福島蓮 ソフトバンクを圧倒 エスコンで達に見せた〝さりげない優しさ〟とは
七回を無失点に抑え、ガッツポーズの福島=撮影・松本奈央
■2025 パーソル クライマックスシリーズ パ ファイナルS第2戦 日本ハム0-3ソフトバンク(10月16日、みずほペイペイドーム)
敗戦の中で見せつけたハイパフォーマンス
日本ハムの福島蓮投手(22)がソフトバンク打線を圧倒した。
CS(クライマックスシリーズ)初先発で、自己最長となる七回⅓&最多の125球を投げ、一度もホームを踏ませないまま降板。残した2人の走者をかえされ、2失点で敗戦投手となったが、敵地に強烈なインパクトを残した。

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尻上がりの調子も降板シーンを猛省
立ち上がりは「状態自体はあんまり良くなかった」と振り返ったが、言葉とは裏腹に三回まで完全投球。その後は「立て直せて、徐々に良くなっていった」とさらに調子を上げた。強敵を相手に、許した安打はわずか3本。七回には圧巻の3者連続三振をマークするなど、10奪三振と躍動した。
悔やんだのは、八回の先頭で山川と対峙(たいじ)した場面。3球目のカーブを捉えられ、三塁強襲の内野安打で出塁を許した。犠打、四球で1死一、二塁となり、2番手・上原にバトンを託したが、先輩左腕が続く柳田に決勝3ランを浴びた。福島は「八回の先頭を出したのが全て。反省します」と責任を背負った。
普段は優しいナイスガイ
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育成で入団し、コツコツと練習を積み上げ、高卒4年目、支配下2年目の今季はキャリアハイの5勝(0敗)を挙げた。開幕当初は出遅れたが、後半戦は主戦級の働きを見せた。
投球は大きく進化したが、優しく、気配りができる性格は今も変わらない。今年、福島は1軍で過ごす際、レンタカーを借りてエスコンフィールドまで通勤していた。ただ、同期で同学年の達は免許がなく、不便そうにしていることに気が付いた。
「達は電車で通ったりもしていたみたいなんですけど、たぶん、あっちから乗せてとは言ってこないだろうなと思ったので、僕から誘いました。(練習の)帰り、どうすんの?って聞いて、達は『え、じゃあ(乗って)いい?』という感じで、ああ、良いよって」

先発ローテの軸になっていく2人
入団からこれまで、そこまで会話する機会が多くはなかった2人だが、〝ドライブ〟を通して少しずつ距離を縮めた。CSファイナルでは、第1戦で達が6回無失点と好投し、第2戦に臨んだ福島は「(達の投球を)もう、めちゃくちゃ意識しました」と刺激にして快投につなげた。
チームは2連敗で、崖っぷちに追い込まれた。しかし、成長著しい背番号94が、未来を明るく照らしている。