モエレ沼公園野球場に自動配信用のAIカメラ設置 札幌市とNTTグループが「マチスポ」連携協定
モエレ沼球場に設置されたホーム側のAIカメラ=提供写真
アマ野球でリアルタイム配信開始
札幌市は今春に供用を開始した市内初となる公営ナイター照明付球場のモエレ沼公園野球場に配信用カメラを設置し、8月6日から開催される社会人野球のJABA北海道大会から専用サイト「なまらいいっしょ! 札幌ベースボールAIライブ」で無料配信を開始する。これはNTTSportictが全国で推進するスポーツDXを活用したまちづくり「マチスポ」の実証事業で、7月29日に札幌市役所で関係者らが出席して連携協定を締結した。事業は2026年6月30日まで行われる。
地域でチームを応援するきっかけに
連携協定の調印式に出席した(左から)NTTSportictの中村社長、札幌市・加藤副市長、道野球協議会・柳理事長、NTT東日本・茂谷執行役員=撮影・西川薫
「マチスポ」との連携協定は道内自治体では初。調印式に出席した加藤修副市長は「協定を締結できましたことを大変うれしく思っております。また、心強いパートナーを得たと思っております。少年野球から社会人野球まで、様々な大会や練習風景をリアルタイムで自動で映像化、配信することができる。非常にすばらしい取り組み。地域のアマチュアチームの活動が、さらによく知られることで、地域全体でチームを応援するきっかけにもなる。実証実験で得られた成果を生かしながら、さらなるスポーツDXを進め、今後ともスポーツの力を札幌市の街づくりに存分に生かしてまいりたい」とコメントした。
他の球場で行われる各種大会も視野
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
高校野球では、24年から夏の甲子園までの地方大会をバーチャル高校野球による無料動画配信が始まったが、今回の取り組みはこれまで配信や放送がされなかった高校以外のカテゴリーで費用や手間を抑えてより多くの人に見てもらおうというもの。実証事業では、各競技団体からのニーズや収益性を見極め、将来的に現在改修中の札幌麻生や札幌円山で行われている各種大会への展開も視野に入れる。
アメリカでも採用
同社によると「スタジアムチューブ ダブルプレー」と名付けられた世界初のシステムで21年にリリース。センター側とホーム側に2台のカメラを設置し、自動でズームやカメラの切り替えを行う。カメラの首振り機能や打球を追いかける機能はないシンプルな仕組みで、アメリカでは「MLB DRAFT LEAGUE」が採用。国内でも10以上の球場に設置されており、現在も拡大中だ。スコアボード撮影用の固定カメラを合わせての導入費用は、機器一式が128万円ほどで設置工事費用が100~200万円。月々のランニングコストも7万円から10万円かかるが、実証期間中は同社が負担する。
モエレ沼公園野球場に設置されたスコアボード撮影用のAIカメラ=提供写真
野球界のステップアップに
道野球協議会に参加する団体はプロ野球の日本ハムを筆頭に22団体。7月に総会が開かれた際に各団体に説明すると、「非常に好意的だったのがほとんど」と同協議会の柳俊之理事長は話す。さらに「これだけのカメラがあるなら、それぞれのカテゴリーで全国大会、あるいは国際大会を誘致して、このカメラで配信したらどうだろうという話まで出ました。我々としては、この実証事業を糧にして、良い形で次のステップに野球界を盛りあげていければ。野球ファンをたくさん増やしていきたい」。
今年は10月中旬までの供用期間中に大会が開催される4競技団体が賛同。JABA北海道大会以降も、中学硬式の日本リトルシニア協会北海道連盟や、札幌学生野球連盟、北海道ソフトボール協会が主管する日本リーグ札幌大会が配信される予定。来春以降も、開催が予定される団体の意見や要望を吸い上げ、足並みを合わせながら、開催数を増やしていく。
高校野球では春季全道札幌支部予選から使用されているモエレ沼公園野球場
【道スポが全部読める! お得な年払いプラン】