札幌大谷が2年連続8強入り 3安打の2番・藍葉吏良が猛攻を演出【南北海道大会】
三回、遊撃への強襲安打を放つ札幌大谷・藍葉=撮影・十島功
■全国高校野球選手権南北海道大会第1日(7月10日、札幌円山)
▽1回戦 札幌光星0-8札幌大谷
※七回コールドゲーム
2年連続8強入りの立役者
大量得点の陰には、打線を循環させる選手がいる。この日は札幌大谷の2番・藍葉吏良(りら)内野手(2年)がその役目を果たし、2年連続ベスト8進出の原動力となった。
一回、バスターエンドランを決めた札幌大谷・藍葉
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一回無死一塁。初球の犠打はファウルにしてしまったが、1ストライクからの2球目をバスターエンドランで右前にはじき返し、一、三塁へと好機を拡大させた。続く3番・瀬尾心之介外野手(3年)の先制打につなげる見事な一打だった。「初回に1点を取りたい場面で、練習していた(プレーの)サインが出たので、そこは自信を持っていきました」。難易度の高い作戦をきっちりと決めた藍葉の働きに、五十嵐大監督(38)も目を細める。「よく藍葉が実行してくれたと思います」。
本領発揮の四回 2死走者なしの打席で試みたのは…
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当然、これだけでは終わらない。三回にも遊撃強襲の安打を放つと、真骨頂を見せたのは四回だ。味方の適時三塁打と犠飛で3点を追加し、2死走者なしで藍葉に打席が巡ってきた。この時点で4点リードと、試合の流れは札幌大谷にあったが、攻撃を簡単に終わらせるわけにはいかない。そう考えた藍葉は間髪入れず、初球にセーフティーバントを敢行。結果はファウルとなったが、常につなぎ役としての思考を巡らせている。「自分は2番なので自分の役目をしっかり考えてプレーするようにしています」。そして、カウント1-1から右前打で出塁し、4番・瀧口大智内野手(3年)の3点本塁打を演出してみせた。この日は3安打のチャンスメーク。上位打線の一員として、求められる役割を全うした。
四回、セーフティーバントを試みる札幌大谷・藍葉
右肩の不調乗り越え肉体改造に着手
負傷に泣いた過去が、自らを強くしている。昨年の秋季大会前日にリトルリーガーズショルダーが発症。いわゆる野球肩の一種で、急遽守備に就くことができなくなった。大会では代打の出場はあったが「もう情けなかったです。一番は試合負けている中で何もできない悔しさがありました」。藍葉は無力感にさいなまれ、悔しさは倍増した。ノースローの期間を経て完治すると、2018年の明治神宮大会を制した時の主将、飯田柊哉コーチ(23)と毎朝ウエートトレーニングを実施。入学当時はMAX60キロだったベンチプレスが100キロに到達するなど、確実に体つきは変わってきている。
四回、右前打を放つ札幌大谷・藍葉
無言でも通じ合える仲間の存在
そして、頼りになる仲間もいる。同じ2年生で遊撃手の寺町颯太内野手とは、10年近い付き合いになる。小学3年時に選抜チームで出会うと、6年時には東16丁目フリッパーズに所属し、この頃から二遊間を組んでいる。今でも一緒にサウナに通うなど、同じ空間で過ごす時間は長く「コミュニケーションは無言でも取れます」(藍葉)。彼らのコンビネーションはあうんの呼吸の域に達している。
1年生ながらベンチ入りを果たした昨夏は、準々決勝で札幌日大高に敗れた。今年はベスト4入り、そして甲子園まで上り詰める。「あくまで甲子園に行くことが目標なので、通過点だと思って1個1個大事にやっていきたいです」。たとえ相手が強くなっても、中軸を生かす藍葉の〝真価〟が勝利を引き寄せる。
一回、三塁へと進む札幌大谷・藍葉