経験豊かな新加入選手は即戦力として結果を残してほしい《河合CRC竜の眼》
目標に対して物足りなかった前半戦
時間の流れは早く、前半戦は今治戦(15日、プレド)を残すのみとなった。今回のコラムでは約2週間の中断期間を節目と捉え、これまでの戦いを振り返りたい。6勝3分け9敗でリーグ12位の現状は、1シーズンでのJ1昇格を狙う上で決して満足できるものではない。チーム全体の戦い方、選手のパフォーマンスの両面で納得いく結果を得られていないと感じている。
開幕直後の4連敗が、大きな負担となってのし掛かっている。開幕戦(vs大分)は前線のケガ人を除き、練習試合で結果を出した選手がメンバーに選出された。前半は非常に良い流れを見せたシーンもあったが、絶好機を逃したことで歯車が狂い始めた。タラレバになるが、ワンプレーがシーズンの流れを左右することもある。決めるべきところで決めきれなかった〝あの1点〟が、現在の順位に反映されている。
メンバー固定できず不安定な戦いに
連敗中は選手を大幅に入れ替えながらゲームに臨んだが、結果的にチームのバランスが不安定になってしまった。新体制となって戦術が浸透していない状態で、違う組み合わせを試すことが悪い方向に作用した。出場機会をもらえた選手が大チャンスを生かし切れず、なかなかレギュラーを固定できなかった。前半戦は総じて、チームよりも個の部分でやられてしまった印象だ。
組織としてのパフォーマンスにも疑問符が付く。DF陣が最低限のやるべきことを守れなかったことが、これだけ失点が多い(リーグワースト3位、29失点)要因の一つになった。1本のパスで簡単に背後を取られるし、致命的なミスも多かった。若い選手が多く起用されているので致し方ない部分もあるが、もったいないミスが多すぎた。
特別登録期間に即戦力3選手を補強 宮の縦パスは元札幌の福森を彷彿
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シーズン開幕から同じ失敗を繰り返していたため、チームに落ち着きをもたらせる選手の早期補強が必要と考えていた。4月末のサポーターミーティングで石水社長と竹林フットボール部部長が明言したとおり、クラブは特別登録期間(6月1~10日)中にストライカーのマリオ・セルジオ、DF陣では宮大樹と浦上仁騎の計3選手を獲得した。経験豊かな新戦力は、即戦力としてすぐに結果を残してほしい。
8日の紅白戦で宮のプレーを初めて生で見て、素晴らしい選手だと実感した。ゲーム感覚はまだ足りてないはずだが、トップに当てる斜めのくさびはDF福森(現横浜FC)を彷彿させ、前線へのフィードやダイナミックな展開力はMF高嶺のイメージと重なる。空中戦に強く、当たり負けしないフィジカルもある。ハードマーカーとしての期待は膨らむばかりだ。
そして何よりも、声が出るのがいい。統率力の面でも非常に良い補強になった。コメントを見ても「自分がチームを引っ張る。J1に上げる」という気持ちが伝わってくる。経験ある宮のプレースタイルは、自分にフォーカスしがちな若手たちの良い手本になるだろう。
頼もしい新戦力とともに後半戦へ
マリオ・セルジオは映像しか見ていないが、ボックス内での嗅覚が優れている印象を受ける。ヘディングに強く、パンチ力もあるレフティーは点取り屋の風格を漂わせる。札幌の攻撃を活性化させるプレーを期待するが、極論を言えばストライカーは点を取ってくれれば良い。理想型はエメルソンのようにゴールで勝利に導いてくれる存在。少なくとも2桁得点を挙げてほしい。
ユーティリティープレーヤーの浦上は左右関係なく、どのポジションにも対応できる強みを持つ。万能型の選手がいれば、誰かにトラブルが起きたときも後手に回らず済む。少し話は脱線するが、大宮の下部組織育ちの浦上は、私と同じ西武台高校出身だ。母校の後輩が、チームの層を厚くしてくれると信じている。
中断期間中には選手やフロント、それぞれのファミリーが参加したバーベキュー大会で親交を深めることができた。オールコンサドーレで一体感を高めて臨む後半戦は、今まで以上に結果が問われる。クラブは選手を後押しし、選手はピッチでベストを尽くす。一枚岩となって、PO圏内進出を狙いたい。
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