西野奨太が盟友との別れに号泣 2人で交わした約束は「今度はお互いに、高みで会おう」
6日の練習でDF馬場(左)と会話しながらパス交換するDF西野=撮影・宮西雄太郎
■6月7日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
北海道コンサドーレ札幌のDF西野奨太(21)が7日、札幌市内で行われた全体練習に参加し、第19節・今治戦(15日、プレド)へ向けて調整した。クラブはこの日、DF馬場晴也(23)がJ1柏へ完全移籍することを発表。盟友との別れを惜しんだ西野は「絶対に昇格しないといけない」と、J1舞台での再会を誓った。
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DF馬場との別れを惜しんだDF西野(中央)
「家族以上の存在」言葉を発する前に…
こみ上げる思いを、抑えきれなかった。前日6日。馬場は宮の沢での最後のトレーニングへ臨む前に、クラブハウスで仲間たちにあいさつした。「家族以上の存在」という大親友が別れの言葉を発する前から、涙腺は崩壊していた。
「泣かないようにしていたけど、あいさつの時間が近づいてきたら…。まだ何もしゃべってないのに僕が泣き出してしまった。それを見てバビー(馬場)も、もらい泣きしていた。彼はただのチームメートじゃない。家族以上に何でも打ち明けられる間柄。隠し事が1つもなく、お互いの意見を真っすぐに、嘘偽りなく話してきた。久しぶりに大泣きしてしまいました」
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今思えば、あれが最後のパス交換
その日の2人は全体練習終了後もピッチに残り、ほんの少しだけ言葉を交わしながらボールを蹴り合った。「普段から2人でパスを始めることが多かった。いつもの感覚でボーっとした感じで蹴っていた。今思えば、あれがバビーとの最後のパス交換でしたね」と共有した特別な時間を、しみじみと振り返った。
6日の練習でDF馬場(左)と会話しながらパス交換するDF西野
2023年に札幌へ加入した馬場は、ピッチの内外で大きな影響を与えてくれた。出会って間もない頃に受けた衝撃を、西野は今でも忘れていない。
彼は誰よりも走っていた
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「バビーが来てすぐの頃は、そんなにスタメンで出ていなかった。いろいろ思うことはあったと思うけど、遠征から帰って試合に出てない組が練習すると、彼は誰よりも走っていた。アンダー世代の代表にも入っている年齢の近い選手が、素晴らしい練習姿勢を見せてくれたことで、すごく刺激をもらえました。走る、戦う、目の前の選手に負けないという姿勢を吸収することができた。バビーはたまに行き過ぎることもあるけど(笑)。気持ちあふれるプレーを教わりました」
プライベートでも多くの時間を一緒に過ごし、プロサッカー選手のあり方を学んできた。いつの頃からか、試合前日は2人で宿舎近くのスーパー銭湯へ行くのがルーティンとなっていた。気兼ねなく交わす会話や何気ない日常が、西野の人生を豊かにしてくれた。

バビーが人生にきっかけ与えてくれた
「僕は彼のまねをしてきた。プライベートもサッカーも、バビーが自分の人生にきっかけを与えてくれた。彼がいなかったら、この世界で試合に出ることもできなかったと思う。憧れているし、目標とする背中。言葉では表しきれません」
チームメートでなくなることに一抹の寂しさを覚えている。ただ、そんな感情を上回るほどの気力が湧き上がってくる。「相手同士になりますけど、一緒のピッチでプレーしたい。そのためにはJ1へ上がるのが一番手っ取り早い。今度はお互いに、高みで会おうという話をしました。Jリーグも、その先の日本代表も。そういう舞台で一緒にやりたいし、目指そうと2人で約束しました」。若き才能は数々の記憶を胸に刻み、明るい未来へ歩み出す。
6日の練習でDF馬場(右)の隣に座るDF西野