世代超えたお笑いトーク対談が実現
今回の「マシンガンズ西堀のそぞろ歩き」は特別編です。道産子芸人のニューカマー・偽ビートルズをゲストに迎え、都内某所での対談が実現しました。偽ビートルズは札幌市出身の柿澤琉寿と佐藤里駈哉が2022年に結成したお笑いコンビで、23年に行われた高校生ナンバーワン漫才師を決める「ハイスクールマンザイ」で優勝。「M-1グランプリ」ではアマチュアながら2年連続で3回戦に進出するなど結果を残し、今春からは東京の大学お笑いで活躍しています。今回の対談は、同じ高校出身でもある西堀が後輩の進路相談に乗るなど大いに盛り上がり、今月29日に行われるマシンガンズ主催のお笑いライブ「令和漫才米騒動」へ突然の出演オファーも飛び出しました。THE SECOND準V芸人と将来を期待される超若手芸人の世代を超えたトーク対談をお楽しみください。
【芸人インタビュー】偽ビートルズ 新たな舞台は大学お笑い
はじめましての先輩後輩
西堀「偽ビートルズのお二人、今日はよろしくね」
柿澤「よろしくお願いします! 偽ビートルズの柿澤琉寿(るうす)です」
佐藤「自分は佐藤里駈哉(りくや)と申します」
西堀「どっちが狩南(かりなん、石狩南高)出身なの?」
柿澤「僕が狩南です。このような形で会えてうれしいです!」
西堀「同じ高校の人と会うなんて、すごいな。今何歳?」
柿澤「19になる歳です」
西堀「俺、8期とかなの。あれから何年経ってんだ? すごい、すごい。今、大学でこっち?」
柿澤「僕は駒澤大学で」
佐藤「自分が埼玉大学です」
西堀「一緒にお笑いやろうと思って東京に出てきたの?」
柿澤&佐藤「そうです」
西堀「すごいな。進学はしようと思ったんだ?」
柿澤「ギリギリまで悩んで。それこそ、ハイスクールマンザイっていう大会の優勝特典が、NSC(吉本総合芸能学院)無料みたいなやつだったので、NSCに行くか、大学お笑いかっていうので、ギリギリまで悩んで大学に行こうと」
西堀「NSCに入ることもできたの?」
佐藤「でも期限とかなくて、いつでも入れるので」
柿澤「あの時に優勝しましたって言ったら、いつでも無料で入れる、みたいな」
西堀「じゃあ、大学卒業までに手応えあったらって感じ?」
柿澤「そうですね」
佐藤「高校生のうちに大学お笑いの方と関わる機会をいただいて、そっちの道もいいだろっていう」
西堀「すごいな、狩南から大学行くんだな」
柿澤「そりゃ行きますよ(笑)」
西堀「昔より頭は良くなったんだ?」
柿澤「そうですね、平均よりちょっと上ぐらいです」
西堀「当時はもっと下だったけどな~(笑)。佐藤くんは高校どこなの?」
佐藤「新川高校です」
西堀「ちょっと頭良いな」

吉本じゃないの?
西堀「大学お笑いをやって、様子を見る感じ?」
柿澤「この大学4年間のうちに、どこかの事務所からお声掛けいただけたらいいな、みたいな」
西堀「吉本じゃないの? 第1志望」
柿澤「最初は吉本さんで考えていたんですけど、吉本さん以外の、ヤーレンズさんとかトム・ブラウンさんとか、北海道にわざわざ来てもらって、いろんな人と一緒になる機会があって、吉本さん以外の選択肢もあるなという気持ちがだんだん出てきました」
西堀「そうか~。あいつらケイダッシュだもんな。吉本の方がいいんじゃない?」
柿澤「やっぱりそうなんですか?」
西堀「会社が大きいからさ。就職で言うと、大手に入るか、これから伸びるかもしれない中小企業に入るかのどっちかだよな~」
佐藤「太田プロさんはどうですか?」
西堀「太田プロも中小だよ。だって世の中の半分は吉本だから。あとの半分が全事務所だから」
柿澤「太田プロさんもお声掛けいただけたらうれしいです」
西堀「でも、ずっと漫才やっていくんだったら、やっぱり吉本かな~。劇場も多いしさ。誰か言ってたよ。『ヨーイドンでスタートしたら、吉本か吉本じゃないかで5倍違う』って、伸びていくスピードが」
柿澤「ええ!? そんな違うんですか? 5倍以上ですか?」
西堀「だって場数が違うだろ。非吉本の芸人って一番回数やる芸人で月30本だよ。毎日やっても。吉本は月100本とかやるから。力は変わってくるんじゃない? 学校は楽しいの?」
佐藤「すごく楽しいです」
西堀「いいな~、学校も。何かお笑いサークル入ってるの?」
柿澤「はい。それぞれ駒澤大と埼玉大に各々あるので、その大学のサークルと、早稲田大学のLUDOっていう、ハナコの岡部さんや友田オレさんも入ってたサークルにも入って、3つです」
西堀「それ自体で結構ライブはやるんだ」
佐藤「そうですね」
西堀「大学出て、お笑いやる人って、こなれている人多いもんね。ある程度やっていて入ってくるから。俺らの時は何もやらなくて入ってきたから、すごいレベルだったもん。ネタ見せが初めてに近いから。初めて作って、誰にも見せないままネタ見せに行ってたから、みんなとんでもなかったよ。10組に1組はネタが飛んでた。今でも覚えてるわ。舞台に出ていって、3分間黙ってるやつとかいた。単純に飛んで」
柿澤「え~!」
西堀「当時の大学お笑いだったら、WAGEとか。今のかもめんたるがメンバーで、WAGEっていう5人グループが早稲田のお笑いサークルだったりね。大学お笑いは当時もいたけど、ちょっとかっこ悪いことだったのよ」
佐藤「大学に行ってまでっていう」
西堀「大学に行くのは全然いいんだけど、当時は大学のお笑いサークルなんて、という空気感でさ。我々はダウンタウンイズムで育ったから、周りと親しくしなかったり、尖ってたから、『そんな大学で緩いことやるやつなんかいないよ』みたいな空気があった。今は大学お笑いの卒業生が結果を出しているからメジャーになってきたけど、当時は全然なかったよ」
柿澤「そうですよね。僕もそういうイメージはなかったです。高卒で、中卒でもいいぐらいな、そんなイメージでした」

これからは正解の分からない世界 「情熱があるかだよ」
西堀「さっき動画でネタを見せてもらったけど、堂々としてるよね。かわいくないなと思った」
柿澤&佐藤「はははは」
西堀「もっとガッチガチで、かんだりしてほしかったよ」
佐藤「褒めてるわけじゃなかった~(笑)」
西堀「うちでも大学出身のやつ、結構いるもんな。ストレッチーズとか。やっぱり最初からうまいもんな。でも分からないよな、最終的にどうなるかだもんな」
柿澤「そうですね。売れるか売れないかは本当に…そこですね」
西堀「大変な道を選ぶよな~。就職して土日にやるっていうのはどうなの?」
柿澤「結構、そのルートの人も多くて、それこそ大学お笑いのサークルに入っている人の、3分の1がお笑いの道に行く。あとは全部就職、みたいな」
西堀「大学お笑いのサークルをやっている時に、適性も見えるしね。これもう自分はプロになれないなとかも分かるし」
佐藤「本当にサークルでも一握りというか、ほとんど今は就活をやられている方が多いです」
西堀「確かにそこだよな~。大学生の大会もあるんだよね?」
柿澤「はい。それも出ようと思っていて」
西堀「高校生の時に賞を取ってるんでしょ?」
柿澤「ハイスクールマンザイで高2のときに優勝しました」
西堀「出だしはいいんだな。上々じゃないか」
柿澤「そうですね、ありがたいことに」
西堀「そこでよくプロに行かなかったよね」
柿澤「結構、悩みましたけど、やっぱり怖いっていうのがありましたね」
西堀「でも、高校生の中で一番面白いってお墨付きなわけじゃん。そこで吉本っていう選択肢もあったけど、もうちょっと様子を見ようって感じだったの?」
柿澤「そうですね」
佐藤「ハイスクールマンザイとプロでちょっと毛色も違って、高校生らしさみたいなのが重視されていたので」
柿澤「高校生なのによくやるな、みたいな感じで」
西堀「かわいくないな、冷静な分析して」
柿澤&佐藤「はははは」
西堀「なんだよ! 高校生らしさって」
佐藤「結構、寄せていっちゃってたんで、そのまま(プロに)行くのは危ないかなっていう」
西堀「賢いな~。冷静だね。ライブとか出て、大学のうちに揉まれて、卒業するときに決めるって感じか。あと4年あるんだもんな。両立できるか」
佐藤「これだけ楽しいこと知っちゃったら、働けはしないです」
柿澤「そうですね」
西堀「でも、それはまだ、あんまり傷ついてないからじゃない? だって、まだあんまりお笑いの悪い面は食らってないじゃない?」
佐藤「正直そうですね」
西堀「スベる、ウケるはもちろん、それ以上に例えば後輩に抜かれたりすると、自尊心が壊れたりさ。これからは何が正解か分からない世界だから。そういう時でもお笑いが好きかっていう情熱があるかだよな。楽しいけどね。この歳になっても、立てなくなるぐらい笑うってあるもんな。お腹抱えるほど笑うとかさ。あんまり世の中のおじさんは笑ってないじゃん。うちらこの歳になっても、思いっきり笑ってるもんね。売れる、売れないに関わらず、楽しいことは楽しいよ」

ショックで僕は寝られなかった
柿澤「この前、K-PROさんが主催している16歳から22歳までのレジスタリーグっていうバトルライブがあって、Aリーグ、BリーグのAリーグに行かせてもらったんですけど、Aリーグの最下位で。めちゃくちゃスベったんですよ。その時、本当に寝られなかったです。東京に来て、こんなことするために東京に来たのか、みたいな。ショックで僕は寝られなかったんですけど、こいつ(佐藤)は次の日、普通にサークルで楽しんでました」
佐藤「全然、寝られました。ネタを(佐藤が)0、(柿澤が)100で考えているので」
西堀「あ、そうなの。じゃあ『柿澤、かわいそうだな』ぐらい?」
佐藤「かわいそうだなと」
柿澤「それ聞いた時、めっちゃ腹立ちました」
西堀「ウケる、スベるはやっぱりショックだよな。目の前で判定されるもんね」
佐藤「如実に出ちゃう」
柿澤「汗がめっちゃ出て」
西堀「でも、それがないとウケた時に気持ち良くないのよ。じゃあ、ちょっと壁を感じたんだ。いきなりスベって。そうだよね、若いっていうアドバンテージは最初は効くけど、失われていくもんね」
柿澤「だんだん、そうですね」
西堀「でも、いいこともあると思うよ。歳とると説得力も出てくるし。19の人間が言っているのと、30の人間が言っていることじゃ捉えられ方も違うからさ。なかなか自分を客観視するのって一番難しいんだよね。でも、今度『令和漫才米騒動』出てくれよ」
柿澤&佐藤「え!?」
柿澤「何でも出ます!」
佐藤「死に物狂いで」
西堀「ちゃんと生ネタも見ようかな」
佐藤「ちょっと頑張ってネタ書いてもらいます」
柿澤「あ、そうか」
西堀「どうしても、同じ高校の方がかわいく見えちゃうな」
柿澤&佐藤「はははは」

お笑いでご飯を食べられるなら
西堀「毎日漫才をやりたい?」
柿澤「今はネタしかやることがないので」
西堀「(佐藤は)そんなやりたくない感じはするけど」
佐藤「睡眠時間さえあれば」
西堀「ライブがあっても寝られるよ。声掛けられたら、どっかに入るの?」
柿澤「4年間でどこかにスカウトされたら、ありがたいなと。それこそ去年だとナユタさんとか」
西堀「あいつらも上手だよな」
柿澤「大学一番、みたいな。ナユタさんはNSCも免除で1年目から」
西堀「免除?」
柿澤「スカウトで1年目から。大学卒業して、そのまま吉本さんに」
西堀「それが理想パターンなんだ。でも吉本だからいいけど、小さいところに言われたら嫌だろ」
柿澤&佐藤「いやいや」
柿澤「ありがたいです。お笑いでご飯を食べられるなら」
西堀「事務所の大小ってあるぞ。マジであるぞ。例えば、俺がマシンガンズ個人事務所をやっているとしたら、俺は絶対取るよ。だって取ってリスクはないもん。どんな小さな事務所も偽ビートルズの二人は欲しいんだよ。売れるかもしれないから。だから、特にネタ見せもしないでキープだけされるのが一番困るのよ」
柿澤「なるほど、そっか」
西堀「こっち(芸人)側にもそこの事務所を見て、メリットがないと」
佐藤「まだ、どの事務所がどんな感じなのか、全然分かってなくて」
西堀「だから、声掛けられたら一回相談してくれよ」
柿澤「本当ですか?」
西堀「聞いたことない事務所だな、とかさ」
柿澤&佐藤「はははは」
西堀「最低でも、聞いたことあるところでね」
柿澤「大学のうちに事務所ごとの色が分かるようになりたいですね」

そんなやつがお笑いやるな!(笑)
西堀「19か。驚くわ。こういうやつがいるんだよな。K-PROは月何回ぐらい?」
柿澤「それこそレジスタリーグだけなので、月1回ぐらいです」
西堀「まあ、でも学校行きながらだと、時間的にはタイトだよな」
柿澤「夜であれば」
佐藤「バイトもしてないので」
柿澤「最初はとにかく大学お笑いに慣れようってことで、いっぱいライブに出ようと」
佐藤「高校時代にいっぱいバイトして貯金を」
柿澤「僕も貯金で」
西堀「そんなやつがお笑いやるな!」
柿澤&佐藤「はははは」
西堀「何なんだよ」
佐藤「堅実に」
柿澤「ギャンブルとか絶対やらないようにと」
西堀「お笑いはな…、芸人始めて、借金して、首が回らなくなって、自己破産するまでがセットなんだよ」
柿澤「それは昭和でもびっくりじゃないですか」
西堀「自己破産だらけだよ。それか、売れて金が入ってきて(借金を)返すかだよ。借金してないやつなんていなかったよ。じゃあ、蓄えはバイトで頑張って作ったんだ。偉い、何も言うことない!」

狩南ってブレザーじゃん
柿澤「当時の修学旅行とかはどちらに行かれたんですか?」
西堀「大阪、京都、東京。大阪から東京まで移動した。覚えてる、覚えてる。ちょっと思い出してきた。上野に行って、あんまり北海道ってお好み焼き文化じゃないからさ、珍しくてみんなでお好み焼きを食べに行ってさ。狩南ってブレザーじゃん。ブレザーだと高校生ってバレるよなって、鞄の中にブレザーしまいこんで、みんなでビール頼んだの。そしたら『お前ら、高校生だろ』って」
柿澤「バレてるじゃないですか(笑)」
西堀「『ダメだよ、高校生は!』って。すっごい覚えてる。何か、そういうことがしたかったんだろうな。隣の中学校の方が悪かったんだよ。花川南中が当時悪くて、校門の前で鉄パイプ持って待ってんの。高校生を」
佐藤「中学生が?」
西堀「中学生が。アイツら、めちゃくちゃしてくるんだよ」
柿澤&佐藤「はははは」
柿澤「僕らは中2でいきなりコロナ禍になって、中体連もなくなって」
西堀「めっちゃ若いんだな。ここ最近話したやつで一番若いよ。10代なんて会わないもん。とりあえず、ライブよろしく頼むよ」
柿澤「死ぬ気で頑張ります。家族にも西堀さんと対談することになったって言ったら『米騒動の?』って言ってました」
西堀「この段階で言うのもあれだけど、西〝ほり〟な」
柿澤「すみません! ちょっと勢い余って濁点が付いてしまいました」
西堀「ごめん、もう帰してやろうかなと思ったけど、目を見て〝ぼり〟〝ぼり〟言ってるから」
柿澤「すみません!」
西堀「俺も悪いんだよ。松本さんの番組の時はずっと〝ぼり〟で通したからな」
柿澤&佐藤「はははは」
西堀「西〝ぼり〟西〝ぼり〟って言われても、指摘できる勇気がなかった。そういえば、何で偽ビートルズなの?」
コンビ名には自ずと寄っていく
柿澤「これは本当に悪ふざけで」
西堀「まあまあ、コンビ名なんて、そんなもんか」
佐藤「まだ名乗るのが恥ずかしいです。Xでビートルズに関するニュースを挙げているアカウントで、僕らが取り上げられたことがあります」
西堀「そうだよな、ビートルズって書いてあるからな」
柿澤「ビートルズで検索したら、僕らが出ちゃう」
西堀「ジョンとかにすればいいじゃん」
柿澤「ビートルズが好きで決めたわけじゃないんですよ」
西堀「今の時代って検索に引っ掛からないとダメだよね。エゴサできないもんね。結構、変な名前の方がいいんだよな」
柿澤「ゼロから生み出した方がいいですかね?」
西堀「造語の方がいいんじゃない?」
佐藤「マシンガンズさんは?」
西堀「適当に付けたし、当時のジンクスで『ン』が2回入ると売れるって。ダウンタウン、ウッチャンナンチャンとかさ。マシンガンズで『ン』が2回入っているし、適当に付けたら、コンビ名っぽい芸風になってた。名前って自分たちが寄っていくんだよ」
佐藤「ビートルズに寄る可能性も」
西堀「あるよ」
柿澤&佐藤「はははは」
西堀「ジョン・レノンみたいな眼鏡をする可能性がある」
柿澤「嫌ですよ!」
西堀「嫌って、お前らが付けたんだろ!」
(おわり)

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