三重県で合同自主トレ　充実の２週間

　則本流フォームで１０勝だ！ 日本ハムの吉田輝星投手（２２）が１９日、自主トレ先の三重県内でオンライン取材に応じ、合同で練習している楽天の則本昂大投手（３２）から、「２桁（勝利）いったれ！」とハッパをかけられたことを明かした。昨季は５１試合に登板したが、先発は４試合。今季は先発ローテーション入りを目標に掲げる。憧れの先輩から投球時の体の使い方などを細かく指南され、手応えは上々。初の〝弟子入り〟を、飛躍のきっかけにするつもりだ。

　充実の２週間だった。５日から参加した則本との合同自主トレも、２０日で終了する。多くの刺激を受けた吉田は「則本さんから『いい球が投げられている』と言ってもらった。『２桁いったれ』と言われているので、それができたら理想かなと思います」と、師匠からの〝１０勝指令〟クリアに意欲を見せた。

念願の弟子入り　「こう動かせばいいんだなって分かった」

　高卒４年目だった昨季は中継ぎで初めて１軍に定着し、確かな成長を示した。しかし、右腕が望むのはあくまでも先発だ。だからこそ、「フォームを見て、すごい教えてもらいたいなってプロに入ってからずーっと思っていた」という則本に自主トレ参加を志願し、助言を求めた。

　「則本さんは体の使い方がすごい上手。軸足の使い方、体重移動の仕方が、教わりたいなと思っていた部分。そこを親切に教えてもらった。フォームの意識をこの２週間でたくさん聞いて、則本さんのフォームをよく見て、毎日動画も見た」と三重での練習を振り返り、「こう動かせばいいんだなっていうのが分かった。少しずつ良くなっている」と充実感をにじませた。

右股関節の使い方を修正　ボールの伸びを実感

　特に、左足を上げて体重移動を始める際の、右股関節の使い方を重点的に修正した。効果はてきめんだったようで、則本との遠投を見たトレーナーから「そこら辺、重力なくね？」と驚かれるほど、ボールの伸びが進化した。「股関節の使い方に慣れて、自然にできるようになってきた時に、たまたま則本さんと遠投していた。軽く腕を振っているのに最後まで伸びていくなっていう感じがあった。前より遠投がきれいになって、投げたい球が投げ始められている」と大きな手応えを感じている。

昨季、先発で競演も黒星　目指すは恩返しの快投

　野球以外でも貴重な時間を過ごした。期間中は寝食をともにし、１２日の誕生日にはメンバー全員から祝福を受けた。「則本さんは、僕が話しやすいようにすごいフランクに接していただいた。活躍している選手は人間性がすごい。僕も少しでも早く則本さんのような人間になれるように頑張りたい」と先輩への敬意はさらに深まっている。昨年、秋田でともに先発して対戦した際は、五回途中２失点で投げ負けた。〝再戦〟を心待ちにしつつ「今はそんな、勝てるイメージは沸かないですけど、コツコツ積み重ねていって、投げ合った時にいい試合ができれば」と恩返しの快投をイメージした。

〝佐々木希効果〟で合同練習メンバーと急接近

　則本自主トレでは、吉田以外の全員が楽天の選手だ。「受け入れてもらえるかすごい心配だった」と最初は緊張していたが、合流直後に同郷の女優・佐々木希がインスタグラムに２ショット写真を投稿したことで一気に距離が縮まった。「楽天の方たちから何つながり？ みたいな感じで聞かれて、いや～出身一緒なんです、みたいな話をして。たまたまそういう話題があって、会話の中に入っていけてすぐに溶け込めた。良かったです」と故郷の〝女神〟に感謝した。

　年末年始は地元・秋田でつかの間のリフレッシュタイムを過ごした。「毎年行く神社があって、そこに行ってしっかり今シーズンもけがしないようにって祈ってきた。おみくじはしっかり大吉引いてきました」と〝好スタート〟を決めてきた。佐々木希との対面を振り返りながら「シーズンオフしかああいう機会はめったにないので、すごく良い機会になりました」と優しい笑顔を見せた。

例年以上のハイペース調整　「先発で優勝の力に」

　キャンプインまで、もう時間はない。２月１日の紅白戦も、当然投げるつもりで準備している。「例年よりもだいぶ早く、（１２月に自主トレを行った）鹿児島でも何回か捕手を座らせて投球した。キャッチボールの最後に、必ずブルペンで立ち投げだけは毎日するようにして、マウンドで投げる感覚をなくさないようにしてきている」と鼻息が荒い。

　師匠に課された１０勝が、自身にとって高いハードルであることも自覚している。「まず先発で１勝すれば、勝つことがどういうことか分かってくると思う。自分のピッチングを表現して、勝ち星も伸びてきたらいい。先発として１年間、優勝の力になれるように頑張りたい」と力を込めた。プロ５年目を迎え、２２歳になった吉田。則本の背中を追い、今年こそ先発投手として一本立ちしてみせる。