コンサドーレ
2022/04/05 23:25

札幌の起爆剤FW中島大嘉はメキメキ成長中

鳥栖戦でのゴールを狙うFW中島(撮影・石栗)

悔しさバネにサポーターたちに応える

 「お疲れ! ナイスプレー! あれは止まれなかったよな」

 ヒートアップした2日の浦和戦後、ミックスゾーンでの心温まる一コマだった。元日本代表GK西川周作(35)に、トレードマークの坊主頭をなでなでされながら、そうフォローされた北海道コンサドーレ札幌FW中島大嘉(19)は、恐縮しながらチームバスへと向かっていった。

 同戦では1枚目の交代カードとして後半15分から出場。同20分に西川とスピードに乗って交錯したシーンを含め、ハッスルプレーで勝利を追い求めた。ゴールを奪えなかったぶん、自己評価は辛口で「最低限のちょっと下」と悔しがったが、与えられた今季最長のプレー時間が、ペトロビッチ監督の期待を反映した。真剣勝負での濃密な時間が、中島の急速な成長を促している。

 19歳の若きストライカーは今、芽吹きの時を迎えつつある。チームのFWではドウグラス・オリベイラ(27)と並んで最も高さがあり、大きなストライドを生かしたスピードも魅力。試合の流れを変えるために投入され、確かな存在感を発揮している。ここまでチームトップの公式戦3得点。いずれもビハインドでピッチに送り出され、勝ち点獲得に貢献した。

 「去年はメンバー外が続いていて、ずっと悔しい思いをしていた。その中でもしっかり積み重ねてこれたのが、今につながっていると思う」

 昨季のリーグ戦出場は3試合。2年目の今季、既に並んだ。

 「サポーターの人たちも今までより注目してくれていると感じていて、それはめっちゃうれしい」

 その人懐こさはルーキー時代と全く変わらないが「そろそろゴールを決めないと、またベンチ外の日々になってしまう。ゴールを取って、『やっぱり大嘉を使った方がいいな』とミシャ監督やチームメート、サポーターの人たちに思わせたい」と、ピッチに立つ覚悟は決まっている。

 ペトロビッチ監督には「若いだけでチャンスをもらえるわけではない。練習でできることを示した選手がチャンスを得られる」との考えがある。

 ある程度メンバーを固定し、連係の完成度を高めていくスタイルの指揮官の心を、中島は日々の鍛錬と結果で動かしつつある。その躍動が、チームメートの心に火をつけないはずがない。開幕から6戦連続ドローと波に乗りきれないチームにおいて、起爆剤としての役目を十分に果たしている。

 6日のアウェー・鳥栖戦へ向けても、出番をイメージし調整を進めた中島。「連戦だからチャンスがくるというのは甘い考え。きょうの試合が自分の最後かもしれないと思って、結果にコミットしていきたい」。猛アピールは続く。ギラギラを隠さない点取り屋が、札幌に待望の今季初勝利を呼び込む。

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