」。準決勝までの4試合で2安打と苦しんでいたが、この日は2安打1打点。七回にはダメ押しの適時打を放ち、勝利を引き寄せた。

 創部3年目の16年に夏の甲子園初出場を果たすも、以降は聖地から遠ざかっていた。今夏の北北海道大会は初戦で敗退し「何か変えないといけない」と危機感を感じた佐々木啓司監督(65)。8月に帯広市内で合宿をしていた亜大の練習を全員で見学した。

 神宮大会と全日本大学選手権で計9度の日本一を誇る強豪大学の練習を目の当たりにし「すごい衝撃だった」と白取主将。技術はもちろん、声かけや全力疾走などプレー以外の面に感銘を受けたという。

 1、2年生には真面目な選手が多く、新チーム始動時は「静かでぎこちない雰囲気だった」が、練習見学後からチーム内に活気が生まれた。「ピンチとかチャンスでも声が切れないで、ずっと出し続けられた。そのおかげで冷静さを保てた」と変化を口にした。

 かつて駒大岩見沢で指揮をとった佐々木監督にとっては2007年以来の秋全道制覇。胴上げで5度、円山の空に舞った名将は「まだまだ成長過程。総合的にチーム力を上げていきたい」。次なる戦いの舞台は明治神宮大会。札大谷以来となる道勢3年ぶりの優勝に向け、さらなる成長を誓った。(島山知房)

この日誕生日の89歳・三浦校長へ最高の贈り物

 12日に89歳の誕生日を迎えた冒険家の三浦雄一郎校長もスタンドから試合を見守った。昨年、頸髄(けいずい)硬膜外血腫を発症し、現在もリハビリを続けている。「昨年の夏も今年になってからも野球部の活躍に大きな力をもらってました。きょうはスタンドで応援ができ、皆さんの勇姿を見れたこと、そして優勝が最高のプレゼントです」とコメントした。

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