北海学園大が46年ぶり勝利 159キロ右腕・工藤泰己はほろ苦の全国デビュー【全日本大学選手権】
北海学園大先発の工藤=撮影・中川明紀
■全日本大学野球選手権大会(6月9日、東京・神宮球場)
▽1回戦 北海学園大5-4上武大
一回に無安打で先制許すなど4失点
4年ぶり21度目出場の北海学園大が、優勝経験もある上武大に5-4と逆転勝利で16強入りした。先発した侍ジャパン大学日本代表候補の159キロ右腕・工藤泰己投手(4年)は一回に2つの四死球でピンチを迎え、無安打での先制を許すなど、四回途中4失点(自責3)で降板した。それでも救援した木村駿太投手(4年、札幌国際情報)と高谷舟投手(4年、札幌日大高)が無失点継投。すると2本の本塁打など3年生がバットで援護した。最後は4-4の九回に相手失策の間に決勝点を挙げ、8強入りした1979年以来の全国1勝を挙げた。11日の2回戦では佛教大と対戦する。
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北海学園大先発の工藤
逆に自分にとってプラス
159キロ右腕がついに全国デビューを果たした。北海高では2度、甲子園に出場も、登板機会はなかった。北海学園入学後、7季目で初めての神宮のマウンド。この日最速は155キロをマークするも、四回途中4失点。ほろ苦い結果に終わったが「一、二回に先頭打者をフォアボールで出してしまったっていうのが一番の問題。そのあと、ズルズル流れを持っていけなかったので、先頭打者の入りが一番の問題。悔しい結果になったことが逆に自分にとってプラスというか、もう一回、気を引き締めて頑張るっていう気持ちになれたので、そういう意味で考えると良かった」。中1日で迎える2回戦へ、切り替えた。
高谷とは中学時にチームメート 「一緒にやってきた期間が長いので…」
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一度は別々の高校に進み、離れかけた運命の歯車が、大学で再び交わった。工藤と3番手で登板した高谷は、中学軟式のTTBCでチームメート。高谷は外野手、工藤は捕手。それがまさか2人とも投手として、神宮のマウンドで勝利の方程式を担う日が来るとは、当時の誰もが考えてもいなかった。「やっぱり、一緒に野球をやってきた期間が長いので、すごく嬉しいですし、もっと(高谷)舟と試合をやりたい」。まだまだ〝春〟は終わらせない。
勝利を喜ぶ北海学園大3番手の高谷(右)と先発した工藤
下級生のバットが頼もしい
自身の降板後、下級生のバットに助けられた。0-1の二回に、指名打者・井樫太希(3年)が同点ソロ。2-4で迎えた六回1死一塁では、代打の柏原翔太(3年)が初球を右翼へ運ぶ同点の2点弾。さらに九回先頭で執念のヘッドスライディングで出塁し、決勝点の生還を果たしたのも、火ノ川優作三塁手(3年)だ。工藤は「今回の春のリーグ戦もそうですけど、自分がダメだった時に、野手に頑張ってもらって、点数を取ってもらったってことが多くて、それが今回、下級生っていうことだったんで、すごく頼もしく思っていますし、すごい信頼しています」と感謝した。
六回1死一塁、同点となる2点本塁打を放つ北海学園大の柏原
OB監督の采配も全てズバリ
この試合、島崎圭介監督(53)の采配が冴えた。四回先頭に本塁打を打たれた時点で工藤をスパッと代えたのも、七回2死満塁で、春のリーグ戦では5イニングしか投げさせていなかった高谷にマウンドを任せたのも、六回に同点弾を打った柏原を代打で送ったタイミングなど、終わってみれば、全て〝ズバリ〟と決まった采配だった。
監督自身はOBとして1991年に出場した神宮で逆転負けを経験。2019年秋に監督に就任して、4年ぶり2度目の全国大会でようやく監督初白星。前日には、4年前に主力だった鈴木大和外野手(26、巨人)の支配下登録の一方が入った。「46年ぶり勝利って聞いてましたんで、OBも含めて、1勝を届けたいと思っていた。ちょっとほっとしてます」と安堵した表情を浮かべた。
北海学園大を指揮する島崎監督
次は力みを取って
北海学園大の過去最高成績は、2勝した1958年の4強。2回戦は北海道学生野球連盟代表の東農大北海道を下した佛教大。工藤は「正直、打たれたくないなって、ちょっと力が入ってきた部分もあったので、内野手とか外野手に打たせて取る気持ちで、軽くゾーンにストライクを先行させて投げていきたい」。北の豪腕が、今度こそ圧巻の投球でチームの勝利を引き寄せる。
■七回2死満塁で救援し、最後まで無失点投球を続けた高谷舟投手(4年)
「絶対ピンチの場面で、接戦の場面で投げることあるだろうなって準備はしてた。やっときたなっていうのと、木村がピンチだったので、木村の分まで、チームの分まで絶対抑えてやろうっていう気持ちで投げました」
3番手で登板した北海学園大の高谷
■六回1死一塁、代打で初球を右翼席へ運んだ柏原翔太(3年、旭川実業)
「(相手投手が)スライダーを多投していたので、初球スライダーを狙った。内角近くに来るなと思っていた。そこをうまく体を回せれば間を抜く当たりは打てるかなと思っていた。ずっとベスト8を目標に掲げていた。歴史を変えたい」
六回1死一塁、同点となる2点本塁打を放ち、本塁へと向かう北海学園大の柏原(左)
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