【一問一答】レバンガの小川嶺新オーナーが見据える未来「トップタレントの強化はマスト」
レバンガ北海道の(左から)折茂代表、新オーナーに就任した小川氏、美山会長が新体制会見を行った=撮影・十島功
町中にバスケがある世界つくりたい
Bリーグ1部のレバンガ北海道が9日、札幌市内でクラブ運営体制に関する記者会見を行った。新たに就任した小川嶺オーナー(28)の会見はレバンガを日本一にする覚悟、そして北海道への愛がにじんだものとなった。記者会見での就任あいさつと一問一答は以下の通り。
―(就任あいさつ)
株式会社レコレ代表取締役の小川嶺と申します。本日はご多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。今年28という非常に若い年齢で、このような大変重要な責務をお任せいただいた美山会長には本当に頭が上がらない状況でありますし、その期待にしっかり応えなきゃいけないという責任があると思っていますので、しっかりと期待を超えられるように、私自身もコミットしていきたいと思っております。
私自身は20歳のときに1社、アパレル系の会社を作っておりまして、その会社が一度うまくいかず、会社を畳むという意思決定をしております。日々の生活のためにバイトする中で、すぐに働けて、すぐにお金をもらえるサービスがあったらどんなに便利かと思って、タイミーという会社を21歳のときに立ち上げました。その会社はおかげさまで1000万人を超える、労働人口の約15%が扱うようなサービスに成長し、昨年にグロス市場の方に上場を無事にさせていただいたという形になっております。北海道も2022年1月より札幌の方に支社を設けておりまして、道内10自治体と業務提携の方をさせていただいております。
北海道にはポテンシャルがある
私自身、東京出身ではあるんですが、日本にこれほど素晴らしい場所があるのかというところを、(北海道に)初めて来たときに思い、また多くの経済界、自治体、様々な方とお話する中で、ポテンシャルを実感しました。今後、20~30年後を考えても、地球温暖化ならびに食料問題、様々な問題はある中で北海道が中心になっていくことは間違いないと思っております。そういう中でレバンガ、スポーツの力というところは北海道中のエネルギーになっていく。そして日本中のエネルギーになっていくと思っておりますので、レバンガは日本一を目指し、日本一になるということは、日本自体を元気にすることにつながると思い、今回このようなご縁でオーナーになる決断をさせていただきました。
ブースターの方々、様々な方々に受け入れていただけるのかなという不安が今でも正直ある状況ではあるんですが、美山会長並びに、折茂社長、横田CEO、様々な方とお会いする中で、このメンバー、このチームであれば、自分はレバンガを本当により強くできるし、ブースターの方々、またスポンサーの方々の期待にしっかりと応えることができるんじゃないかというところの確信を持ちましたので、今回、オーナーの方にならせていただく決断をさせていただいたという形になっております。
新オーナーに就任した小川氏(右)
地に足を付け、覚悟を持って臨む
すでに家も購入しまして、しっかり札幌に住む。2拠点の生活という形になりますが、しっかりと札幌にも家を持ちながら生活したいと思っております。オーナーになって、また変わってしまうんじゃないかと思われる方もいらっしゃるかもしれないですけど、それは断じてない。私はしっかりと北海道という地に足を付け、しっかりスポーツ運営をやっていくという覚悟を持って、この会見に臨んでいるので、ぜひご理解、またご支援いただけたら非常にうれしいなと思っております。
この会見を迎えるにあたって、これまでレバンガを支えてきた全ての方々へ心から敬意と感謝を込めて、この場を迎えることができたことを非常にうれしく思っておりますし、何よりその土台をしっかりと生かしていきたいと思っております。レラカムイのところから始まり、約15年という月日があり、今のレバンガがある。Bリーグの中でも、ここまで堅実に黒字化経営をしながら、一度もB1から落ちたことはないというところで、しっかりとこの順位を保つことができているというところは、ものすごい経営努力があった。
それはフロントメンバー、従業員も含め、素晴らしい方々の支えがあったからこその今があると思っております。まず、そこに大きく敬意を払っておりますし、その上で皆さんの期待を、本当に日本一になっていきたい、CSに参加したいという思いをしっかりと実現していくのが2代目のオーナーの役割だと思ってます。
Bリーグは様々なクラブチームがあります。実際に私も広島、宇都宮のチームにスポンサードさせていただいたこともありまして、いろんなチームを見てきたところもありました。やはり優勝するチームには多くの素晴らしいスポンサー、ブースター、またフロントメンバー、地域の支援というところがあって成り立っていることを実感し、私もそれを実現したい、私自身もやりたいという思いがどんどんどんどん膨らんで、このチームに最終的にたどり着くことができたと思っております。北海道の地場の皆様と協力し合いながら、レバンガをより育んでいきたいと思っております。
エスコンで行われた試合も観戦
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私自身、何度も試合を見させていただきまして、実際にエスコンで行われた試合も見させていただきました。あの試合も感無量でした。本当にBリーグの中でも「ココロ、たぎる。賞」ということで、本当に素晴らしい勝負をしていただいた。まさにバスケが日本の中で最も注目されているスポーツになり始めていると思っております。
北海道にはファイターズ、コンサドーレ、そしてレバンガという3つ以外にも様々なスポーツがありますけど、実際にファイターズがものすごく群を抜いて成長していると思っているのですが、レバンガもそこに食い込むような形で、日常の会話の中でバスケの話、レバンガの話をされるような形に、あらゆる手段を用いて持っていきたいと思っております。
日本一を目指しながら育成にも力を
まず、日本一を目標に掲げ、しっかりと日本一に向けた選手の評価、ユースの育成を行っていきたいと思っております。まさに富永選手を中心とし、様々な選手を獲得していくことによって、日本一を本気で目指すような姿勢を見せていきたい。強い選手がいたら優勝できるか、そんなことはないと思ってます。それだけでは難しい。しかしながら、強い選手というのは非常に重要であると思っていますので、まずはしっかりと選手の強化をし、その上でレバンガらしさですね、Bリーグの中では最も若いチームになります。持続的なチーム運営のためにもユースの強化というところは非常に重要だと思っております。
開幕からユースも3連勝し、非常に強い状況になっておりますし、ユースというのはものすごくレバンガとして資産になってきている部分だと思ってます。どんどんどんどん強い人を入れればいいのかと。それはレバンガらしさがなくなってしまうと思っていますので、しっかりとバランスを持ち、らしさを保ちながら日本一を目指していくことが、自分に求められていることだと思いますし、目指していくことと思ってますので、それをしっかり実現していきたいと思っております。
バスケットを日常の一つに
最後に私が実現していきたいことは、やはりバスケットを日常の一つにしたいと思っております。大変悲しいことに、私の北海道支社にいるメンバー24人に「レバンガの試合を見たことがあるか」という話を聞いたら「すみません、見たことがないです」と話をされてしまったところがあって、知ってはいるんだけど、まだ見たことがないという人は北海道中に結構いるんじゃないかと思ってます。
むしろ、それはチャンスだと思ってまして、一度も足を運んだことのない方に対して、こういう風なオーナーチェンジ、ならびに富永選手(獲得)、監督(交代)も含めてですね、様々な変化がある中で「ちょっと一回、行ってみようか」と思われる方も増えるんじゃないかと思ってます。一度来ていただければ、バスケの面白さ、素晴らしさに気づいていただけると思っていますので、まさに日常会話の中にレバンガの会話があふれるような世界をつくっていきたいと思ってますし、それは実現できると思っております。
また、折茂代表が常々言っている「バスケコートが町中にある世界をつくりたいんだ」という思いを私も汲みたいと思っております。まさに、今回準優勝した沖縄に関しても、町中にバスケットコートがあり、NBA、アメリカに関しても、町中にバスケットコートがある。そういうバスケが町になじむ、素晴らしい町があることによって、バスケ文化が生まれ、日本中にバスケが流行っていくと思っております。
昔はサッカー、野球だったところから、結構バスケットボールを持っている子供たちが増えているなと実感しております。今後、未来を担っていく子供たちがバスケットボールに触れていくという世界はものすごく重要だと思っておりまして、多くの住民の方々も「バスケがうるさい」「夜に公園でスポーツするな」という思いも分かります。その声もあるのは重々承知しているのですが、そういう部分も札幌市、ならびに様々な行政と連携しながら、北海道中にバスケのコートがあるような形を、住民の迷惑にならない範囲で実現できたら非常にうれしいなと思っていますし、それこそが日本の活気あふれる世界につながっていくと思っております。
記者会見を行った(左から)桜井GM、新加入の富永、小川新オーナー、折茂代表
スポーツの力
日本でどのような明るい未来をつくっていくのか、これはものすごく重要なテーマ。私が未来を生きていく中で、今後50年、60年、経済界を生きていく中で非常に重要なテーマだと当事者として思っています。スポーツはものすごい力を持っている。多くの方々を元気にする力を持っている。スポーツを通じて、多くの方々を元気にし、その方々がまた経済活動する中で、日本の生活は豊かになっていくという循環は必ずつくれると思っています。レバンガを中心とし、多くの日本国民に元気あふれる生活を送っていただけるような世界を目指し、私がオーナーとして就任させていただけたらと思っております。今後とも皆様のご支援、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
―北海道のポテンシャルを一番感じている部分は
私は経営者として未来を見て、未来から逆算していくことを常々やってきました。今の北海道はもちろんなんですが、20~30年後の日本を見たときに明らかに北海道のポテンシャルはより評価される。むしろ、今は過小評価されていると思っております。素晴らしい作物がたくさん取れる北海道は日本の中でも注目されていくべきだと思ってます。
何よりも北海道の方々は人が良いなと思っております。ものすごく優しい方々が多く、私もすごく不安になって「東京の人なんですけど、大丈夫ですか」といろんな方にさせていただいたんですけど、「そもそも開拓民族である中で250年の歴史のある北海道ではあるが、まだまだ改革をしていかないといけないし、まだまだ歴史で言うと浅い都道府県であると思ってる。そういう中でもっともっと新しい風を入れながらやっていきたいんだ」とお声がけいただいたことがありまして、そういう風な都道府県っていうのは実はそんなに多くないのかなと思っています。
今回の件に伴いまして、47都道府県全ての県に行かせていただいて、多くのスポーツチームのオーナーと話をしてきました。その中で北海道という場所を選ばせていただいている。ポテンシャルはもちろんのことながら、そこに住まれている方々がものすごく温かく、前向きであることに魅力を感じたところが一番の理由かなと思います。
―どうプラスアルファすればという青写真を描いているか
外国人選手を含め、トップタレントの強化っていうのはマストだと思っております。やはりBリーグ全体見ても、相当強化してます。選手の人件費にかけるコストはものすごい金額になってきている。選手の年俸もどんどん上がってきている。しっかりとチーム経営としてお金を投下しないと、勝てない状況になってきているんじゃないかなと思ってます。
レバンガは今まで堅実経営という形で、しっかりと若いメンバーを選手として確保しながら黒字化経営していくことに主軸を置いていました。Bプレミアになっていく、大きく変化している中で、ここで勝負に出なくてはいけないタイミングだと思っております。富永選手も来られますが、そういう選手を惹きつけてくることができる監督の存在というのはものすごく大きかった。
そういう意味で言うと、トーステン・ロイブル監督はしっかりと富永選手を約3年間、横で見てきて、富永選手も相当な信頼を置いている。だから一緒にやりたいということがあったんじゃないかと思ってます。今回、富永選手に注目が行きがちかなと思っているんですが、ヘッドコーチが変わるのはものすごく大きな変化だと思ってまして、今までのチーム運営から、今回の第2章となるときにヘッドコーチの存在はものすごく大きなものになっている。ヘッドコーチと話しながら、桜井GMと話しながら、どんなチームにすれば日本一になれるのかという話をワクワクしながら今話しているような状況です。しっかりと選手獲得にも貪欲に関わっていきながら、日本一を目指していきたいと思っています。
―決断に至る過程で美山会長や折茂代表、横田CEOからの心を動かした言葉などは
実はまだお会いして1年ちょっとしか経ってないので、古い仲ではないんですけど、逆に言うとこの1年がすごく濃密だった。その中ですごくいろんな言葉がありますけど、2つお答えできたら。
まずは横田CEOから。「もっともっとこういうことをやらせてあげたいのに、お金の関係で、やりたいことをさせられない」と悔しそうに話していた姿が印象的だった。フロントは素晴らしいメンバーが多くて、もっとこういうことをやりたいという思いがすこくあふれていると思っているのですが、予算の関係上できなかったことがあったと。それはブースターの方々からしたら「もっとこんなことやればいいのに」というところはいろいろあったと思っているのですが、しっかりと形にできるようにしていきたいと思っています。
2つ目は折茂代表の「町中にバスケットコートを作りたい」という言葉かなと思ってまして。いろんな批判もあると思うんですよ。住民からするとバスケットコートを作られて、夜の騒音どうするんだって話もあったりすると思うんですけど、そういうことを言いたかったわけじゃなくて、町中にバスケットコートがあふれる世界を見てみたい。町が応援してくれて、町中が会話をしてくれる世界だと思っているので、物理的じゃなくてもいいと思うんですけど、そういう風に町中にあふれる世界をつくりたい思いはすごく自分に響いたこともあった。行政と連携しながら、住民のご迷惑にならない形で子供の笑顔があふれる世界をつくっていく。町中にバスケットコートがあふれる世界を共に実現できるといいのかなと思っています。
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