水谷瞬 無死満塁から二ゴロで1打点 実はバックスクリーンを狙っていた「少年野球」打法
二回無死満塁で二ゴロを放ち、追加点をもたらした水谷=撮影・小田岳史
■パ・リーグ21回戦 ソフトバンク3-8日本ハム(8月23日、エスコンフィールド北海道)
価値あるタイムリー凡打
大胆な仕掛けが〝最高の最低限〟を生んだ。日本ハムの水谷瞬外野手(24)が3点を先制した直後の二回無死満塁で二ゴロを放ち、流れをたぐり寄せる追加点をもたらした。初球。ソフトバンクの先発・有原が投じた内角低めへの151キロのツーシームを右方向へ転がし、三塁走者を迎え入れた。
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難敵攻略へ 勝負どころと見定めた
勝負を懸けた打席だった。有原には今季、試合前時点で5打数0安打2三振と分が悪かったこともあり、イチかバチか策を仕込んでいた。結果的にしぶとく進塁打のような形でもぎ取った1点ではあったが、そこには1打席に1球しかできない駆け引きを、初球に懸けた裏の読みがあった。

誰もが驚いた動き
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水谷は「インコースに来る」と読み、有原が投球モーションに入ると軸足を一歩、後ろに引いた。そして、狙いは単なる進塁打ではなく「バックスクリーン」だった。狙い球は少々、外れたが「最低限のことができる」。水谷は瞬時に頭を切り替えて、貴重な打点を記録した。
納得の1打席 「そういう打席を増やしていく」
「(絶好機で進塁打を狙う)そんなちっちゃい野球はしないですけど、結果としてあの1点はチームとしても、個人の1年間としても大事になってくる1点だとは思うんで、そういう打席を今後、増やしていけるようにしたいと思います。結果的にセカンドゴロでしたけど、次ああいう引き出しを使う時はしっかりとバックスクリーンを狙って、ヒットが出たらめちゃくちゃ面白いと思うので、そこは練習と駆け引きと、いろいろやりながらやっていけたら」

何もしないという選択はナンセンス
負けられない3連戦。さらには無死満塁というイケイケの絶好機だった。大半はじっくりと勝負して結果を出したい場面ではあるが、水谷は〝遊び心〟を持って打席に臨んでいた。
「有原さんは今年、打ってないですし、そんな得意なピッチャーじゃないんで、そういう人に真剣にいったら負けだと思うので、遊び心でいきました。場面的にも1点欲しい場面で、真剣にいって事が起きないっていうのが一番ダメというか、自分としては嫌」
全幅の信頼を寄せる佐藤2軍打撃コーチ
持ち前のパワーなどに目が行きがちだが、この引き出しの多さが水谷の魅力でもある。その裏には、やはり佐藤ファーム打撃コーチの存在があった。
この打席のように大胆な〝ギャンブル〟も「友亮さん(佐藤コーチ)と遊びながらやっていたこと」。水谷は笑いながら「誰もやらないようなことを教えてくれる人なので」。佐藤コーチは猛者の集う1軍の世界で戦えるように、あらゆるすべを与えてくれる。

もともと持っている〝愉しむ〟精神
水谷が言う「少年野球」打法はこれまでも何度か試合の中で試みたが、まだ安打は打てていないという。「(バックスクリーンに打てたら)最高ですよね。めちゃくちゃおもろいと思います」
相手バッテリーとの駆け引きを楽しむ〝遊び心〟こそが、緊迫した試合を制する大きな要因になるのかもしれない。