《岩本勉のガン流F論》劇的勝利の日本ハム 今は亡き親友の凱旋登板を思い出した
■パ・リーグ9回戦 ロッテ3-4日本ハム(5月31日、エスコンフィールド北海道)
投手陣の粘りが導いたサヨナラ勝利
劇的な幕切れとなった。こんな展開は、なかなかないだろう。エスコンでは何かが起こる。逆転の山本拓…日本ハムにとってプラスのジンクスがまたも現実となった。
五回に3点こそ奪われたが、先発の山崎が六回を無失点に抑えてマウンドを降りた。七回以降は継投に出て斎藤、福谷、山本拓がきっちりと無失点でつないだ。このリリーフ陣の好投なくして逆転劇はなかった。
流れを引き寄せた松本剛の執念
そして九回裏の攻撃。清宮の幸ちゃんがヒットで出る。続く代打の松本剛がポイントとなった。その鬼気迫る表情に、レギュラーを取った頃のガムシャラさが垣間見れた。初心に返ったチームリーダーが執念の中前打でつなぎ、一気に流れは日本ハムへと傾いた。
伏見の確実な送りバント。矢沢の、詰まることを恐れない踏み込みによる2点打。決めたのは勝負強い郡司だった。矢沢の二盗で外野が前に来た。その時点で自身のバッティングイメージができたのだろう。実に見事なサヨナラ打だった。
忘れられない1994年9月の2軍巨人戦
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野球はゲームセットまで何が起こるか分からない。そんな使い古されたフレーズがピタリとハマった試合。私にも忘れられない劇的な一戦がある。
2軍の試合なのだが、1994年9月10日の巨人戦。秋田でのゲームだった。八回を終えて1-7と敗色濃厚だった。九回のマウンドにはドラフト同期で同い年でもある宮川晃が上がった。1イニングをきっちり無失点で抑えると、奇跡が起きた。その裏、打線が大爆発。一挙7点を奪ってサヨナラ勝ちしたのだ。巨人のマウンドには最後、一時1軍でクローザーを務めた西山一宇さんがいた。
故郷に錦を飾った親友
秋田は宮川の地元だった。故郷に錦を飾ったマウンドで勝ち星まで付いた。自分のことのようにうれしかったのを覚えている。そんな彼は数年前、草野球の最中に倒れ、そのまま帰らぬ人となった。私にとってライバルでもあり、親友でもあった。ふと、思い出した31年前の秋田でのゲーム。宮川も言うやろう。「そうそう、ガンちゃん。そんなこともあったなぁ」って。
勢いに乗って交流戦へ
最高の勝ち方で、パ・リーグ首位チームとして交流戦に向かうことが決まった日本ハム。胸を張ってセ・リーグ球団とのゲームに臨んでもらいたい。