復活を果たした玉井大翔 武田久コーチが語る魅力「俺らの仕事はスピードガンコンテストじゃない」
練習中、笑顔を見せる玉井(左)=撮影・松本奈央
昨季1軍登板ゼロからの復活
日本ハムの玉井大翔投手(32)が、ブルペン陣の中で存在感を示している。
昨季は腰痛の影響もあり、1軍登板ゼロ。復活を期した今季は、3日の西武戦(エスコン)で576日ぶりに1軍マウンドに上がった。14日のオリックス戦(同)では、今季初ホールドをマークした。
絶大な信頼 武田コーチ「送り出す側としても安心」
現役時代、リリーフ一筋で通算534試合に登板した武田久投手コーチ(46)が、同じような境遇の道産子右腕に大きな期待を寄せている。
プロ9年目の玉井は、プロ入りから全てリリーフで332試合に登板。ブルペン担当の武田投手コーチにとって、実績豊富なリリーバーは頼れる存在だという。
「ピッチングができる。今は球が速くて勢いがある投手が多いけれど、玉井とか技術のあるピッチャーは球が浮かない。しっかり低めに投げてゴロを打たせてピッチングができるから、送り出す側としても安心できます。経験もあるから自分を分かっている。厳しい場面でもエイヤーと投げたりしない。ある程度、コントロールで際どい所に投げていったり、ボールから入ったりできる。行き当たりばったりなピッチングをしない。インコースにどんどんシュート投げるし、いいですよね。ベース盤を横にも使って、奥行きも使ったりとか。そうやらないと(プロで長く)生き残っていけない。勢いで抑えられるけど、技術がないとこの世界、そんな甘くないですから」
2024年11月の秋季キャンプで武田コーチ(左)が見守る中、投球練習する玉井
スピードを上回る投球術
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玉井のストレートは140キロ台。150キロ超えの投手が揃う日本ハム救援陣の中で、決して速い方ではない。だが、それを上回る投球術があるという。
「打たれたりすることもあるけれど、打球が基本的にそんなに上がらない。俺らはバッターを抑えるのが仕事だから。今はどこのチームも球が速い投手が多い。見栄えはいいかもしれないけど、俺らの仕事はスピードガンコンテストじゃない。ああいうピッチャーだって試合終盤も投げられるし、頑張ってほしいです」
室内練習場でキャッチボールする玉井=撮影・岩崎勝
最大の賛辞でありエール 「あと5年はいけるでしょ」
自身も伸びのある直球と制球力が持ち味だった。プロ15年間で通算534試合に登板し、167セーブをマーク。最多セーブを3度獲得した。昨季コーチとして古巣復帰し、けがでシーズンを棒に振った玉井のことを気にかけていた。
「去年の秋のキャンプだって、アイツが一番、練習していた。必ず2日に1回のペースでピッチングしていたのもアイツだけ。あの時はもっと横から投げていたけれど、絶対やらないといけないという気持ちがマウンドでも出ていると思います。まだ、老け込むのは早い。体も元気そうだし。あと5年はいけるでしょ」
室内練習場でランニングする玉井
今こそチームに欠かせない道産子右腕
重要な場面での火消しなど、さまざまな役割を担ってきた生田目がけがで離脱中。おととしまで6年連続で40試合以上に登板し、主にその役目を任されていたのが玉井だった。これまで培ってきた技術を武器に、背番号19は淡々と仕事をこなしていくだろう。
雨天中止が決定し、球場から引き揚げる玉井