アマスポーツ
2021/12/29 14:57

札山の2年ぶり初戦突破 来年定年の佐藤監督へプレゼント

前半12分、札山の手SOヴァハフォラウ(右)が40メートルの独走トライを決める(撮影・桶谷駿矢)

■全国高校ラグビー  第2日 28日、大阪・花園ラグビー場

 4年連続20度目出場の札山の手は1回戦に臨み、36―10で黒沢尻北(岩手)を破って2年ぶりに初戦を突破した。前半3分、フッカー山本陽生(3年)が先制のトライを挙げ、同12分には司令塔のSOステファン・ヴァハフォラウ(3年)が40メートルの独走トライ。序盤から主導権を握った。創部から34年間、指揮を執った佐藤幹夫監督(60)は来春で定年。初のシード校撃破をかけ、30日の2回戦で大阪桐蔭に挑む。4年連続6度目出場の旭龍谷は10―75で大津緑洋(山口)に完敗した。

「花園で正月を越えさせよう」

 札山の手が2年ぶりに1回戦を突破した。1988年の創部から指揮を執る佐藤監督は、「後半、ちょっと相手が盛り返してきて、ハラハラしたんですけど、残り10分に巻き返してくれた。最高のプレゼントを頂きました」と、はにかんだ。
 フォワードの平均体重で約9キロ上回る札山の手が序盤から押しこんだ。前半3分、相手ゴールライン5メートル付近のラックから105キロの山本陽が左サイドへ先制トライ。大阪出身で試合会場は実家から徒歩圏内。この日は両親と祖母が応援に駆けつけた。幼い頃から憧れた花園で勝利し、「あまりスクラムを組めてなくて、最初、ちょっとプレッシャーを感じたけど、まとまってトライが取れて良かった」と喜んだ。
 さらに司令塔のヴァハフォラウも抜群の動きを披露。同12分、ラインアウトから残り40メートルを独走した。パスを受けた瞬間、前が空いたのを確認。「ここがチャンス」と、自慢のスピードを生かし、2人のタックルを華麗なステップでいなして追加点を挙げた。同27分、29分には中央から左右に大きく展開し、トライにつなげた。去年はコロナ太りで理想の体重ではなかったが、今年は18キロ減量。「今回は完璧です」と、キレが戻った。
 今月中旬には、佐藤監督の教え子で日本代表のリーチ・マイケル(33)から部員全員に特製パーカーがプレゼントされた。吉田慎吾主将(3年)は「きのう(27日)マイケルさんや、OBから応援メッセージを頂いて選手全員で見た」と、士気を上げて初戦を迎えた。
 佐藤監督は定年後も指導に携わる予定だが、今大会が指揮官としての節目。昨年、新チーム結成時に現メンバーは大きな誓いを立てた。「佐藤監督最後の年、花園で正月を越えさせよう」。シード校を破り、新たな年を気持ちよく迎える。(西川薫)

■旭龍谷2トライ奪うも完敗

 大津緑洋の強力フォワード陣に屈した。前半4分、中央を突破されて先制トライを奪われると、立て続けに失点を許した。同24分、相手陣内の残り15メートル付近から、フッカー水口遥太(2年)のキックパスをWTB能祖旺佑主将(3年)が受けてトライ。さらにもう1トライを奪って一矢報いたが、最後は大差で敗れた。昨年のノートライから前進も「相手の力が上だった」と能祖主将。主力の多くは2年生で、水口は「また来年、リベンジさせてもらいたい」と巻き返しを誓った。

 

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