高校野球
2022/07/25 23:10

知内 初V王手! エース・坂本がプロ注目左腕対決制した

初の決勝進出を決めた知内ナインはスタンドの応援席へ向けてガッツポーズを見せる(撮影・桜田史宏)

▽全国高校野球選手権南北海道大会準決勝 知内2-1東海大札幌高(25日、札幌円山)

 準決勝2試合が行われ、プロ注目の4投手が激突した。知内は2―1で東海大札幌高との接戦を制し、初の決勝進出。1点リードの五回1死二塁で、スタメンただ1人の地元・知内中出身、9番・渡辺流叶二塁手(3年)が右前適時打で貴重な追加点を挙げ、1回戦から3戦連続完投した左腕エースの坂本拓己投手(3年)を援護した。

相手エース・門別から空三振 春全道と練習試合の雪辱晴らした

 創部41年、知内がついに初の夏の甲子園へ王手をかけた。就任7年目の吉川英昭監督(46)は「本当に次だなと。今まで負けていった3年生の顔も浮かびましたし、生徒を信じて良かった。決勝では甲子園を一切意識せずに、僕らのやってきた姿をみてもらいたい」と、これまで通りプレー中にも笑顔を絶やさない普段着野球で挑む。

 坂本が、プロ注目の左腕対決を制した。1点リードの九回2死、打席には相手左腕エースの門別啓人投手(3年)。1―2からの6球目、スライダーで空振り三振を奪うと、左手で大きくガッツポーズした。「1打席目に、スライダーで三振に打ち取って、そう簡単に手は出ないのが分かっていた」。春季全道2回戦と、その2週間後の練習試合で敗れたリベンジを果たした。

唯一の地元出身・渡辺が決勝打「打てる、打てるって言い聞かせた」

 地元出身の渡辺が、大仕事をやってのけた。1―0の五回1死二塁。「初球のまっすぐに張っていて、打ってやろうと思っていた」と迷いなく振り抜き、値千金の右前適時打に。春の対戦でも門別から適時打を放っており、「打てる、打てるって言い聞かした」と己を信じた結果だった。

 渡辺の母・裕子さん(39)も、同校の元マネジャーと〝縁〟は深い。野球部は定期的に地元の小学生に野球を指導。母の影響で〝息子〟もすぐに溶け込めた。その時を知る吉川監督も「少年野球教室をやった時に、『いつかやろうぜ』ってボールを渡した。実現してうれしかったですね」と頬を緩めた。

 渡辺が1年秋に全道4強入り。21世紀枠候補に選出されたが落選した。その時の主力だった川村亮太前主将(北海学園大1年)から「誰かのためにやるヤツは強い」という言葉を受け継いだ。「先輩を越えて絶対に甲子園に行く。部員66人全員で勝ちに行きたい」。4000人の町民の期待を背負い、3季通じて初の頂点に立ってみせる。

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