【一問一答】北山亘基が山本由伸のWS連投にも驚かなかった理由「目指していく方向はそういうもの」
秋季キャンプでキャッチボールする北山=撮影・小田岳史
■秋季キャンプ(11月3日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムの北山亘基投手(26)が、秋季キャンプ4日目の練習終了後、報道陣の取材に応じた。メジャーリーグ・ワールドシリーズで第6戦に先発、そして第7戦に連投でリリーフし、それぞれ勝利を挙げてMVPに輝いたドジャースの山本由伸投手(27)とは、同じトレーナーから指導を受けるなど親交のある間柄。その山本の勇姿から北山が感じた、野球界の新たな風向きとは―。一問一答は以下の通り。
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―クライマックスシリーズが終わって2週間ほどが経過。体の疲労度はどうか
「怪我もなく1年投げられたので。大きな不調もなく終わりましたし、そこは問題なくというのと、1年(ローテーションで)回ったので多少の精神的な疲れであったり、体の細かいところの調整は必要だったんですけど、このキャンプまでの期間でしっかり見つめ直して過ごせたので、良い時間を過ごせたかなと思います」
10月18日に行われたソフトバンクとのCSファイナル第4戦で先発した北山
―この2週間はどのように過ごしたか
「最初の1日、2日は本当に何もせずにリラックスして。その次の日ぐらいから、ボールも次(侍ジャパン強化試合)に向けて変わってくるので、新しいボールを使ったりしながら、トレーニングは継続して過ごしてきました」
―WBC球を使ってみての感想は
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「肌触りというか、皮の質も違いますし、持った感じのボールの大きさというか、実際の大きさがどうかはわからないんですけど、ちょっと大きく感じたりとか、山の高さ、縫い目の高さがちょっと低く感じたり、いろいろ変化はあるんですけど。いろいろ特徴が違うかなと思います」
―NPB球と比べて変化球の曲がりやストレートの精度はどうか
「動きやすいボールだなというふうに思うので。真っすぐにしても、引っかけたり抜けたりすると、そっち方向に今までよりも変化がつきやすいというのと。変化球にしても、ちゃんと指にかかったり、フォークで言えばしっかり落ちた場合に、すごく良い変化の付き方をするんじゃないかな、というふうには個人的に感じています」
―WBC球で投げる際には、いつもの球種割合とは違った攻め方になりそうか
「あとは対バッターで投げてみて、バッターの反応を見ながら、あのボールを使った上での自分のピッチングスタイルみたいなものは、ここからの期間で探していけたらいいんじゃないかなというふうに思います」
加藤コーチ(左)と会話する北山
―秋季キャンプ4日目になるが、ここまではそういったところを重点的にやっている感じか
「でも一番は怪我しないように。これから(侍ジャパンの)合宿に合流するわけですけど、そこでいきなり強度を上げても危ないですし、そうならないようにしっかり期間を掛けて、体を徐々に上げていくという作業はしました」
―残念ながら日本シリーズ進出はかなわなかったが、日本シリーズは見ていたか
「軽く。自分がプレーする場所ではないので、そこまで熱心には見ていなかったですけど、結果は気になったので、試合終わりにどういう試合だったのかなとハイライトを見たりとか、最後の日本一が決定する試合は結構ちゃんと見ました」
―ソフトバンクが日本一になった試合を見て、どんな感想を持ったか
「素直にうらやましいですし、あの場に来年は立ちたいなと思いましたし。今年も良いところまで行けたので、その紙一重をしっかり越えていって、あの場に来年は立って、みんなで喜ぶようにしたいなと思います」
―メジャーリーグのワールドシリーズは見ていたか
「見ました。きのうの午前中、練習上がってちょうど見られるタイミングだったので、ずっとロッカーで見ていました」
―他の試合も見ていたか
「それも全部は見られないので、結果であったり、試合の内容というのはニュースでもよくやっているので、そういうので見たりとか。気にはなっていたので、いろいろ見ていました」

―来年のWBCはメジャーで活躍する選手たちも参加することが予想される
「メジャーで活躍されている日本人の選手は本当にすごいなと思いますし、そういった選手も集まっての代表になってくると思うので、よりレベルの高い中で選んでもらえるように、この期間でしっかりアピールできたらいいなと思います」
―その第一段階となるのが韓国との強化試合。どういう役割で、どういったピッチングをしていきたいか
「まだ役割であったり、自分のポジションというのははっきり言われていないので、行ってからの話になるとは思うんですけど、どこでも対応できるようにはしたいですし。でも一番は、やっぱりこの時期に怪我をしてしまうと、本当に元も子もないので、そこのコンディション管理と健康管理だけはしっかりやっていきたいなと思っています」
―WBC本大会へ向けての意気込みを
「さっきも言った通りなんですけど、一番は本当に怪我をしないで。この時期に怪我すると出遅れてしまうので、怪我だけには注意して。あとは役職であったり、ポジションというのは、向こうに行っていろいろ相談すると思うので、その中でコーチの方であったり、首脳陣の方と摺り合わせをして、自分ができることをしっかりアピールできたらなと思っています」
―ワールドシリーズ第7戦では山本が先発翌日にリリーフで登場したが、その姿をどう感じたか
「それこそ僕自身の目標の選手でもありますし、お世話になっている(トレーナーの)矢田(修)先生もテレビに映っていましたし。よくお世話になっている先生が世界の舞台に立って、僕が尊敬している選手が世界一のMVPになって、すごいなと心の底からそう思いましたし、僕も負けたくないと。かなりかけ離れている立場にいますけど、いずれはそういうレベルに近づいていきたいなという気持ちはあるので、本当に刺激を受けましたし、もっともっと頑張らないといけないなと、純粋に思いました」
ワールドシリーズのMVPに選ばれ、トロフィーを手にするドジャース・山本(AP=共同)
―連投で相手打線を抑えたことをどう感じたか
「自分のやっている取り組み、(矢田)先生の教えでいうと、目指していく方向はそういうものだと思うので。ボールを投げたから体が悪くなるとかではなくて、むしろボールを投げていくことで体が良い動きをしていくというか、投げた後の方がむしろ状態が上がっていくようなニュアンスというか。そちらの方が理想ですし、そういったものを目指して取り組んでいるものでもあるので、それを体現されて本当にすごいなと思いますし、目指していくべき方向性をああいう世界の頂点の舞台で表現されて、これから野球界の風向きがまた変わっていくのではないかと。トレーニングにしても体づくりにしても、今の風潮やトレンドではない、また違った正解というか、新たな答えはいろいろな人に広がったのではないかなと思ったので、いろいろな意味で野球界にプラスであった部分なのかなと、個人的には思っています」
―驚きではなく、トレーニングを積んでいればこういうこともありえる、という感じで見ていたか
「そうですね。それを目指して僕もやっていますし、それこそ毎週登板していく中で、翌日に張りが出て、体がバキバキです、みたいな感じにならないように日頃トレーニングしていますし、そういう体づくりをしているので。それの究極体というか、それを突き詰めていけば、ああいったこともいずれできてくるのではないかなと思っています」
―現在の風潮と一番異なるのはどういった点か
「一番はウエートトレーニングをしないということで注目されていると思いますけど、ただ、ウエートをしないというと、負荷が少ないであったり、体を鍛えていないというようなイメージになるんですけど、実際はそうではなくて、自重の中でかなりレジスタンストレーニングというか、負荷を掛けたトレーニングをしているような内容なので。重りを持ったからトレーニングになるとか、重りを持っていないからトレーニング強度が低い、というわけではないというところを、あの人(山本)は表現しているなと思いますし、僕たちの取り組みではそういうことをやっているので。それが今までの風潮というか、トレーニングをガンガンして筋肉の出力を上げて速いボールを投げたりというような、アメリカでの主流の流れが今、日本にも入ってきていますけど、それだけではないというのを、ああいう世界で表現されているので、そういった方向性も今後広がっていくのではないかなという。僕はそちらの方が、今後の野球界では必要になってくる部分だと個人的には思っているので、それが良い風向きになってきたのではないかと思っています」
―自身もこれまでの常識を覆したいという気持ちがあるか
「そんな大それたことは言えないですけど、ただ自分の信じてやっている道の中では、同じような方向性でやっていますし、僕の目指している方向性も一緒の場所だと思うので、今やっている道を突き詰めていけば、限りなく近い方向に今後進んでいけると僕は信じているので。それを(山本が)一歩も二歩も、三歩もですけど、その前を歩いて引っ張ってくださっているので、すごく貴重な存在だなと思っています」
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