清宮幸太郎 2年ぶりのサヨナラ打! 主力の今だからこそ、思い起こす8年前の転機
延長十一回2死満塁、清宮がサヨナラ打を放ち、喜びを爆発させる=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ21回戦 西武4-5日本ハム(9月13日、エスコンフィールド北海道)
4時間30分を超える熱戦に、ケリを付けた。日本ハムの清宮幸太郎内野手(26)が、4-4で迎えた延長十一回2死満塁から中前へのサヨナラ打を放った。二塁手の左を抜けた瞬間に、右手を一塁ベンチに突き上げると、ファンからの大歓声に包まれ、チームメートはベンチから飛び出してきた。エスコンに、勝利の歓喜が広がった。
「いやもう、しびれてます」
清宮は「『終わったー!』って感じですかね(笑)。いつもは喜ぶ側だったので、みんなが飛び出してくるところを見てたらうれしかったですね」。自身にとっても、エスコン初勝利を挙げた2023年4月1日楽天戦以来、2年ぶりとなる劇打に「いやもう、しびれてます」。今季は〝演出〟する方が多かっただけに、主役の座を射止められたことを喜んだ。

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九回にも2死一、二塁のサヨナラ機で打席が巡ってきていた。新庄監督から「頼むぞ」と声を掛けられ、中堅後方への大飛球を放った。しかし、西武・西川の好プレーに阻まれただけに「(凡退)2回はないぞって思ってました」。その強い気持ちで最高の結果を残した。そして、チーム一丸で勝ち取った総力戦に「最後はみんなの思いが乗り移って、ファンの声援ももちろんですけど、いろんな思いを乗せて打てました」
長距離砲の進路に集まる注目 重ねた家族会議
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今年でプロ8年目の26歳。自身初のリーグ優勝も視界に捉えている。小学3年生から始めた野球人生の中で、大きな転機の一つはちょうど8年前のこの時期。高卒でのプロ入りを決断したタイミングだった。早実高の清宮は西東京大会決勝で敗れ、高校最後の夏を終えた。当時の高校通算本塁打記録を更新していた長距離砲の進路に、自然と注目は集まっていた。ただ、U-18W杯が控えていたこともあり、この時点ではプロ入りも大学進学も決めていなかった。そして、W杯を終えてから父・克幸さんらとの家族会議が行われた。大学に進学した場合のメリットなど、話し合いを重ね「家族の総意」で高卒でのプロ入りを決めた。
2017年11月16日、ドラフト1位指名された清宮が日本ハムと仮契約、リトルリーグ時代に日本シリーズで始球式をした時のボールと写真を手に記念撮影に応じる
決断に悔いなし「高卒で入って良かった」
7球団競合のドラ1スラッガーとして入団したこともあり、これまでの歩みに対して、いろいろな声が聞こえてきた。しかし、あの時の決断に後悔はない。「高卒で入って良かったです。自分の現在地を把握できたのが一番。プロのレベルも早く感じることができた」。同学年のヤクルト・村上と比較されることが多かったが、自分を見失うことなく前に進んできた。
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チームを勝たせられる選手になるための努力を欠かすことはなかった。「もう負けられない。勝つしかないので、勝ちにこだわっていきたいです」。9月の打率は.333と好調。直近5試合では.381と、さらなる右肩上がりの上昇曲線を描いている。悲願の逆転Vへ、背番号21が追い風を吹かせる。
延長十一回2死満塁、サヨナラ打を放ちチームメートと歓喜する清宮(右から2人目)=撮影・井上浩明