最下位からの下剋上へ アルテミス北海道の新オーナーに200億円企業
Vリーグ女子・アルテミス北海道の新オーナーとなったWizの山崎CEO(左)と山田新主将(中央)=撮影・西川薫
日本初!BリーグとのWオーナー
バレーボールのVリーグ女子・アルテミス北海道を運営する一般社団法人アルテミス北海道は5日、(株)Wizに4月25日付で事業を譲渡したことを発表した。Wizは売り上げ200億円企業で、バスケットボールのBリーグ2部・鹿児島レブナイズを運営するオーナー。今月中に同社が運営する株式会社を設立する予定だ。BリーグとVリーグのクラブを同一のオーナー企業が持つのは日本初。競技の垣根を越えて躍進するチームのノウハウを注入する。
山崎CEO「非常にワクワク」
昨季の0勝28敗から巻き返しを狙うアルテミスに強力な援軍が現れた。新オーナーに就任した山崎俊代表取締役CEO(43)は「個人も法人も含めて巻き込んでいくプラットホームとなれるのが地域のスポーツビジネスだなと感じております。そういうものを北海道でできるということに非常にワクワクしています」と声を弾ませた。
どこを目指すかは盛り上がり次第?
アルテミスは現在、Vリーグに所属するが、将来的には「(目標が)Vリーグのままなのか、SVなのかは決めてはいません。今回、アルテミス北海道で行っていきたいことは、北海道を盛り上げていき、その中でいろんな経済の循環を作っていけたら。一番の重要なことは会場が埋まるということ。会場を埋めていく中で、Vリーグで上位争いをした方が、よりにぎやかになっていくのか、SVリーグに行くことの方がよりにぎやかになっていくのか、そこ次第」と、じっくりと議論を深めて結論を出す方針だ。
かつてレバンガ北海道の運営も支援 紹介された鹿児島で急成長
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チーム運営のノウハウは豊富だ。Wizは東京に本社を置く「ITの総合商社(山崎CEO)」。社員は約950人で、年間売り上げは200億円超。札幌にも拠点を置き、2017-18年シーズンから3季に渡ってBリーグのレバンガ北海道のスポンサードをしていた。その際、レバンガの横田陽CEO(48)からBリーグの関係者を紹介され、シーズン中の21年3月にB3最下位にいた鹿児島レブナイズの事業譲渡を受けた。
それからは2季連続でリーグ4位だったが、4季目の23-24年シーズンに3位に入りファイナルに進出。昨季、7シーズンぶりにB2へ昇格すると、西地区2位でプレーオフに進出。25-26年シーズンのB1ライセンスも交付されるほどクラブの成長に成功した。
わずか半年ほどでオーナーに
今回の事業譲渡に関してはトントン拍子で話が進んだ。昨年12月に同社の札幌拠点10周年で来札した際に横田CEOと再会。「もし北海道のスポーツビジネスに興味があるのであれば、アルテミスさんの社長を紹介しますよ」と提案され、そこからわずか半年ほどというスピーディーさだ。「スポーツチームの運営、経営をしてきたこのノウハウを、ぜひアルテミス北海道のこれからの飛躍に最大限活用していけたら」。B2鹿児島との連携も視野に、北の大地で初めてVリーグのクラブ運営に着手していく。
新監督は青島コーチが昇格
認知度アップには、やはり試合に勝利していくことが不可欠だ。新監督には23-24年シーズンまで北海道イエロースターズでプレーし、昨季加入した青島賢司コーチ(36)が昇格する。選手は引退した1人を除き、昨季プレーした13人が残留。さらに開幕に向けて補強も進めている。新体制ではチームカラーを一新。ブルーからピンクにグラデーションする〝アルテミスブルー〟となることも発表された。
山田新主将「選手にはプラス」
新主将には、昨季副主将を務めたアウトサイドヒッター兼オポジットの山田菜那光(23)が就任した。「新しい体制になって変わることも多いけど、私たち選手にはプラスなことが多い。仕事をしながらバレーをする状況は変わらないけど、バレーボールに励みやすくなっている。最終的にはVの中でも優勝を目指して頑張っていきたい。現状は0勝。もう上がるところまで上がるしかない。まずは1勝、2勝と少しずつ勝ち星を増やしていきたい」。北の女神たちの下克上が始まる。