北海学園大の工藤泰己が完全復活 156キロのツーシームで1回完全【札幌6大学野球】
この秋初登板となった北海学園大の工藤は、3人を9球で仕留めた=撮影・西川薫
■札幌6大学野球秋季リーグ戦(9月19日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽第2節第2日 北海学園大(5勝2敗)5-0北海道大(7敗)
変化球でこの日の最速を記録
首位の札幌大を1勝差で追いかける北海学園大は5-0で北海道大に勝利した。4-0でリードした八回には、最速159キロ右腕・工藤泰己投手(4年、北海)がこの秋初登板。第1節はコンディション不良で登板がなかったが、この日の最速となった156キロのツーシームなどで3者凡退に打ち取り、ネット裏に陣取ったNPB9球団にアピールした。札幌大も勝利したため、順位は2位で変わらず。創部初の2季連続Vへ負けられない戦いは続く。
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球数を意識して力を入れずに投球
圧巻投球で戦列復帰だ。6月12日の全日本大学選手権2回戦の佛教大戦以来、99日ぶりの公式戦マウンド。八回先頭打者を154キロ直球で遊ゴロに打ち取ると、続く打者も155キロの直球で再び遊ゴロ。最後は156キロのツーシームで左飛。9球中、直球系は8球で平均球速154キロをマークした。「きょうに限っては、力を入れいてたわけではなくて、少ない球数で打者を抑えるのを目的にマウンドに上がった。そんなに力を入れていない中で、MAX156キロが出ていたのがすごい成長した部分」。引き揚げる際にはグラブをパチンと叩き、捕手とハイタッチした。
八回を完全に抑えて捕手とハイタッチをする北海学園大の工藤(左)
登板なく一部で負傷している説が… 不安は右腕で払拭
秋の開幕2戦目までベンチ入りしていたが、その後はベンチ外が続いた。実は首の右側を寝違え、セットポジションから本塁方向を向けないぐらいで、投球ができる状態ではなかった。そのせいで、一部で負傷説が飛び交っていたが、「(秋の)リーグ戦1節を投げてなかったので、ほぼぶっつけ本番というか、多少の不安はあったけど、コンディション不良がありながらも、毎日自分にできることをやってきたので、それがうまくきょう、はまったんじゃないかな」。周囲の不安を自らの右腕で払拭した。
日本ハムのスカウトも高評価
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ネット裏のスカウト陣もほっと一安心だ。日本ハムの白井康勝スカウト(56)は「やっぱり、この真っすぐは魅力です。残り3試合、もうちょっと見たい。春もしっかり見られているので、この秋は初めて見ましたけど、良いんじゃないですか」。長いイニングでどういう投球を見せるか、引き続きチェックする構えだ。
マウンドから力をもらう
プロ仕様の堅いマウンド対策も実った。全日本選手権から帰道後、投手陣から練習拠点の清田グラウンドがやわらかいという意見が出て、投手陣がブルペンとマウンドの土をスコップで入れ替えた。「プレミストドームと同じぐらい堅くなっていると思います」と工藤。「去年の失敗からというか、去年は自分から力を出しに行こうとしすぎて制球が乱れていた部分があった。ドームはマウンドが堅いぶん、いかに自分から力を出しに行かないか、地面反力をもらって投げるっていうことを練習してやってきたので、それが制球にもつながったんじゃないか。自分の力で投げるのは7割で、3割は地面から」。力感のないゆったりとしたフォームから、ストライクゾーンに投球を集めることに成功した。

もう負けは許されない
これで試運転は完了。リーグ戦も残り3試合。25日の最終日は首位・札幌大との直接対決が待っている。「長いイニング、残り3試合で投げることもあると思いますし、そのためにきょう、どれだけ力を抜いて投げられるかっていうのを確認できたので、そこに関しては良かった。スピードを上げたままロングイニングを投げることを、きょうでつかんだ。もう負けは許されない。ずっと勝つしかないと思いますし、相手チームの勝敗関係なく自分たちの野球をやるのが一番大事。順位に関係なく1試合1試合、勝つことを目標にやっていきたい」。北の豪腕が、大学4年間の集大成を勝負のマウンドにぶつける。
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