ファイターズ
2022/07/09 00:10

「無心で走った」3年目・宮田のプロ初安打は〝らしさ全開〟の内野安打

二回2死にプロ初ヒットとなる内野安打を放つ宮田(撮影・桜田史宏)

■日本ハム4-2ソフトバンク(8日、ペイペイドーム)

名手・今宮上回る快足「盗塁のことしか考えていなかった」

 目にも留まらぬ速さで、一塁ベースを駆け抜けた。プロ3年目、支配下選手となって2年目の宮田輝星外野手(24)が、らしさ全開のプロ初安打をマークした。

 「9番・左翼」でプロ2度目の先発出場を果たすと、記念の瞬間は二回の第1打席に訪れた。相手先発・レイのカットボールを叩きつけ、打球は高いバウンドで遊撃へ。名手・今宮は無駄なくさばいたが、宮田の足がわずかに勝った。「ボスからは、とりあえず前に飛ばして勝負しろという感じだったので、前に飛んだら無心で何も考えずに走った」。ベンチのビッグボスは、大喜びで記念球を回収した。

 藤本監督からリクエストがあったが、韋駄天の頭の中は〝次の仕事〟のことだけだった。「どう盗塁しようかなと、紺田(外野守備走塁)コーチと話していた。盗塁のことしか考えていなかった」。プロ初安打が懸かった緊張の時間も、チームに貢献することに集中していた。

 地元は鹿児島で、福岡大出身。今季の目標の一つが、6月24日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)に出場することだった。宮田が高校2年時、がんで亡くなった父・成男さんの命日。けがでの出遅れもあり、理想通りとはいかなかった。それでも2週間後にゆかりある九州の地でメモリアル打を放ち「初ヒットが福岡っていうのも、また何か父の力が働いたのかもしれない。すごくうれしく思います」と表情を緩めた。

西川に赤星氏―走塁のプロを質問攻めで極意吸収

 積極性が持ち味だ。自ら動き、貪欲に成長してきた。昨季は西川(現楽天)が2軍調整中に質問攻めにし、盗塁や守備の極意を学んだ。「西川さんは、これやった方がいいよっていう感じではなくて、自分に合ったものがあるから、それを自分で見つけた方がいいよっていう感じの言葉をいただいた。自分はこれっていうのを見つけるために、日々やっている」と助言を胸に、練習を積んできた。

 さらに、今年2月の春季キャンプでは、ビッグボスの依頼で指導に訪れた元阪神の赤星氏を密着マーク。午前中の走塁指導後、午後からは打撃指導を行う予定だった〝先生〟を五十幡、細川とともに捕まえ、納得するまでとことん質問を繰り返した。

 何が何でも1軍の戦力になると、心に決めている。もらった記念ボールは「両親に渡します」。誰よりも応援してくれていた父に、これからもプロ野球選手として活躍する姿を見せ続ける。

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