伊藤大海 「記憶がない」あの日から開幕戦のマウンドへ しっかり受け止め、前を向いて歩んできた2週間
開幕戦のマウンドに立った伊藤=撮影・松本奈央
■パ・リーグ開幕戦 日本ハム―ソフトバンク(3月27日、みずほペイペイドーム)
いるべき場所に戻ってきたエース
敗戦投手となったワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準々決勝からおよそ2週間。日本ハムの伊藤大海投手(28)は、開幕投手としてみずほペイペイドームのマウンドに立ち、気迫のこもったピッチングを見せた。
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あの日のことを伊藤は「記憶がないですね」と言う。準々決勝・ベネズエラ戦で1点リードの六回から登板。逆転の3ランを浴び、チームは5―8で敗れた。マウンドを降りる時には開幕戦で激突したソフトバンクの周東、牧原大が、そしてゲームセットの瞬間には米大リーグ・ロッキーズの菅野がベンチで寄り添ってくれた。

衝撃を受けた菅野のブルペン投球
侍ジャパンと中日の壮行試合が行われたバンテリンドーム。登板前に目を奪われたのが、メジャー右腕のブルペン投球だった。「菅野さん、すごかったです。初めてこうブルペンで、感動したというか…」。自身の登板準備のタイミングと重なり「ちょっと見学させてもらいました。コントロールもそうですし、意図が伝わるというか」。そんな初めての衝撃を与えてくれた右腕は、放心状態だった伊藤のことを気遣ってくれた。
痛切に感じたファイターズの温かさ
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試合から一夜明け、米国から帰国。新千歳空港に降り立つと、吉村統括本部長、木田GM代行、マネージャー陣の姿があった。「うれしかったですね。本当、顔を見に来てくれただけ。お疲れさまでした、早く帰ってゆっくりしてと」。短くも温かいねぎらいの言葉が、グッと胸に染みた。
翌17日、本拠地・エスコンに行くと、新庄監督、チームメートがいつもと変わらず接してくれた。昨秋から決まっていた2年ぶり2度目の開幕投手。「僕で良いのかな?」と自信なさげに監督室へ入ると、指揮官は「おまえでいく。2人でここまでつくり上げたものを開幕ですべて出し切ってくれ」と託してくれた。
かけがえのない日常
5年ぶりにチーム復帰した西川とは、球場のロッカーが近く「ずっとしゃべっていますね」。久々に戻ってきて驚いたこともあった。「遥輝さん、めっちゃなめられている(笑)。奈良間、矢沢、水野…」。どこか日本ハムらしい雰囲気が漂っていた。
帰国してすぐの食事は「刺身、食べましたね。マグロとえびと、ちょうどいただいたので」。オフだった23日は、趣味の釣りへ。釣果はなかったが、釣り竿を振って、仕掛けを飛ばすキャストからピッチングにつながるヒントをつかんだ。周囲の人たちに支えられ、いつもの日常が戻っていた。
先発登板の伊藤=撮影・宮永春希
さあ、リーグ優勝&日本一へ
無理しているのではと周囲から心配の声も上がったが、気丈に振る舞った。SNSに届いた誹謗(ひぼう)中傷、応援メッセージは、あえて全部を読み、受け止めた。そんな姿にチームメート、関係者は「大海なら大丈夫」と口を揃えた。覚悟を決めたエースは、たくましくて、かっこ良かった。

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