《今治戦前日》最終的にほぼパーフェクトな移籍期間になった《岩政Talk》
■6月14日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
練習後、取材に応じた岩政大樹監督(43)の一問一答は以下の通り。
【宮大樹 新天地デビューへ「必要なのは勝利の2文字だけ。そこに貢献する姿を見せたい」】
ー中断期間中のオフは
5カ月ぶりに家族へ会いに行きました。
ー特別登録期間に戦力補強した
僕の指導者としての大前提は、いる選手が成長して勝負すること。それは昔も、これからも変わらない。選手の成長という観点で考える。例えばトレーニングをしていても、サブ組のCBをカンや(田中)宏武、(原)康介がやることもある。自分のポジションじゃないトレーニングをさせてしまうと、対戦する選手たちも試合まで本職と対戦しない状況で試合をすることになる。それでは成長にならない、という面がある。
【経験豊かな新加入選手は即戦力として結果を残してほしい《河合CRC竜の眼》】
僕はトレーニング、日常で選手たちの成長する場所をつくることが大事だと考えている。その環境を整えようというのが今回の(補強の)考え方のベースです。まず足りないのはDFライン。5月の連戦も選手を代えられなかったし、最重要課題だった。最初に宮を獲得できたことが非常に大きい。彼とは何度も対戦して良い選手だと分かっている。高さ、リーダーシップ、声や統率力、ゴール前の際の部分で守り切れる。うちに足りないところを補ってもらいたい。
【新加入のマリオ・セルジオが決意「ゴールが最大の貢献。試合数の半分、8~10点は取りたい」】
ーマリオ、浦上への期待は
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マリオに関しては非常に長い交渉だった。ストライカーは色々なリストが上がっていた。うちは(ゴールまで)残り30メートルに入る回数は悪くなくて、ビルドアップで前進するのも悪くない数字だが、そこからシュートに行く回数が少ない。決定力にも課題があって、そこに合う選手を探していた。どういう形でゴール前へ入るのか、そこへどういうボールを送り込めるのか。その先にいる選手としてマリオが一番フィットした。最初は違う選手にいってましたが、個人的には彼が一番合うと思っていました。
浦上に関しては、宮を取った段階でもCBが足りていなかった。個人的には西野も将来はボランチでやっていく選手という印象がある。そうなると(家泉と宮の)2枚しかいなかった。馬場がいなくなり、彼はキャラクター的にも非常に良い選手でしたが、そのポジションはあぶれている。代わりになる選手を取るか?という話もあったが、馬場の代わりとなるとボランチができてCBもできて、強度があってボールもさばける選手。それは弟分の西野が代わりを務められるので、同じタイプはいらないとなった。SBも含めて西野にはチャレンジさせようという話をしている。オールラウンドに後ろをできる選手になってほしい。
トレーニングを充実させる意味でもCBを加えて欲しかった。ビルドアップのところで貢献できる選手がいればボランチ陣が生きてくる。そうなれば青木が降りてくる必要もなくなる。前線にも厚みが出る。得点力は課題だが、ビルドアップを改善することで選手たちの成長を見られる。最終的にほぼパーフェクトな移籍期間になったと思う。足りないポジション、足りないタイプの選手はいるが、7割ぐらいは埋まったと思う。
ー浦上は入団時に監督へのリスペクトを語っていた。すでに何かを指導したか
僕はもう選手ではありません(笑)。彼らには彼らのキャリアや考え方があるので、まずはそれを大事にしてほしい。育成年代の指導ではないので。浦上も宮もJで長く経験して200試合も出ている選手。その経験をこのチームで出してほしいという願いの中で呼んでいる。僕が教えるよりも彼らのキャリアを先に進めることが大事。2人とも僕が望んでいた統率力があり、声を出すことですでに効果を発揮している。
トレーニングの雰囲気もまるで変わりました。僕は根深い問題という表現をしていたが、その1つは声を出せない、つながって守備ができないことだった。それは長年マンツーマンでやることによる弊害だった。横の選手と連係するよりも相手との関係でプレーするのがマンツーマン。粘り強く半年間やってきたつもりですが(改善には至らなかった)。宮は長谷部さんのもとでゾーンディフェンスを経験しているし、浦上も大宮で経験している。分かっている選手が入ってきたので、僕が教えるよりも彼らがやってきたことを周りに伝えてくれると、より浸透が早くなる。僕が期待して、彼らが応えてくれることが多くなると思います。
ー今治戦は前半戦最後の試合
J2は僕も選手も経験しているし、毎年流れを見ています。水戸が良い例ですが、どこかで5、6連勝という大きな流れをつくったチームが昇格に絡むリーグ。優勝しかないわけでなく、昇格は3チーム。POを勝ち上がれば入れ替え戦がないので、どのチームにも可能性がある。そこへ進んで行ければいい。狙うことはできないが、後半戦で大きな波をつかんだチームは勢いを持って昇格争いに挑める。その波をつくることに狙いを定めてチームをつくってきた。
結果は出ていなくても選手たちは良い雰囲気でここまで取り組んでくれた。その成果として最初の4連敗以降、連敗なく粘り強く戦えている。ここからの5試合で起きるのか、その先かは分からないが、早く波を起こして上に絡んでいきたい。新加入選手の浸透はまだ先だが、前半戦からいた選手がどんどん調子を上げている。天皇杯含め、たくさんの選手をピッチに立たせて天皇杯を含めた7試合で良い流れに持って行くことが今の願いです。
■プロフィール 岩政 大樹(いわまさ・だいき) 1982年1月30日生まれ。山口県出身。岩国高、東京学芸大を経て、04年に鹿島へ加入。13年限りで鹿島を退団した後は、タイ1部BECテロ・サーサナFC、岡山、東京ユナイテッドFCでプレーし、18年シーズンをもって現役引退。指導者としては、21年に上武大の監督を務めた後、22年から古巣・鹿島のトップチームコーチに就任。同年8月から監督に就任し、23年シーズン終了までチームを率いた。24年はベトナム1部ハノイFCで監督を務めた後、9月に母校の東京学芸大のコーチに就任していた。