柳川大晟が10セーブ到達 直面した守護神のリアル 心ない言葉に戸惑うことも
10セーブ目を挙げた柳川(左)と田宮が勝利のハイタッチ=撮影・岩崎勝
■パ・リーグ20回戦 オリックス5-6日本ハム(8月20日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムの柳川大晟投手(21)が20日、エスコンフィールド北海道で行われたオリックス戦の九回に救援し、無失点で今季10セーブ目を挙げた。優勝争いのまっただ中で、成長著しい育成出身右腕が輝きを放っている。
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支配下登録した昨季から抑えを経験
物静かだが、芯は強い。柳川は辛辣(しんらつ)な言葉に屈しなかった。育成から支配下契約を勝ち取った昨季、夏場に1軍再昇格すると、新庄監督の意向に沿って抑えを担った。異例の大抜てきだった。経験がなかった分、怖い物知らずでマウンドに上がれた。置かれた立場は深く考えず、任された仕事に全力投球した。

守護神の重圧
自身のパフォーマンスがチームの命運を分ける。その責務は、甘くはなかった。セーブシチュエーションで打たれ、勝利を逃したときに、守護神の重みを知った。「しんどいのは、抑えて当然と思われていることです。(打たれて悔しいのは)どのポジションもそうですけど、一番たたかれたり、言われたりするのが抑え。仕方ないと思うんですけど」。
大一番で救援失敗するとDMには…
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1軍で活躍するようになり、SNSにダイレクトメッセージが多く届くようになった。大半が応援や激励で「高校の野球部に入っている子がメッセージをくれたり。うれしかった」と目を細めたが、いいことばかりではなかった。大事な局面で救援失敗すると、厳しい言葉も寄せられた。
「批判的というか…そうですね。『育成にまた戻れ』とか、書かれました」。エゴサーチはしない。匿名の誹謗(ひぼう)中傷はスルーするタイプだが、目に入るとがっかりした。「いい気持ちはしないですけど、それでお金をもらっているので。やめろと言ってもなくならないと思うのでしょうがない」と割り切るように努めた。

自身よりも同じ経験を持つ人を心配
多少のいらだちはあったが、引きずることはなかった。ただ、ほかの選手が同じように消化できるとは限らない。「チームメートと話して、こんなメッセージが来たよと。同じような経験をしている選手は結構いますね。僕はそんな感じで流せますけど、気にする人は気にする。状態が上がらなくて苦しんでいる選手とか、ストレスになると思います」と心配した。
心ない言葉への対抗手段
育成ドラフトで入団し、3年目に支配下登録を勝ち取った。高校時代は未完成でも、プロ入り後、ひたむきに取り組めば一流になれる―というモデルケース的な存在だ。だから、心ない言葉への対抗手段として「抑えるしかないので」と涼しい顔で言った。将来性豊かな育成の星はリアルから目を背けず、腕を振る。

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