福島蓮 今季初勝利につながった2つの自己新記録 不調時に山崎福也からかけられた言葉は…
今季初勝利を飾った福島=撮影・松本奈央
■パ・リーグ15回戦 オリックス0-4日本ハム(7月13日、エスコンフィールド北海道)
苦しみながらも今季初陣で5回無失点
日本ハムの福島蓮投手(22)が今季初登板で先発マウンドに上がり、5回無失点と好投。初勝利を挙げた。4安打3四球と制球に苦しみ、毎回走者を背負いながらも、要所でギアを上げて本塁を死守した。
進化を止めない4年目右腕
今年が高卒4年目。21年の育成ドラフト1位で入団した際と今では、まるで別人だ。進化は、はっきりと数字に表れている。
青森出身の右腕は今年に入って2つ、自己記録を更新した。一つは、入団時に最速144キロだった球速。プロ入り後にぐんぐん伸ばし、この日、ついに155キロを計測した。これまでの最速を2キロ上回り「春先はだいぶ状態が悪かった。いろんな人の支えがあって、体のコンディションが良くなったので、感謝ですね」と周囲のサポートに頭を下げた。
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お立ち台で、かわいいポイントを聞かれ”僕も笑顔です”と答えた福島(右)
努力の末に手にしたもう一つの変化
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もう一つは、体重。入団時は線が細く、身長190センチに対して65キロしかなかった。プロ入り後は小食ながらも、毎晩600グラムの白米を食べるなど必死に食トレを続けてきた。途中、体調不良で激痩せするなど苦労しながらも、諦めず増量を目指した。
今年4月頃からは〝1日7食トレーニング〟を敢行。「1回の食事で、めちゃめちゃ食べられるわけではないので、時間を決めて補食の回数を増やしました。朝ご飯は少し多めに食べて、食べ終わった直後に補食。次は(午前)11時ごろに補食。その後に昼ご飯を食べて、また(午後)3時半ぐらいに補食。夜ご飯を食べて、(同)9時半に補食」と体に栄養を送り続けた。
四回1死一塁、オリックス・紅林から三振を奪った福島=撮影・岩崎勝
効果抜群だったバナナとプロテイン
効果は抜群だった。6月半ばには、人生初の大台に到達。「4月の時点では77キロぐらいだったんですけど、やっと80キロにいきました。捕食は全部、バナナとプロテイン。バナナとプロテインは強いですね。80キロは人生初なので、本当にうれしいです。入団の時は65キロのひどい体だったので、今やっと、見られる体になってきました。除脂肪体重がしっかり上がってきましたし、順調です」。入団時から、球速11キロ、体重15キロの大幅アップを達成した。
入団時から、球速、体重が大幅アップした福島
魔法の言葉 「ここからや、人生!」
昨年の不調時に、支えになる言葉をくれた人がいる。いつもフランクに優しく接してくれる11学年上の山崎福也だ。
「去年、調子が悪い時に、さちさん、やばいですって言ったら、毎回絶対、『おまえ大丈夫だ、若いんだから』って言われるんですよ。『何歳? 何歳?』って聞かれて、その時は21歳だったので、21歳ですって言うと、『ここからや、人生!』みたいな感じで言われて、なるほど、と。さちさんは、それしか言わないです(笑)」。何度聞いても同じ言葉が返ってきたが、不思議と心が軽くなった。
今季も序盤は「宇宙に迷い込んでました」と絶不調だった。それでも、気落ちしすぎることなく、前を向いてやるべきことを続けられた。「さちさんのその言葉で、楽になりましたね。心の持ちようを教えてもらった感じですね」と頼れる先輩に感謝している。

さあ再出発! 反省も忘れない
明らかな成長を示しながらも、決して満足はしていない。「ほかの先発陣はみんな、長いイニングを投げて良いピッチングをしている。僕も続きたかったんですけど、5回で(マウンドを)降りてしまったので、そこは反省です」
クールな22歳は白星に一喜一憂することなく、山崎ら先輩投手たちの背中を追いかける。
「きょうのヒーロー」の田宮(左)と福島がかわいいポーズを披露する