池田隆英 阪神移籍の伏見に「みんな感謝」 大阪で出会った〝強烈なおっちゃん〟との思い出話も披露
選手会納会ゴルフで記念撮影する池田(左)と伏見
納会ゴルフでも仲むつまじい姿を披露
日本ハムの池田隆英投手(31)にとって、阪神にトレード移籍した4学年上の伏見寅威捕手(35)は「友達みたいな」存在だった。
先月24日に行われた選手会納会ゴルフでは、先輩女房役が「アイツ10キロ太って顔パンパンだけど大丈夫? 顔デカイけど、いい?」と体重増量中の右腕をイジりながら写真に収まるシーンもあった。
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積み重ねた努力が自信の礎
今では、なんでも話せる間柄だが、伏見がオリックスからFA加入するまで接点はなかった。2023年の春季キャンプで、移籍したばかり女房役は注目の的。2軍キャンプに参加していた池田は、メディアを通してその様子を見ていた。「僕が引っ張って優勝させますみたいなことを言っていた」。その言葉に「めちゃ(ビッグ)マウスやん(笑)」と思わずツッコんだのが、第一印象だった。
直接、会ってみると、いい意味でイメージが変わった。本拠地でのナイター開催日、朝11時までには球場入りし、試合の振り返り動画を見ながら対戦打者を研究していた。陰の努力を知り「この人と結果を残したいと思った」。全幅の信頼を寄せるようになった。
2023年5月10日のソフトバンク戦、九回2死、ソフトバンク・柳町から三振を奪い、伏見(右)とハイタッチを交わす池田
驚いたベテラン捕手の行動 打たれた後に…
伏見が移籍1年目の23年、池田は勝ちパターンに抜てきされ、結果が欲しい時期だった。ある日の試合、伏見がミットを構えたところに投げたが、打たれたことがあった。登板後、すぐ声をかけられた。「ごめん。配球が間違っていた。俺のせいや。そう謝ってくるキャッチャーは、初めてでびっくりしました」
経験豊富なベテラン女房役は、誰よりもチームのことを考え、行動していた。池田だけでなく、バッテリーを組んだ投手一人一人と真剣に向き合っていた。「全員に(伏見が)思うことをぶつけていましたね」。具体的な改善点を示し、いい方向に導いていた。「これまで黙って見ていましたけど、トレードが決まって、寅威さんの記事がたくさん出てきて。僕だけではなく、みんな感謝しているんだなと思いました」。あらためて存在の大きさが分かった。
忘れられない仙台の夜
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プライベートでも多くの時間を共にした。遠征先で食事に出かける〝伏見会〟のレギュラーメンバー入り。「どうせ暇だろう」と誘われ、「めちゃめちゃ忙しいんですよね」と言いつつ、いつも参加した。印象に残っているのは、23年のペナントレース最終戦。「シーズン終わりに仙台で行ったラーメン。(グルテンフリーをしていたが)小麦解禁となって、食べに行きましたね。お店を決めずに歩いて探して。結局、行列ができていたところに並びました。味はそんな覚えていないです(笑)」。たわいもない思い出だが、なぜか今も脳裏に焼き付いている。
1月8日、鎌ケ谷で伏見(左)と外野をウオーキングする池田
なんとか成功したサプライズの贈り物
毎年、5月12日の誕生日には、感謝の気持ちを込めて贈り物をしている。昨年は伏見のイラストと「はぴば」のメッセージ入りTシャツをプレゼント。今年は大サプライズを敢行した。大型ビジョンでチームメートから集めたスペシャル映像を放映し、記念のTシャツを作成。本人を喜ばせたが、実は個別のプレゼントも用意していた。
1月に高級ブランドで財布をフルオーダー。カードや領収書などたっぷり入れられるサイズで、伏見の夫人にも協力してもらった。「奥さんに、寅威さんに財布を買おうとしています、色とかどう思います?みたいに相談していた。(新しい財布を)買いたがっていたのを止めてくれていた」。万全の準備を整えたが、商品が届いたのは誕生日のおよそ1カ月後。渡せたのは、6月中旬だった。「使っているよ、みたいな感じになっていますが、使ってくれないと困ります(笑)。奥さんにも迷惑かけました」。今は笑って話せるが、ヒヤヒヤしたこともあった。
5月12日、誕生日を祝うサプライズムービーを見る伏見(右)を笑顔で見守る池田
伏見は「北海道寄りの関西人」
先月14日に発表された阪神へのトレード。今シーズン中、大阪で一緒に行った焼き肉店でのエピソードがある。
お店のカウンターに座ると、隣に〝強烈なおっちゃん〟がいた。「お店の常連さんで、オリックスファンの。寅威さんのこともよく分かってる方で。その2人の掛け合いがめちゃくちゃ面白くて、まるで友達みたいな入りからスタートしました。で、おっちゃんが『おごったるわ!』って急に肉を2人前出してくれて、しかも『おまえら、ホンマたかってくるわ~!』って言うんですけど、僕たち何も言ってないんですよ。そのやりとりがまたおかしくて、その場が一気に盛り上がりました。大阪で初めて、人の温かさに触れた気がしましたね。寅威さんは、北海道寄りの関西人やなって思いました。だから阪神でも大丈夫ですね(笑)」。そう言って、新天地での活躍に太鼓判を押していた。
