アルテミス北海道が今季初勝利 OH久保花音が26得点 34回分の負けが成長の軌跡
スパイクを放つアルテミス北海道のOH久保(左)=撮影・十島功
■Vリーグ女子(11月22日、北ガスアリーナ札幌46)
▽アルテミス北海道3-1福岡ギラソール
格別の瞬間だった。今季未勝利同士の対決に競り勝ち、アルテミス北海道が2シーズンぶりの勝利を挙げた。昨季からリーグが再編されたVリーグに参入2年目。昨季は未勝利で終わっていただけに、1821人の前でうれしいVリーグ初白星をつかみ取った。
「去年からずっと待ち望んでいた初勝利」
今季からキャプテンを務めるOP山田菜那光(23)は「去年からずっと待ち望んでいた初勝利だったので、本当にうれしいです。この試合は絶対に勝ち取るとみんなで決めていた」。青島賢司監督(37)も「きのうから勝つイメージしかなかった」。前日21日の夜には、Xでも同様の投稿をしており、まさに〝有言実行〟の1勝目となった。
第1セットを取り、喜ぶアルテミス北海道のOP山田主将(奥)
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大車輪の活躍を見せたのはOH久保花音(20)だった。両チーム最多の26得点をマークし、チームを牽引した。「鳥肌立つぐらい、うれしかったです。(ここまでの得点は)昨シーズンを含めてもないです」。過去最高の得点で、勝利に導いてみせた。
スパイクを放つアルテミス北海道のOH久保
ムキになってしまう反省踏まえ「淡々と」
テンションが高くなると、ムキになってしまう展開も多かったことから、この試合のテーマは「淡々と」。青島監督は「相手を見る時間を1秒でも取って、淡々とやる。止められようが、決めようが、ミスろうが、それに引っ張られることなく、次どうするのかをフィードバックし続ける」。
第4セットは逆転で奪い、勝利を決めたが、山田は「この1本をタッチ取りに行く、止めにいくという気持ちで、目の前にあるボールだけしか見てませんでした」。皆が目の前のプレーに集中していた結果だ。
青島監督が現役時代に感じたことのない苦労
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昨季も含め、Vリーグ34連敗。一つ勝つことが難しかった。青島監督が現役時代を過ごしたサフィルヴァ北海道(現北海道イエロースターズ)でも、ここまでの苦労は知らなかった。「めっちゃ難しいです。サフィルヴァの時は(初勝利まで)こんな大変ではなかった」。
ただ、敗戦を重ねるごとにチームは着実に成長した。「一戦一戦、力は付けているので、34回分成長していることを感じながら、試合をできているというところはめっちゃ楽しいです」
今季初勝利を挙げ、OP山田(右)とハイタッチする青島監督
昨季チームトップ200得点挙げマークが厳しく
この試合で躍動した久保も、苦い経験を糧に成長している。昨年12月1日の信州ブリリアントアリーズでは18本のアタックを打ちながらもわずか2得点に終わり、決定率は11.1%に低迷した。そして、昨季チームトップの200得点を記録したことで、相手のマークも自ずと厳しくなった。
今季、ブレス浜松との開幕戦では2得点に封じられた。「すごく気持ちが落ちてしまったんですけど、そこから切り替えられた」。しっかりとブロックアウトで得点を挙げるなど、相手の動きを見ながら攻撃に転じることができた。青島監督も「死ぬほどブロックで止められた。そういうのをちゃんと力に変えている」と目を細める。
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試合を重ねるたびに、チーム全体の戦術理解度も向上。相手のスパイカーに合わせた微調整やブロックの寄りが早くなるなど、細かいところでも成長を感じているようだ。「34回悔しい思いをしてきた分、(相手を)上回れた部分かなと思います」(青島監督)。大きな、大きな1勝だ。この勢いに乗って、連勝を決める。
今季初勝利を挙げ、喜ぶアルテミス北海道の選手たち