中島卓也 劇的ドラマを演出した粘りの四球 2軍でも変わらないひたむきな姿勢が結実
九回2死、中島が四球を選ぶ=撮影・小田岳史
■セ・パ交流戦3回戦 広島7-8日本ハム(6月15日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムの中島卓也内野手(34)が15日、エスコンフィールド北海道で行われた広島戦に途中出場し、粘りの四球で劇的ドラマを演出した。絶体絶命の九回2死から9球粘って四球出塁。ベンチと球場全体のムードをガラリと変え、同点、逆転の布石を打った。
2球で追い込まれ「簡単に終わりたくない」
凡退すれば、ゲームセット。崖っぷちに立たされていても、集中力は研ぎ澄まされていた。2球で追い込まれたが、広島・ハーンの150キロ台の剛速球についていく。「2ストライク目の空振りもあまり合っていなかったので、ヤバイなと思ったんですけど、簡単に終わりたくないと。食らいついていこうと思っていました」
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きわどいコースを見極めながら、ファウル打ちの名手の本領を発揮した。最後は9球目のスライダーを見逃し、根比べを制した。不思議と怖さはなかった。「集中していて、アドレナリンも出ていました。ああいう形で塁に出られたというのは(価値があった)。打つのは難しいので、追い込まれてからああいう打席にできたのは良かった」と充実感をにじませた。
出場機会が少なくても「言い訳できない」大事なことは…
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今季、開幕を2軍で迎えた。イースタン・リーグは、若手に多くの出場機会が与えられる。必然的に、アピールするチャンスは少ない。そんな現状も冷静に受け止め「2軍では3試合のうち1試合スタメンで、あとは途中からというような形。でも、あまり試合に出ていないから1軍で結果が出ない、というような言い訳はできない。集中することが大事」と1打席、1プレーを大切にしてきた。
実戦の打席が少ない分は自主練習で補った。トスを上げるなど、居残り練習をサポートしてきた2軍の薄ブルペン捕手は「卓さんは毎日、試合後は必ず練習しています。打った日に気分良く練習する選手は多いと思うんですけど、打てなかったとしても全く引きずらない。態度が変わらなくて、いつも同じように練習していました」と証言。続けて、穏やかな人柄にも触れ「あれだけ実績がある選手ですけど、打てなかった試合のあとでもいつも優しくて、練習の合間には僕とゴルフやご飯の話をしてくれますね。全くイライラするようなそぶりも出さなくて、すごいなと思います」と敬意を表した。
延長十回、三塁の守備に就く中島
「きょうの勝ち方はミラクル」
7点差を逆転―。プロ17年のキャリアの中でも、特別な試合の一つになった。「きょうの勝ち方はミラクルだと思う。昔からファイターズは最後まであきらめない、というプレースタイル、チーム方針があるので。こういうゲームは(1年に)1試合、2試合、あるかないか。このまま勢いに乗って、ビジターの6連戦に臨めたら」。世代交代が進むチームの中で、経験と技を携えたベテランは自らの生きざまを体現していく。