【あの日の舞台裏】サフォ劇的弾に涙した山本龍希通訳「それが一番の喜び」新天地・北海道に憧れた理由は―
ヒーローインタビューで声詰まらせ
北海道コンサドーレ札幌が4-3の劇的勝利で6連勝を飾った5月9日のホーム大宮戦で、来日3シーズン目のFWキングロード・サフォ(24)が後半アディショナルタイムに来日初得点となる決勝ゴールを決めた。その日のヒーローインタビューでは、目を潤ませたサフォと共に今季から英語通訳を務めている同じ年の山本龍希さん(24)も感慨に浸った。サフォが今の気持ちを問われて「ジャンボ、ジャンボ、ジャンボ、ジャンボ!」と母国語で感情をあらわにし、山本通訳は「ジャンボは本当に嬉しい気持ちでいっぱいという意味ですね」と訳し、自らも声を詰まらせた。
感慨深いのと叫びすぎたのが重なり
山本通訳は後日、その舞台裏を明かした。「もちろん彼のゴールがすごく感慨深いというのもあったんですけど、試合終盤で『キング! キング!』って(指示を伝えるため)ずっと叫んでいたので、喉がおかしくなっていて。その2つの要素が重なって、めっちゃ泣いている人みたいになっちゃいました(笑)」と、その時の心境を振り返る。
ゴールシーンでは、ベンチから真っ先に飛び出してサフォの元へと駆けつけたことも印象的だった。「あれはとっさに動いたというか。だいたいゴールが決まっても次のコーチの指示があったりするのでベンチに留まることが多いんですけど、(決めた)時間帯と決勝ゴールになると考えたら行っちゃっていいかなと思って、行っちゃいました」と、感情的になってしまった。
通訳の仕事は翻訳だけではなく…
通訳の仕事はヒーローインタビューのほか、試合や練習時に監督、コーチの指示を翻訳して選手に伝えることだが、それ以外にも多岐にわたり、「見えている部分は10%、20%くらい」だという。「選手と日本との架け橋ですね。見えない部分はたくさんあります。ビザの更新の手続きとか、ゴミ出しの仕方を教えたりとか。(選手に)家族がいるときは、家族の病院に付き添ったりもします。去年、(鳥栖で)見ていた選手は子供がけっこう熱を出しちゃったりしていたので病院によく行っていました。常時べた付くわけではないですけど、困ったら頼ってくれる存在になれたらいいかな」と生活面も全てサポートしている。
現在、札幌で担当している選手はサフォとFWアマドゥ・バカヨコ。2人とも現在は1人暮らしをしているが、「アマ(バカヨコ)が免許を持っているので、普通のトレーニングの日はキングを連れてきてくれて。札幌の選手たちとも仲良くしてくれているのもあるので。ある程度、遠征先のホテルの部屋で自由にさせておけたり、空港で『ちょっと先に行ってて』と言うこともできますし。その分、僕がチームの仕事に回れる時間が増えるのは助かりますね」と、共に札幌での生活がまもなく丸2年とあって、そこまで大きな苦労はないという。
サフォとは今季からの付き合いであるため、それまでの約1年半の苦悩を直接見てきたわけではないが、「だんだん試合に絡んできて、そこから初得点につながったところに一緒にいられたのはうれしいですね」。サフォの成長は間近で見てきただけに喜びも大きかった。
キャリアのスタート
千葉県出身。自身も大学まで競技を続けたほか、浦和ファンでスタジアムへ通っていたほどのサッカー好きだ。大学進学の際に重視したのも、将来的にサッカーに携われる分野であることだった。「スポーツ科学系と迷ったんですけど、語学だったら、もしサッカー界に行けなくても他に行けるかなと思って」。地元・千葉にある神田外語大学へ進学すると、周囲に通訳業の関係者も多い環境の中で、ある学びを得た。「知り合いの通訳の方々に、スペイン語やポルトガル語の地域言語をやっている方が多くて。英語だけじゃなくてそういう言語ができたら強いよ、という話を聞いたので、最初はスペイン語を勉強して、スペイン人のコーチがいるサッカーアカデミーで通訳をやっていました」。
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